第2931回 次々と決勝トーナメントに進出したフランス勢(3) リヨン、最速で決勝トーナメント進出を決定

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■グループAの前半戦で3連勝したリヨン

 前々回と前回の本連載ではチャンピオンズリーグに出場したリールとパリサンジェルマンの最終節の戦いを紹介し、リールは15季ぶりの決勝トーナメント進出を首位突破で決め、常連のパリサンジェルマンは2位通過ながら最終戦は完勝した。
 今回からは前半戦でフランス勢が好調なヨーロッパリーグでの後半戦の戦いを紹介しよう。ヨーロッパリーグには欧州での実績が十分あるリヨン、モナコ、マルセイユの3チームが出場し、リヨンとモナコは首位で前半戦を折り返している。
 まず前半戦を3連勝したリヨンの戦いを紹介しよう。リヨンはグループAでグラスゴー・レンジャーズ(スコットランド)、ブロンビー(デンマーク)、スパルタ・プラハ(チェコ)の順に勝利をあげている。前半戦を終えた時点で各チームの勝ち点はリヨンが9、スパルタ・プラハが4、グラスゴー・レンジャーズは3、ブロンビーは1となっている。

■今季から大会規定が変更となったヨーロッパリーグ

 今季のヨーロッパリーグは大会規定が変更し、決勝トーナメントは昨季までは32チームで争われていたが、今季は16チームで争われる。そのため、グループリーグで首位となったチームは決勝トーナメントに直接進出できるが、2位通過の場合はチャンピオンズリーグのグループリーグの3位チームとのプレーオフを戦い、勝ち抜かなくてはならない。また、グループリーグで3位になった場合は今季からスタートしたヨーロッパカンファレンスリーグの決勝トーナメントに転戦することになる。
 チャンピオンズリーグではグループリーグの最終順位が年明けからの決勝トーナメントに影響するが、ヨーロッパリーグの場合はそれ以上の影響がある。そして前半戦を独走したリヨンは第4節の時点で順位や決勝トーナメントの条件を確定することができる

■シュートの精度を欠き、無得点に終わったスパルタ・プラハ相手の前半

 第4節でリヨンはスパルタ・プラハをホームに迎えるが、この試合でリヨンが勝利すれば勝ち点を12に伸ばし、2位以上が確定する。さらにもう1試合のブロンビー-グラスゴー・レンジャーズ戦でグラスゴー・レンジャーズが引き分け以下であれば、首位が確定する。リヨンはこの時点でリーグ戦は6位、ヨーロッパリーグの首位突破を早く決めて、国内リーグやスケジュールが前倒しになったフランスカップに注力したい。
 欧州では好調なリヨンに期待する3万3000人のファンがグルーパマ競技場に集まった。しかし、前半のリヨンは思うような結果を残すことができなかった。序盤にスパルタ・プラハの選手が負傷して交代するというアクシデントがあり、圧倒的にボールを攻め続けたものの、無得点に終わる。この理由はこの日起用した攻撃陣にある。トップはアルジェリア代表のイスラム・スリマニ、トップ下にスイス代表のシャキリ、右に18歳のラヤン・シェルキ、左に主将のウセム・アウアという陣容であったが、シュートの精度を欠き、前半だけで8本のシュートを放ったが、枠内に飛んだのはゼロという有様であった。スリマニは29分にはカウンターアタックからつかんだ相手GKとの一対一のチャンスを活かしきれない。一方、スパルタ・プラハは数少ないチャンスでリヨンのゴールを脅かし、19分のヘディングシュート、26分のシュートはリヨンのGKアントニー・ロペスの好守によって先制点を防いでいる。

■覚醒した攻撃陣が3点を奪い完勝、第4節で首位を確定

 後半に入ってリヨンの攻撃陣は覚醒した。56分にはアウアのシュートが相手GKに阻まれたものの、61分にスリマニがドリブルで相手をかわして無人のゴールにシュートし、先制点。スリマニはさらに63分には右サイドのマクサンス・カクレからのクロスを頭で合わせて追加点を決めた。リードされたスパルタ・プラハもカウンターから反撃するが、アントニー・ロペスがゴールを許さない。リヨンは後半アディショナルタイムに途中出場のカール・トコ・エカンビが得点を決め、3-0と勝利する。
 同日に行われたブロンビー-グラスゴー・レンジャーズ戦が引き分けとなったため、リヨンは最速で決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)

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