第2703回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (4) 2試合とも4点を奪って勝利したアタランタ

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■サッカーの女神がほほ笑んだアタランタ

 チャンピオンズリーグ初出場で第4シード、さらには勝ち点7で、得失点差マイナスで決勝トーナメントに進出したアタランタ(イタリア)、16チームの中で最も驚きのチームとなった。ロンバルディア地方の人口12万の美しい街のベルガモにあるこのクラブ、アタランタというのはギリシャ神話に登場する女性の英雄、狩りを得意としている。チームのニックネームにも女神というものがある。まさにサッカーの女神がほほ笑んだといえる。

■3強1弱のグループHを勝ち点11で首位突破したバレンシア

 しかし、2位通過して出場した決勝トーナメントの1回戦の相手は首位通過のチームである。アタランタの相手はスペインのバレンシアである。バレンシアはグループリーグでリールと同じグループHであったことからリールとの戦いについては紹介してきた。リールは早々に最下位が決定してしまったが、このグループHは3強1弱であり、大混戦となった。最終節を迎える段階で首位はアヤックス(オランダ)で勝ち点10、2位は勝ち点8、得失点差+1でバレンシアとチェルシー(イングランド)が並び、リールは勝ち点1に過ぎなかった。首位のアヤックスは最終戦でホームにバレンシアを迎える。引き分ければアヤックスはチェルシーの試合結果にかかわらず首位突破となる。しかし、バレンシアも勝利すればアヤックスを勝ち点で抜き去り、チェルシーも勝利して勝ち点で並んでも、バレンシアはチェルシーの直接対決で上回っているため首位となる。アウエーのバレンシアは前半に先制点をあげ、この得点を守り切る。一方、ロンドンでの試合はチェルシーが前半に得点を重ね、リールの反撃は1点のみ、チェルシーも勝利して勝ち点11となり、2位通過となった。
 バレンシアは勝ち点11、得失点差は+2、いずれも首位チームとしては最も少ない数字である。グループによってはこの勝ち点では3位以下になるところもある。まさにアタランタにとっては決勝トーナメント1回戦の組み合わせにも女神がいた。

■ミラノでのホームゲームで大量点で勝利したアタランタ

 しかし、2月19日に行われた決勝トーナメント1回戦のアタランタの戦いは見事なものであった。前半こそ1点どまりであったが、後半に入ってからは3得点をあげる。グループリーグ6試合で8得点(これも決勝トーナメント進出チームの中で最少)に終わったチームがいきなり競合相手に4得点を奪ったのである。バレンシアの反撃をわずか1点に押さえ、堂々の勝利を収めたのである。なお、アタランタは決勝トーナメントからホームゲームをミラノで行うこととなったが、ベルガモから3万5000人、バレンシアから3000人がミラノに移動し、これが新型コロナウイルスの両国における感染の一つの原因となったことは、後のスポーツイベントの延期、中止の判断の元となった。

■無観客の第2戦もヨシップ・イリチッチの4得点で連勝

 また、アタランタは2週間後のバレンシアでの試合でも威力ある攻撃力を見せた。3月10日の試合は無観客で行われたが、スピーカーから大音量の声援が流れるという異様な雰囲気の中でのキックオフ、3点差を追うバレンシアは開始早々にPKを与えてしまう。これをアタランタはスロベニア代表のヨシップ・イリチッチが決めて先制する。バレンシアは4点が必要になるが、ようやく1点目が入ったのは21分、フランス代表のケビン・ガメイロが同点ゴールをあげる。しかし、41分にバレンシアはペナルティエリア内のハンドがVARとなり、主審はPKを宣誓する。イリチッチがまたもPKを決める。
 大量得点の欲しいバレンシアは後半に入って、攻撃的な選手を投入し、これが功を奏して51分にガメイロのヘディングゴールで2-2の同点に追いつく。バレンシアは67分にフェラン・トーレスが逆転ゴールを決めるが、なおも3点が必要である。
 逆にアタランタは72分にイリチッチがハットトリックを完成させる3点目を決め、82分にはこの日4点目となるゴールを決めた。2試合とも4点を奪って連勝したアタランタが準々決勝に進出したのである。(続く)

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