第2789回 好調リール、アヤックスに連敗(4) 終了間際に逆転され、ホームでの第1戦を落としたリール

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■欧州カップで17戦連続勝利なしを記録したリール

 10年前のヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦ではオランダ勢のPSVアイントホーフェンに敗れているリールであるが、リールはアヤックスとは昨季のチャンピオンズリーグのグループリーグで対戦している。本連載の第2558回でアウエーでの試合、第2594回でホームの試合を紹介したが、アウエーで0-3、ホームでも0-2と連敗している。リールは昨季までのチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグで17戦勝ちなしという不名誉な成績を続けてきたが、この中で連敗したのは2014-15シーズンのチャンピオンズリーグのプレーオフのポルト(ポルトガル)戦、同シーズンのヨーロッパリーグのグループリーグのウォルフスブルク(ドイツ)戦、昨季のチャンピオンズリーグのグループリーグのチェルシー(イングランド)戦とこのアヤックス戦なのである。
 その不名誉な記録をストップしたのが、昨年10月22日のヨーロッパリーグの第1節、スパルタク・プラハ(チェコ)戦の4-1の勝利であり、この勝利で勢いに乗ったリールは越年したのである。

■劣勢ながらも無失点でしのぐリール

 2月18日、リールは無人のピエール・モーロワ競技場にアヤックスを迎える。両チームとも負傷者を抱える中での対戦となったが、注目すべきはリールのストッパーのスフェン・ボットマンである。身長193センチの長身ストッパーは昨夏、アヤックスからリールに移籍し、レギュラーポジションを獲得し、リールの快進撃を守備面で支えている。
 リールのキックオフで始まった試合、両チームは中盤で激しくせめぎあうが、なかなかゴール前のシュートシーンまでつなげられない。序盤から両チームに警告が出される中で、アヤックスがボール支配率で優勢に立つ。両チームともゴール前に迫ることの少ない前半が終わり、無得点のまま後半に入る。
 後半に入ってすぐにアヤックスがチャンスをつかむが、リールのGKマイク・マイニャンが飛び出してピンチを防ぐ。後半に入るとアヤックスのボール保持率が高まり、リールは防戦一方となる。前半は3本のシュートを放ったリールであるが、後半は半分を過ぎでもシュートを記録することができない。

■アヤックスのミスに乗じて初の枠内シュートで先制したリール

 しかし、72分、アヤックスの守備陣が決定的なミスを犯す。リールのゼキ・チェリクのプレスに対し、ニコラス・タグリアフィコがGKのマールテン・ステケレンブルフにバックパス、これをリールのティモシー・ウェアがインターセプトして右足でシュート、ゴールネットを揺らした。劣勢のリールがこの試合で枠内に放った初めてのシュートで先制した。ウェアにとっては今季ヨーロッパリーグでは2ゴール目である。一方、痛恨のミスをしたタグリアフィコは1月に目を負傷し、ゴーグルをつけてのプレー、これがミスにつながったのかもしれない。

■PKで追いつかれ、終了間際に逆転を許したリール、第1戦を落とす

 ここから両チームはめまぐるしく選手交代をして、リールは逃げ切りを図り、アヤックスは同点、逆転を目指す。失点の原因となったタグリアフィコが、84分にリールのペナルティエリア内でサンチェスに倒される。主審はすぐさまペナルティスポットを指さしたが、リールがこれに抗議、VARの判定に委ねられた結果、アヤックスにPKが与えられた。タグリアフィコが倒された3分後にアヤックスは主将のデュサン・タディッチが左足でPKを決めて、同点に追いついた。
 リールのGKマイニャンは主審に抗議したという理由でイエローカードが与えられる。マイニャンの怒りも収まらないところ、アヤックスはその直後の89分に逆転ゴールを決める。ダフィ・クラーセンからのパスをブライアン・ブロビーがシュート、これがフランス代表経験もあるマイニャンの両足の間を抜けてゴールインする。
 選手交代や試合中断が相次いだため、アディショナルタイムは6分と表示されたが、リールは追いつくことができず、ホームでの第1戦を1-2と落としたのである。(続く)

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