第2305回 最後の期待、ヨーロッパリーグ(3) リヨンは連勝、ニースは連敗

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ロコモティフ・モスクワ相手に連敗したニース

 前回の本連載ではマルセイユがヨーロッパリーグの1回戦でブラガ(ポルトガル)を下したことを紹介したが、今回はニースとリヨンの戦いを取り上げよう。
 ニースはロシアのロコモティフ・モスクワと対戦した。第1戦をホームのアリアンツ・リビエラで迎えたニースは好調な出足を見せた。4分にマリオ・バロテッリが先制ゴールを決め、28分には相手のハンドで得たPKをバロテッリが決めて、2-0とリードを広げた。このまま2点差で折り返すと思われたが、前半終了間際にマラン・サールがペナルティエリア内でファウル、PKを与えてしまい、これを決められて1点差となる。後半はニースはリズムを失う。69分に同点ゴールを決められ、77分に逆転ゴールを浴びて、2-3と第1戦を落とし、苦しい展開となる。
 少なくとも2点以上を奪って勝利しなくてはならないニースはモスクワでの2月22日の戦いは攻めに攻めた。ボール保持率も6割を超えシュートを放ち続けるが、ネットを揺らすことはできない。前半の30分に失った1点を返すことができず、ニースは連敗し、欧州の戦いから去ることになったのである。

■21年連続で欧州カップを戦っているリヨン

 今世紀に入ってからリーグ戦で7連覇を達成したリヨン、欧州五大リーグでは最多の連覇記録であるが、2007-08シーズンを最後に優勝から遠ざかっている。しかしながら、その後も欧州カップに欠かさず出場している。1997-98シーズンから1年だけプレーオフで敗れた以外は本戦に出場しており、21年連続でプレーオフを含めた欧州カップを戦っている。ところが、欧州カップでの最高成績はチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグとも準決勝進出が最高である。しかし、昨季はヨーロッパリーグで準決勝に進出し、今年の決勝はリヨンで行われる。リーグ戦では4位ではあるが首位のパリサンジェルマンに勝ち点で17も離されており、優勝はほぼ不可能である。ファンが欧州のタイトルで優勝を期待するのも無理はない。本拠地のグルーパマスタジアム(パルク・オランピック・リヨネがネーミングライツによって改称)には4万6000人のファンが集まった。

■ビジャレアルに連勝したリヨン

 その満員のスタジアムで対戦するのはビジャレアル(スペイン)である。国内外でのタイトルはないが、近年はスペインリーグで上位をキープしている黄色いユニフォームのチームである。リヨンは1トップを務めるマリアーノ・ディアスの動きがよく、前半こそ無得点であったが、後半開始早々にはマリアーノ・ディアスからのパスをタンギー・エンドンベレがヘディングで先制、その直後にはナビル・フェキルが追加点、ビジャレアルに1点返されたものの、終盤にメンフィス・デパイが25メートルのシュートを決めて3-1と第1戦に勝利した。
 第2戦、リヨンを迎え入れたのはセラミカ競技場である。その名も陶器、ビジャレアルのあるカステジョン地方を代表する産業は窯業であり、会長もタイルメーカーの社長である。3点取られなければ勝ち抜けるアウエーのリヨンは守備的な陣形を取る。リヨンはそれでもほぼ互角の展開でビジャレアルに得点を許さない。そして終盤には退場者が出て1人少なくなったビジャレアルを攻めたて、85分にベルトラン・トラオレが得点を奪う。リヨンはその後も追加点を奪う勢いであったが、1-0で連勝し、ベスト16入りを決定したのである。

■ベスト16入りしたマルセイユ、リヨンとも直後にリーグ戦で大一番

 ニースは敗れてしまったが、マルセイユとリヨンは2回戦進出、フランス勢2チームが2回戦に進出するのは2009-10シーズン以来8年ぶりのことである。
 そして木曜日にアウエーで勝ち抜いた両チームは日曜日には国内リーグでのビッグゲームが待っている。マルセイユはパリサンジェルマンとアウエーで対戦、リヨンはサンテチエンヌとホームで対戦、クラシックとダービーが行われるのである。(続く)

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