第2306回 最後の期待、ヨーロッパリーグ(4) マルセイユが8年ぶりの8強入り、リヨンは敗退

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンとのクラシックで連敗したマルセイユ

 フランスからマルセイユ、リヨン、ニースが出場したヨーロッパリーグの決勝トーナメント、マルセイユとリヨンが1回戦を突破し、ベスト8決定戦に進出した。
 前回の本連載の最後に紹介した通り、この両チームはその直後に行われたリーグ戦でライバルと対戦している。マルセイユはクラシックと言われるパリサンジェルマン、リヨンはダービーと言われるサンテチエンヌとの一戦である。
 マルセイユはリーグ戦で対戦し、その3日後にまたフランスカップの準々決勝で連戦する。両試合ともパリサンジェルマンの本拠地、パルク・デ・プランスで行われ、通常の場合であれば、ビジターのチームはパリにとどまって2試合を行うが、マルセイユはパリにとどまらず、一旦マルセイユに帰る。合理的な選択とは思えないが、ライバルとはそういうものである。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の第1戦でレアル・マドリッド(スペイン)に1-3と敗れたパリサンジェルマンが、ヨーロッパリーグの1回戦でブラガ(ポルトガル)に連勝したマルセイユを迎え撃つことになったが、2試合ともパリサンジェルマンが3-0というスコアでライバルを退けた。

■最後のタイトルに向けてアスレチック・ビルバオを圧倒したマルセイユ

 マルセイユはパリサンジェルマンに2試合連続完封負けを喫しただけではなく、その後のリーグ戦でも得点力を落としてしまった。マルセイユは順位こそ3位であるが、首位のパリサンジェルマンに大きく離され、リーグ優勝はかなり難しくなった。フランスカップでも敗退、リーグカップは昨年12月のベスト8決定戦でレンヌにPK負けしており、実質的に獲得可能なタイトルはヨーロッパリーグだけとなった。
 マルセイユのベスト8決定戦の相手はスペインのアスレチック・ビルバオである。選手をバスク人に限定するという純血主義のチームである。今季のヨーロッパリーグのマルセイユの観客動員は平均2万6000人と低迷していたが、最後のタイトルになったこともあり、3月8日のベロドロームには3万7000人を超えるファンが集まった。この試合がキックオフされてわずか36秒、マルセイユはルーカス・オカンポスが先制ゴールをあげる。このところの不振を忘れさせるような試合展開となり、一方的に試合を支配した。14分にはディミトリ・パイエが追加点、欧州カップではサンテチエンヌに所属していた2009年2月以来9年振りのゴールである。前半のアディショナルタイムにはアディル・ラミのハンドで取られたPKをアリツ・アドゥリスに決められたが、後半にオカンポスが追加点、3-1というスコアで先勝した。

■アウエーでも攻め続けて連勝したマルセイユ

 1週間後の3月15日でのビルバオの戦い、マルセイユのファンは10年前の出来事を忘れていない。2007-08シーズンのUEFAカップ、同じベスト8決定戦でマルセイユはホームの第1戦でゼニト・サンクトペテルスブルクに3-1と勝利しながら、アウエーの第2戦で0-2と敗戦している。マルセイユはこの試合も立ち上がりから攻め続け、38分には相手ペナルティエリア内で倒されたパイエが自らPKを決め、先制点。後半に入ってオカンポスが追加点をあげ、2-0と連勝する。マルセイユはヨーロッパリーグで8季ぶりの8強入りを決めたのである。

■アウエーで勝利するも、得意のホームで敗れたリヨン

 一方、リヨンはサンテチエンヌとのダービーはホームで最後に追いつかれて1-1の引き分けとなる。
 ロシアのCSKAモスクワとのアウエーの第1戦、厳しい寒さの中で行われた試合は後半の68分にマルセロが決勝点をあげ、ビジャレアル(スペイン)との1回戦の第2戦に続き、アウエーで連勝する。
 ところが、3月15日、ここまで欧州カップで9戦負けのなかったホームのグルーパマ競技場では思わぬ展開となった。39分に先制点を奪われて前半を折り返す。58分にマクスウェル・コルネのゴールで追いついたが、その直後に勝ち越され、2試合通算のスコアでもリードされる。65分には3点目を奪われてしまう。2点が必要になったリヨンは、71分のマリアノ・ディアスのゴールで1点差に詰め寄ったが、あと1点が遠く、2-3で敗れる。アウエーゴールの差で、リヨンは敗退したのである。(この項、終わり)

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