第2717回 パリサンジェルマン、 準優勝に終わる(1) 準決勝まで圧勝続きのバイエルン・ミュンヘン

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■リヨンの敗退を悔しがったパリサンジェルマンのファン

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグの準決勝第2試合でリヨンがバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に完敗した。
 一足先に決勝進出を決めていたパリサンジェルマンのファンは、リヨンの敗退を悔しがった。それはフランス勢との決勝が実現しなかったことが理由ではなく、バイエルン・ミュンヘンの強さを再認識したからである。バイエルン・ミュンヘンがリヨンを圧倒した準決勝を観戦し、国内のリーグ戦やカップ戦で優位な戦績を残したリヨンと対戦するよりもはるかに優勝への道が険しくなったということを感じたからである。

■準々決勝でバルセロナに記録的大勝したバイエルン・ミュンヘン

 そしてバイエルン・ミュンヘンは、ポルトガルのリスボン入りしてから、準決勝のリヨン戦よりも準々決勝のスペインのバルセロナ戦でその強さを見せつけた。この常勝チームに対し、8-2と歴史的なスコアで退ける。これまでのチャンピオンズリーグの決勝トーナメントで8得点をあげたチームは2チームしかなく、2006-07シーズンのリバプール(イングランド)がベクシタシュ(トルコ)に、2014-15シーズンのレアル・マドリッド(スペイン)がマルメ(スウェーデン)にそれぞれ8-0で勝利しているが、対戦相手を考えれば、今回のバイエルン・ミュンヘンの記録はこれらをはるかにしのぐものである。
 ロベルト・レバンドフスキとトーマス・ミューラーの活躍については前回の本連載でも紹介したが、ミューラーはこの試合では先制点を含む2得点をあげ、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントでの得点が23点となった。これはクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の67得点、リオネル・メッシ(バルセロナ)の47得点に次ぐ3位の数字である。ユベントスは決勝トーナメント1回戦でリヨンに敗れ、バイエルン・ミュンヘンがバルセロナを下したことから、クリスティアーノ・ロナウドもメッシもいないチャンピオンズリーグの準決勝は2005-06シーズン以来のこととなった。

■グループリーグで6戦全勝、総得点24、得失点差+19と圧倒的な成績

 バイエルン・ミュンヘンの強さはリスボン入りしてからだけではない。今季のチャンピオンズリーグを振り返ると、グループリーグから準決勝までの全10試合ですべて勝利している。
 第1シードとしてグループBに入り、トットナム・ホットスパー(イングランド)、オリンピアコス(ギリシャ)、レッドスター・ベオグラード(セルビア)と対戦した。バイエルン・ミュンヘンとトットナム・ホットスパーが二強であるとの大方の予想通りの展開となった。バイエルン・ミュンヘンは下位の2チームに大差をつけて4勝しただけではなく、トットナム・ホットスパーにはアウエーで7-2と大勝、そしてホームでも3-1と連勝し、6戦全勝でグループリーグを突破する。今季のチャンピオンズリーグで6戦全勝でグループリーグを突破したのはバイエルン・ミュンヘンだけである。そしてこの6試合で総得点24、総失点5、得失点差+19というのも特筆すべき数字である。総得点、得失点差はいずれも全チームを通じて1位である。グループリーグには力量の劣るチームが参戦することもあるが、2桁の得失点差を記録したチームはほかにはパリサンジェルマン(+15)とイングランドのマンチェスター・シティ(+12)のみである。そしてドイツのボルシア・ドルトムントなどは得失点差が±0で決勝トーナメントに進出したことも忘れてはならない。

■決勝トーナメント1回戦ではチェルシー相手に2試合とも大勝

 ホームアンドアウエーで行われた決勝トーナメント1回戦の相手はイングランドのチェルシー、グループリーグではスペインのバレンシアと勝ち点で並び、直接対決の結果で首位を譲っている。チェルシーとの第1戦は2月にロンドンで行われ、アウエーの試合で3-0と勝利する。コロナウイルスの感染拡大により8月にミュンヘンで行われた第2戦でも4-1と連勝する。
 準決勝で0-3とリヨンは完敗を喫したが、バイエルン・ミュンヘンの10連勝のうち2点差以内の勝利はグループリーグの3試合だけなのである。(続く)

 
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