第3624回 ヨーロッパリーグ開幕(3) 新戦力で臨んだリヨン、初戦を勝利で飾る

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■昨年に続いてヨーロッパリーグのリーグフェーズに臨むリヨン

 前回の本連載ではヨーロッパリーグのリーグフェーズに出場したフランス勢の第1節、ニースは黒星、リールは白星でスタートしたことを紹介したが、今回は最後に登場したリヨンについて紹介しよう。
 リヨンは1997-98シーズンから2019-20シーズンまで23シーズン連続で欧州カップに出場している。記録が途切れた後は3回欧州カップ出場を逃したが、今季は昨季に続いてヨーロッパリーグのリーグフェーズからの参戦となる。昨年のヨーロッパリーグはリーグフェーズで6位となり、決勝トーナメントにストレートイン、準々決勝でマンチェスター・ユナイテッドに敗れたが、オールド・トラフォードで行われた第2戦は延長戦にもつれ込み、大会屈指の名勝負となった。

■主力選手を放出、若い選手を補強したリヨン

 ただし、本連載第3605回で紹介した通り、リヨンは財政的な問題から、主力選手を大量に放出した。新加入選手はタイラー・モートンに加え、ルーベン・クライファート、アダム・カラベツ、ドミニク・グレイフ、マルタン・サトリアーノなどの若い選手を獲得した。この選手補強が功を奏し、今季はリーグ戦でも4勝1敗、この時点でモナコ、パリサンジェルマンに次いで3位である。
 欧州カップの初戦となる試合にもGKのグレイフ、DFのクライファート、MFのカラベツ、モートン、FWのサトリアーノと5人が先発した。特にクライファートはポルトガルのカーザ・ピアから移籍してきたが、以前ユトレヒトにも所属していたオランダ人選手である。名前からも想像できる通り、現在インドネシア代表監督のパトリック・クライファートの三男であり、アジアでインドネシアは日本と頂点を争っていることから、父親を日本の皆様はよくご存じであろう。

■コートジボワール代表のセバスチャン・アレを補強したユトレヒト

 試合はユトレヒトの本拠地ハルヘンワールト競技場で行われた。2万2000人の観衆からクライファートはブーイングと歓声を浴びる。一方、ユトレヒトの注目選手も新加入のセバスチャン・アレである。スペインのレガネスから今夏移籍してきたが、以前所属していたアヤックス(オランダ)での活躍はいまだに鮮明である。また、アレはフランス生まれでフランスの年代別代表の常連であったが、フル代表はコートジボワールを選択、2024年に行われたアフリカネーションズカップでは決勝戦で決勝点を決めたことは本連載第3330回で紹介した通りである。
 ユトレヒトは昨季オランダリーグで4位、ヨーロッパリーグの予備戦2回戦から参戦、シェリフ・ティラスポリ(モルドバ)、セルベット・ジュネーブ(スイス)、ズリニスキ・モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ)と3つのチームを退けてリーグフェーズに進出してきた。欧州カップの本戦に出場するのは実に15シーズンぶりのこととなる。藤田俊哉、高木善朗、前田直輝と日本人の系譜を継ぐチームが欧州の舞台に戻ってきた。

■終盤のターナー・テスマンの決勝点で勝利したリヨン

 試合の序盤はユトレヒトがリヨンのゴール前に迫る。ユトレヒトの攻撃を新加入のGKのグレイフが防ぐ。次第にリヨンがリズムをつかみ、16分にはパベル・シュルツがペナルティエリア内でファウルを受けたかに見えたが、審判は反則を取らず、リヨンにPKは与えられなかった。37分にはカラベツのシュートが決まるが、これは明らかにオフサイド、41分のサトリアーノのシュートはサイドネットと、リヨンが試合を支配したが、前半は両チーム無得点で折り返した。
 後半は開始早々、リヨンはクライファートがヘディングシュートするが、得点には至らない。攻め込みながら得点をあげることができないリヨンは65分に4人を入れ替える。しかし、74分にユトレヒトはエースのアレが決定的なチャンスをつかむが、シュートは枠をわずかに外れる。肝を冷やしたリヨンはその直後の75分にようやく得点をあげる。米国代表のターナー・テスマンが20メートルのシュートを決める。その後のユトレヒトの反撃をかわし、リヨンはリーグフェーズの初戦で勝利したのである。(この項、終わり)

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