第3195回 終盤を迎えた欧州カップ (1) チャンピオンズリーグの優勝を目指すフランス人選手

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州カップの準決勝進出チーム

 本連載第3181回から第3186回で紹介した通り、欧州カップに出場していたフランス勢はヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝でニースがバーゼル(スイス)に敗れ、姿を消してしまった。
 5月に入ってから欧州カップは準決勝(ホームアンドアウエーの2試合)、決勝(1試合制)が行われるが、フランスでは4月末にフランスカップの決勝も行われ、5月の楽しみはリーグ戦だけとなった。
 欧州カップの準決勝の組み合わせはチャンピオンズリーグはレアル・マドリッド(スペイン)-マンチェスター・シティ(イングランド)とACミラン-インテル・ミラノ(いずれもイタリア)、ヨーロッパリーグはユベントス(イタリア)-セビリア(スペイン)とASローマ(イタリア)-レバークーゼン(ドイツ)、ヨーロッパカンファレンスリーグはAZアルクマール(オランダ)-ウェストハム・ユナイテッド(イングランド)とバーゼル(スイス)-フィオレンティーナ(イタリア)となる。  近年低迷していたイタリア勢が5チーム、スペインとイングランドから2チームずつ、ドイツ、オランダ、スイスから1チームずつとなっている。

■カリム・ベンゼマなどフランス代表4人を擁するレアル・マドリッド

 これらのチームにもフランス人選手は多数在籍している。レアル・マドリッドにはカリム・ベンゼマ、エドゥアルド・カマビンガ、オーレリアン・チュアメニ、フェルラン・マンディとフランス代表で活躍した選手が4人そろっている。特にカマビンガとチュアメニはカタールでのワールドカップでも活躍し、逆にベンゼマはカタールでのワールドカップが最後の大会となるはずであったが、直前の負傷でメンバーから外れた。フランス代表のメンバーから外れていた期間が長かったため、外国のクラブチームであるレアル・マドリッドでの活動期間の方が長くなっている。ベンゼマもすでに35歳であり、これからレアル・マドリッドの一員としてプレーする時間も長くはないであろう。これまでに多くのタイトルを獲得してきたベンゼマであるが、ワールドカップ出場を逃した後のチャンピオンズリーグ優勝への意欲は並々ならぬものがあるだろう。

■ACミラン所属のベテランのオリビエ・ジルー

 またACミランにもオリビエ・ジルー、テオ・エルナンデスと今回のワールドカップメンバーに加え、現在のフランス代表のGKのマイク・メニャン、出場機会は少ないが、ティエムエ・バカヨコ、ヤシン・アドリというメンバーもいる。ベンゼマより年長の36歳のジルーはフル出場こそ少ないものの、コンスタントに試合に出場しており、それまでの攻撃を支えてきたズラタン・イブラヒモビッチに代わって得点源となっている。チェルシーの一員として2019年のヨーロッパリーグに続き、2021年にはチャンピオンズリーグの優勝メンバーとなった。ジルーは、その夏にACミランに移籍し、リーグ制覇を成し遂げ、チャンピオンズリーグに参戦、優勝を狙う。かつてはチャンピオンズリーグの上位の常連だったACミランも優勝した2007年以来の準決勝進出となった。ジルーもベンゼマ同様、残された選手生活は長くない。
 メニャンは昨秋に負傷し、ワールドカップのメンバーから外れている。ただ、ACミランでの活躍が目に留まり、ウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダが引退したフランス代表の新チームでのGKを任されている。

■2度目のチャンピオンズリーグ制覇を狙うテオ・ヘルナンデスとジルー

 負傷でワールドカップに出場できなかったベンゼマやメニャンとは逆に他の選手の負傷によってワールドカップで活躍したのがテオ・エルナンデスである。左サイドバックのレギュラーであった兄のルカ・エルナンデスが第1戦の豪州戦の序盤に負傷、代役で決勝まで戦い続けたのが弟のテオ・エルナンデスであった。また、テオ・エルナンデスは2018年にレアル・マドリッドの一員としてチャンピオンズリーグで優勝しており、ACミランが優勝すれば、ジルー、テオ・エルナンデスと異なる国の異なるチームで2回目のチャンピオンズリーグ優勝を経験する選手が2人現れることになる。(続く)

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