第2932回 次々と決勝トーナメントに進出したフランス勢(4) モナコも決勝トーナメントに進出

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■前半戦を首位で折り返したモナコ

 前回の本連載ではヨーロッパリーグの第4節でリヨンがグループAの首位を確定し、決勝トーナメント進出を決めたことを紹介した。今季のヨーロッパリーグのグループリーグには32チームが出場しているが、この段階で決勝トーナメント進出を決めたのはリヨンだけである。
 このリヨンの勢いに刺激されて続く第5節で決勝トーナメント進出を決めたのがグループBのモナコである。モナコは前半戦は2勝1分と負けなし、首位でターンした。後半戦を迎える時点でのグループBの順位は首位がモナコで勝ち点7、2位はレアル・ソシエダ(スペイン)で勝ち点5、3位はPSVアイントフォーヘンで勝ち点4、最下位はシュトゥルム・グラーツ(オーストリア)でいまだに勝ち点がない。

■第4節のPSVアイントフォーヘン戦で勝利すれば首位突破となるチャンス

 モナコは第3節のアウエーのPSVアイントフォーヘン(オランダ)戦は89分に決勝点をあげて勝利をあげており、同じ相手とホームで対戦する後半戦最初の第4節でモナコは勝利すれば2位以内が確定する。(計算上ではPSVアイントフォーヘンと同一勝ち点で2位に並ぶ可能性があるが、直接対決の成績で勝るモナコが優先される。)
 モナコの本拠地のルイ2世競技場、平日の夜であるが5800人の観衆が集まった。ヨーロッパリーグのホームゲームは開幕戦のシュトゥルム・グラーツ戦以来であるが、その時の約2倍の観客が集まり、期待の高さもうかがえる。
 モナコは直前に行われた国内リーグのブレスト戦に敗れており、ニコ・コバチ監督はメンバーを入れ替えてこの試合に臨む。モナコは前半からボールを支配したが、リズムに乗った攻撃ができず、スコアレスでハーフタイムを迎えた。後半開始時に3人を交代させ、4バックにシステムを変え、ボール支配率は高まったが、ゴールが遠かった。結局、この試合はスコアレスドローとなり、モナコは第5節以降に望みを託すこととなる。

■レアル・ソシエダ戦に再び首位突破を託すモナコ

 第5節は11月25日に行われ、レアル・ソシエダとのモナコでの試合となる。第4節ではレアル・ソシエダ-シュトゥルム・グラーツ戦も引き分けに終わったため、モナコは首位をキープし、2位以下とのチームの勝ち点差も変わらない。ただし、残り試合数が減ったため、モナコは第5節で勝利すれば、首位を確定することができる。前節に続き、ホームでの試合となる。11月に入ってから引き分け続きで勝利のないモナコに対する期待が下がったのか、観客数は3800人どまりである。

■ゴールの応酬を制したモナコが勝利、決勝トーナメントへ

 コバチ監督はこの試合は4バックで臨み、1トップにウィッサム・ベン・イェデルを起用し、前節では2トップの一角であったケビン・フォランドがトップ下に入る。フォランドの左右にはアレクサンドル・ゴロビンとソフィアヌ・ディオップが並び、この攻撃陣の起用が正解であった。また4バックの右のジブリル・シディベはサイドを攻めあがり、ゴール前にボールを供給する。先制点は28分、モナコは右サイドからゴロビンがスピードのある攻撃を仕掛ける。ゴール前でベン・イェデルからパスを受けたフォランドが至近距離からシュートを決めた。
 しかし、勝利すれば順位を逆転して首位に躍り出るレアル・ソシエダも反撃する。35分にはアレクサンダー・イサクがゴール前の混戦でモナコの守備陣のすきをついて同点ゴールを決めた。
 これに対してモナコは37分にディオップが右サイドからFKを蹴る。このボールをファーサイドで待ち受けていたユスフ・フォファナがレアル・ソシエダの守備陣に競り勝ち、ヘディングで合わせてネットを揺らす。フォファナは今シーズン、国内外の公式戦で初ゴールとなり、これがこの試合の決勝点となった。
 後半はレアル・ソシエダのボール支配率が上回り、試合終了間際の89分には殊勲のフォファナが退場処分となり、数的不利となったが、モナコは試合終了のホイッスルを待つ。モナコは2-1と競り勝ち、首位を確定し、リヨンに続いてヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)

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