第3660回 好成績で越年するフランス勢(3) パリサンジェルマン、アスレチック・ビルバオとスコアレスドロー
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■昨年とは見違える成績のリーグフェーズのパリサンジェルマン
前々回の本連載ではモナコがガラタサライ(トルコ)、前回の本連載ではマルセイユがサン・ジロワーズ(ベルギー)に勝利したことを紹介してきた。今回は12月10日に第6節を戦ったパリサンジェルマンを紹介しよう。昨季のパリサンジェルマンは欧州を制覇したとはいえ、リーグフェーズでは大苦戦を強いられた。第6節を終えた時点で25位と決勝トーナメントのプレーオフの出場圏内からも外れていた。終盤で何とかプレーオフ出場の権利を獲得した次第である。それに比べると今季は欧州王者の実績通りの成績である。序盤から3連勝、第4節でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れたとはいえ、ここまで5勝1敗、全勝のアーセナル(イングランド)に次いで2位である。首位奪還をうかがうパリサンジェルマンは第6節ではスペインのアスレチック・ビルバオと対戦する。
■11年ぶりのチャンピオンズリーグ出場となるアスレチック・ビルバオ
アスレチック・ビルバオはバスク人のみで構成されたユニークなチームである。この日の先発メンバーに名を連ねるユーリ・ベルチチェはアルジェリア人の父親とスペイン人の母親のもとでバスク地方で生まれ、アルジェリア代表からの誘いもあったがそれを断っている。ベルチチェはマクスウェルの後釜として2017-18シーズンの1季のみパリサンジェルマンに所属しており、チャンピオンズリーグにも出場し、その翌季からアスレチック・ビルバオ一筋でプレーしている。
パリサンジェルマンとアスレチック・ビルバオは欧州カップで1回だけ対戦したことがある。それは2011-12シーズンのヨーロッパリーグのグループリーグのことであり、2試合ともホームチームが勝利している。
アスレチック・ビルバオは昨季のスペインリーグの終盤に勝ち点を重ねて4位に滑り込み、11年ぶりのチャンピオンズリーグ出場となった。
■負傷者を多く抱えるパリサンジェルマン
ただ、ここまでのリーグフェーズは1勝1分3敗、勝利したのはアゼルバイジャンのカラバフ、引き分けたのはチェコのスパルタ・プラハであり、ニューカッスル・ユナイテッド、アーセナル(以上イングランド)、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)という有力リーグのクラブには歯が立たず、欧州の壁にぶつかっている。ただ、パリサンジェルマン戦の直前の国内リーグでは兄弟クラブでユニフォームも同じ赤と白の縦縞のアトレチコ・マドリッドに勝利しており、その勢いを持ち込むべく、ほぼ同じメンバーで欧州王者に立ち向かう。
ビルバオに乗り込んだパリサンジェルマンも直前の国内リーグ戦ではレンヌに5-0と大勝し、ルイス・エンリケ監督もメンバーの変更は少ない。負傷者や体調不良者が多いという台所事情もあり、ベンチに控えているフィールドプレーヤーは6人だけという異常事態となった。ウスマン・デンベレ、ルカ・シュバリエ、アクラフ・ハキミというメンバーのいない中で勝ち星を奪いたいところである。
■ウナイ・シモンがスーパーセーブを連発、スコアレスドロー
セニー・マユルのキックオフで始まった試合、パリサンジェルマンはこれまで同様パスを回し、ボールを支配する。3分には早くもウォーレン・ザイール・エメリのシュートがアスレチック・ビルバオのゴールを襲う。アスレチック・ビルバオは守備を固め、カウンターのチャンスをうかがうが、パリサンジェルマンに押し込まれてそのチャンスはない。一方のパリサンジェルマンも前半はチャンスらしいチャンスは45分、ゴール前でボールを左右に動かし、最後はマユルがシュートしたがGKのウナイ・シモンに防がれる。
後半もゴール前に迫ったのはパリサンジェルマンであった。49分にはクビチャ・クバラツヘリアのクロスからのマユルのシュートをウナイ・シモンがセーブする。53分のザイール・エメリのシュートもウナイ・シモンがブロック、パリサンジェルマンはシュートが枠に行くようになったが、ことごとくウナイ・シモンがスーパーセーブ、結局スコアレスドローとなる。
フランス勢はパリサンジェルマンが3位、マルセイユが16位、モナコが19位で越年するのである。(続く)
