第2750回 2020-21チャンピオンズリーグ(5) パリサンジェルマンが初勝利、レンヌは完封負け

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■政治的緊張の高まるフランスとトルコ

 チャンピオンズリーグのグループリーグ第2節、10月27日に登場したマルセイユはマンチェスター・シティ(イングランド)相手にシュート数わずか2で完敗、フランス勢はこれで4試合連続勝利なしとなった。
 10月28日にはグループHのパリサンジェルマンが18時55分にトルコのバシャクシェヒル、グループEのレンヌが21時にスペインのセビリア、それぞれアウエーでキックオフを迎える。
 パリサンジェルマンの相手のバシャクシェヒルは創立は1990年とパリサンジェルマンよりもさらに若いチームであり、昨季トルコリーグを初めて制覇し、チャンピオンズリーグには初出場となる。
 政治的にはフランスとトルコは緊張関係にある。イスラム教の指導者ムハンマドの風刺画を授業で見せた教員が殺害される事件がフランスで起きたばかりであるが、エマニュエル・マクロン大統領は風刺画を辞めることはないと演説し、それに対してトルコのエルドアン大統領は厳しく非難、一方、トルコの東地中海の係争地域でトルコがガス田探査を始めたことは欧州各国が非難しているが、その中で強硬派がフランスである。これらの厳しいタイトルを受けてフランスは駐トルコ大使を召還した。

■ネイマール負傷、前半でピッチを去る

 このような政治的対立があり、300人とは言え、観客を入れての試合となり、安全面が懸念されたが、ホームチームのバシャクシェヒルの会長は安全宣言を行い、試合は予定通りキックオフされた。
 バシャクシェヒルはイスタンブールにあるが、この都市にはガラタサライ、ベクシタシュをはじめとして6つのプロチームがある。その中でバシャクシェヒルは人気があまりないことが逆に功を奏した。バシャクシェヒルは欧州カップでフランスのチームとは初対戦、一方のパリサンジェルマンは欧州カップでトルコ勢に過去5戦は4勝1分と好調である。ところがパリサンジェルマンはアクシデントに襲われる。26分、この日左ウイングとして出場したネイマールが試合の序盤に相手選手のタックルを受けて膝を痛める。結局ネイマールは26分にピッチを去る。試合は均衡した内容となり、前半は両チーム無得点で折り返す。

■チャンピオンズリーグ初先発の20歳のモイス・キーンが2ゴール

 そして試合を決めたのはパリサンジェルマンのニューヒーローであった。この日のパリサンジェルマンは2トップ、キリアン・ムバッペとコンビを組んだのはチャンピオンズリーグ初先発となる20歳のモイス・キーンであった。すでにイタリア代表入りをしている逸材であるが、イングランドのエバートンから今期移籍してきた。キーンが64分にムバッペの放ったCKをヘディングで合わせて先制点を奪う。さらに79分にはパブロ・サラビアのクロスはムバッペにはうまく合わなかったが、外側に走りこんできたキーンが決めて追加点となる。パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグのグループリーグで初勝利を挙げたのである。

■レンヌはセビリア相手にシュート数わずか2で完敗

 そして第1シードのセビリアとのアウエーでの戦いに臨んだレンヌは厳しい戦いとなった。試合は一方的にセビリアが支配し、レンヌは守勢一方となる。レンヌのGKのアルフレッド・ゴミスには休む間もなく昨季ヨーロッパリーグ王者のセビリアのルーク・デヨングやルーカス・オカンポスなどのシュートが浴びせられる。
 何とかスコアレスドローに持ち込みたいレンヌは前半は持ちこたえたが、後半に入ってセビリアは55分にワイドに展開してマルコス・アクーニャがクロスを上げる。中央のデヨングがこれに合わせてゴールを奪う。
 一方のレンヌであるが、セビリアに支配されて攻撃のチャンスはほとんどなく、シュート数はわずか2ではゴールネットを揺らすことはできない。 第2節のフランス勢はパリサンジェルマンが初勝利をあげたものの、マルセイユとレンヌは完全に沈黙して完封負けを喫した。第3節以降での巻き返しに期待したい。(続く)

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