第3087回 3チームが参戦したヨーロッパリーグ(5) 中盤戦で首位フライブルクに連敗したナント

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■21年ぶりに欧州カップに出場するナント

 ヨーロッパリーグに参戦したフランス勢のレンヌ、モナコを紹介してきたが、今回はナントを紹介しよう。ナントは昨季のリーグ戦は9位であったが、フランスカップで22年ぶり4回目の優勝を果たし、ヨーロッパリーグのグループリーグに参戦することとなった。ナントが欧州カップに出場するのは2001-02シーズン以来21年ぶりのことである。この前のシーズン、ナントはリーグ戦で優勝し、チャンピオンズリーグの出場権を得た。当時は現在とは大会方式が異なり、9月から10月にかけて一次リーグが4チームのホームアンドアウエー総当たりで行われ、各リーグの上位2チームが11月から3月にかけて同様の形式で二次リーグを戦い、各リーグの上位2チームが決勝トーナメントの準決勝に進出する。ナントは一次リーグは首位で突破、フランス勢で唯一、二次リーグに残ったが、二次リーグでは1勝もできず、最下位となった。
 1990年代までは強豪の名にふさわしかったカナリア軍団も今世紀に入ってからは低迷が続いたのである。

■第1節で第1シードのオリンピアコスを破るが、第2節でカラバフに敗れる

 欧州での経験に乏しいナントはグループリーグの組み分けでは第4シードとなる。ナントも厳しい組み合わせとなり、第1戦はホームとはいえ第1シードのオリンピアコス(ギリシャ)と対戦する。21シーズンぶり、20年ぶりの欧州での試合とあってファンの注目が集まり、会場のボージョワール競技場には3万人を超える観客が集まった。直前の週末にはパリサンジェルマンを迎えたばかりであるが、その試合とほぼ同じ観客が集まる。パリサンジェルマンに0-3と完敗し、順位を13位と下げたところであるが、欧州で戦うことの喜びをファンも感じているのである。
 試合は劣勢を予想されたナントが地元のファンの期待に応えた。キックオフ直後からエンジンをフル回転、オリンピアコスのゴールに迫る。ナントの先制点が生まれたのは32分のことであった。縦パスが前線のモスタファ・モハメドに渡り、モハメドがシュートを決める。2002年3月のチャンピオンズリーグ二次リーグ第5節のボアビスタ(ポルトガル)戦のビオレル・モルドバン以来のボージョワール競技場でのナントの選手の得点となった。
 後半に入り、50分にナントはサミュエル・ムトゥサミの右ひざに当たったボールが味方のゴールに入り、オウンゴールとなって追いつかれたが、81分にエバン・ゲッサンが決勝点をあげる。ナントの欧州カップでのホームの勝利は2001年10月30日のラツィオ・ローマ(イタリア)戦以来となったのである。
 幸先良いスタートを切ったナントであったが、第2節はアゼルバイジャンのカラバフとアウエーで対戦、ここで0-3と大敗する。カラバフは第2シードであったが初戦で第3シードのフライブルク(ドイツ)にアウエーで敗れており、カラバフに初勝利を献上してしまった。

■中盤戦は首位のフライブルクと連戦、フライブルクでの試合に敗れる

 序盤の2節が終わった段階でフライブルクが連勝、ナントはカラバフとともに1勝1敗で追う。ナントは中盤戦で首位フライブルクと戦うことになった。この連戦で連勝すれば、一気に優位に立つことのできたナントであったが、堂安律の所属するフライブルクの壁は高かった。昨年オープンしたばかりのヨーロッパパーク競技場に集まった満員の3万4000人の観衆の前で赤いユニフォームが躍動する。フライブルクは前後半に1点ずつあげて2-0とナントを退ける。

■国内でも不振の続くナント、ホームの試合でも完封負け、2位以下が確定

 8月末から国内リーグでは勝利から見放されたナントはこの直後のレンヌとの試合も0-3と完敗、10月13日にボージョワール競技場にフライブルクを迎えた時のチーム状態は最悪であった。それでも3万人以上が集まり、ファンは期待したが、前後半に2点ずつ失点、0-4と大敗する。中盤でのフライブルク戦に連敗したナントは2位以下が確定した。ナントは第5節では勝ち点4差のカラバフをホームに迎え、望みをつなぐのである。(続く)

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