第2929回 次々と決勝トーナメントに進出したフランス勢 (1) 引き分け以上で決勝トーナメント進出となるリール

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■後半戦で連勝し、単独首位に立ったリール

 第2921回の本連載ではチャンピオンズリーグの第5節でパリサンジェルマンがマンチェスター・シティに敗れながらもグループ2位を確定し、決勝トーナメントに進出したことを紹介した。今季のフランス勢は次々と決勝トーナメントに進出した。今回からチャンピオンズリーグに出場しているリールを紹介しよう。
 リールは昨季のフランスリーグのチャンピオンとして第1シードとして出場した。しかし、リールはこれまで欧州カップでは散々な成績で期待をするファンは少なかった。逆に、同じグループGに入ったセビリア(スペイン)、レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)、ヴォルフスブルク(ドイツ)のファンは喜んだであろう。その予想の通り、リールは前半戦は2分1敗、得点わずか1という状況でチャンピオンズリーグで10戦連続未勝利となった。しかし、第4節ではこのグループで最強と目されていたセビリアにアウエーで勝利、第5節でもレッドブル・ザルツブルクに勝利し、単独首位に立った。

■すべてのチームに決勝トーナメント進出の可能性のあるグループG

 最終節は12月8日、リールはアウエーでヴォルフスブルクと対戦し、もう1試合はレッドブル・ザルツブルクがセビリアを迎える。この時点での成績を確認するとリールが勝ち点8(得失点差+1)、2位レッドブル・ザルツブルクは勝ち点7(+1)、3位セビリアは勝ち点6(+1)、4位ヴォルフスブルクは勝ち点5(-3)となっており、どのチームも決勝トーナメント進出を決めておらず、すべてのチームに決勝トーナメント進出の可能性がある。

■決勝トーナメント進出の条件はシンプルなグループG

 グループGは勝ち点の上では混戦となっているが、各チームの決勝トーナメント進出の条件はシンプルである。
 リールはヴォルフスブルクに引き分け以上であれば、決勝トーナメント進出となる。リールが敗れた場合はヴォルフスブルクと勝ち点で並ぶが、直接対決で1分1敗となるため、ヴォルフスブルクが上位となる。一方、勝ち点7のレッドブル・ザルツブルクと勝ち点6のセビリアが対戦する。勝利したチームは勝ち点9以上となるのでリールは3位以下となる。また引き分けた場合は、リール、ヴォルフスブルク、レッドブル・ザルツブルクの3チームが勝ち点8で並ぶが、3チーム間の直接対決の成績で勝ち点がヴォルフスブルク(7)、レッドブル・ザルツブルク(6)、リール(4)となるため、リールは3位になってしまう。このようにもう1試合に関係なくリールは引き分け以上、ヴォルフスブルクは勝利すれば決勝トーナメントというシンプルな構図となる。
 これはレッドブル・ザルツブルク-セビリア戦も同様であり、レッドブル・ザルツブルクは引き分け以上、セビリアは勝利が必要となる。なお、リールは最終戦で勝利すれば首位通過、引き分けた場合もセビリアが引き分け以上であれば首位となる。

■国内リーグも好調なリール、調子を落としているヴォルフスブルク

 ドイツ勢との対戦というとどうしてもバイエルン・ミュンヘンに敗れ続けているイメージが強いが、実はフランス勢はドイツ勢には健闘しており、欧州五大リーグの中で比較すると、イングランド、イタリア、スペイン勢相手は勝ちの確率が2割台であるのに対しドイツ勢には勝利の確率が4割を超えている。
 リールはチャンピオンズリーグでは11月になってからの後半戦で連勝したが、国内リーグでも10月29日にアウエーでパリサンジェルマンに敗れたのを最後に負けがなく、11月以降は2勝3分という成績を残している。一方のヴォルフスブルクは直近の国内リーグで連敗しており、11月23日のセビリア戦から通算して3連敗となっている。
 ここまでリールはヴォルフスブルクとは1分2敗と勝利したことがなく、アウエーゲームということから引き分け狙いかと思われたが、調子を落としているヴォルフスブルク相手に積極果敢に試合を進めたのである。(続く)

このページのTOPへ