第2408回 10月のチャンピオンズリーグ(3) チャンピオンズリーグの本戦に復帰したレッドスター・ベオグラード

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州カップの予備戦敗退にピリオドを打った昨季

 1990-91シーズンのチャンピオンズカップ決勝でマルセイユを破り、欧州の頂点に立ったレッドスター・ベオグラード、当時はユーゴスラビアのチームであったが、内戦を経て現在はセルビアのチームとなっており、セルビアリーグでも常に優勝争いにからんできた。しかし、欧州カップではチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの予備戦どまりという歴史が続いていた。その中で昨季はヨーロッパリーグで決勝トーナメント進出、今世紀になって初めて年を越えて欧州カップを戦った。

■予備戦の1回戦、2回戦を突破、無観客試合を乗り越えた3回戦

 そして今季、セルビアチャンピオンはチャンピオンズリーグの予備戦1回戦からの戦いとなる。1回戦でラトビアのスパルタクス・ユールマラと対戦、ワールドカップがまだ終わっていない7月11日に行われた第1戦はアウエーでスコアレスドロー、ホームでの第2戦で2-0と勝利し、2回戦に進出する。2回戦もバルト三国のチームと対戦、リトアニアのFKマリヤンポレには2戦とも勝利する。3回戦はスロバキアのチャンピオンのスパルタク・トルナバと対戦、厳しい戦いとなった。ホームでの第1戦は1-1のドロー、アウエーの第2戦も90分を終えた時点で1-1のタイスコア、延長戦に突入する。延長前半の98分、ネマニャ・ラドニッチが決勝点をあげ、プレーオフ進出を決める。なお、ラドニッチは8月末にマルセイユに移籍する。レッドスター・ベオグラードからマルセイユへの移籍というとドラガン・ストイコビッチと同じルートである。

■常連のRBザルツブルクを下したプレーオフ

 そしてプレーオフ、勝てばチャンピオンズリーグ、負ければヨーロッパリーグのグループリーグとなる。レッドスター・ベオグラードの相手はオーストリアのリーグチャンピオンのRBザルツブルク、近年は欧州の舞台で活躍しており、格上のチームである。さらに、レッドスター・ベオグラードは予備戦2回戦のFKマリヤンポレ戦でサポーターが人種差別的なチャントを歌ったことにより、ホームの第1戦は無観客試合の制裁を受ける。レッドスター・ベオグラードはこの難しい試合を0-0で乗り切り、アウエーの第2戦に望みを託す。しかし、第2戦は前半終了間際に失点し、後半の立ち上がりの48分にもPKで追加点を奪われる。厳しい展開となったが、これを救ったのがコモロ代表のエルファルドゥ・ベンである。65分と66分に立て続けに得点し、アウエーゴールの差でレッドスター・ベオグラードはチャンピオンズリーグのグループリーグに進出したのである。

■久しぶりのチャンピオンズリーグ出場に歓喜するファン

 レッドスター・ベオグラードはUEFAインデックスでは出場32チーム中で下から2番目である。第4シードとなり、パリサンジェルマン、ナポリ(イタリア)、リバプール(イングランド)と同じグループCに入る。死のグループと言われる厳しい組み合わせとなったが、26年ぶりのチャンピオンズリーグ出場、現行のグループリーグ方式になってからは初めての本大会出場とあって、名門チームのファンは歓喜する。
 そしてこれを機に、1991年に欧州チャンピオンとなったレジェンドたちが注目を集めた。レッドスター・ベオグラードのチャンピオンズリーググループリーグの初戦は9月18日にホームで行われるナポリ戦であった。ナポリ戦には49,112人の観客が集まり、プレーオフの無観客試合とは全く異なる雰囲気の中で行われた。試合前にはかつての優勝メンバーであるデヤン・サビセビッチやシニシャ・ミハイロビッチなどがチャンピオンズカップを掲げて場内を一周したのである。赤と白の縦縞のユニフォームのレッドスター・ベオグラードは昨季セリエAで2位に入った第2シードのナポリを無得点に押さえ、27年前のイタリアのバーリでのチャンピオンズカップの決勝と同じ0-0のスコアで復活ののろしをあげたのである。(続く)

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