第3701回 欧州カッププレーオフ (5) リール、レッドスター・ベオグラードを逆転し決勝トーナメントへ
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■期待外れだった第1戦のモナコとリール
今季のフランス勢でプレーオフを戦うのはチャンピオンズリーグのパリサンジェルマンとモナコ、ヨーロッパリーグのリールの3チームであったが、本連載第3698回と第3699回で紹介した通り、ファンの期待を裏切ったのはモナコとリールであった。いずれもホームゲームで敗戦、スコアは1点差ながら、低調な試合内容で、リーグフェーズの順位が上位の相手との対戦とはいえ、残念な結果となった。
ところが、モナコはアウエーの第2戦ではパリサンジェルマンに大健闘、1週間前とは見違えるような内容の試合、後半立ち上がりにザカリアがレッドカードで退場となり、2試合通算スコアで4-5と1点及ばなかったが、これまでフランス勢にチャンピオンズリーグで3勝無敗というパリサンジェルマンの4連勝を阻止して引き分けに持ち込んだことは評価できる。
■今年2勝目をあげたリール、「永遠のダービー」の直後にマラカナで試合
モナコがパリサンジェルマンと引き分けた翌日、リールはレッドスター・ベオグラード(セルビア)との第2戦に臨んだ。第2戦の舞台のベオグラードのライコ・ミティッチ競技場はセルビア国内最大のスタジアムで、マラカナと呼ばれ、レッドスター・ベオグラードとパルチザン・ベオグラードの「永遠のダービー」が2月22日に行われたばかりである。この試合ではスタンドの一部が放火され、試合が中断され、消防隊によって消火が行われるという始末である。
一方、リールは2026年に入ってから元気がなく、レッドスター・ベオグラードとの第1戦で敗れて、2026年の公式戦の成績は1勝2分7敗となったが、第1戦と第2戦の間の同じ週末にようやく今年2勝目をあげた。リールはアンジェとのアウエーゲームに臨んだが、この試合はアンジェ地方が洪水のため、無観客で行われた。観客の安全性を考慮したわけであるが、試合の延期ではなく、無観客というのはアンジェ側にリールが相手であれば勝利できる、という計算もあっただろう。しかし、試合はリールが優勢に展開し、前半アディショナルタイムにオリビエ・ジルーがPKを決めて1-0で勝利した。
■開始直後のオリビエ・ジルーのヘディングシュート
この試合が転機となったのか、リールはベオグラードで素晴らしい試合を展開した。リールは先発にジルーを起用した。2月になってからベンチスタートの多いジルーであったが、ブルーノ・ジェネジオ監督は直前のアンジェ戦に続いて先発として起用、欧州のビッグクラブで栄光を知るベテランに最前線を託す。
永遠のダービーでパルチザン・ベオグラードを3-0と下したレッドスター・ベオグラードはパルチザン・ベオグラード戦とほぼ同じメンバーでリールを迎え撃つ。レッドスター・ベオグラードは立ち上がりの2分、リールからボールを奪い、ジェイ・エネムがシュートを放つが、リールのGKベルケ・エゼルがシュートをキャッチする。第1戦に続き、レッドスター・ベオグラードの試合かと思われたが、6分のジルーのプレーがスタンドの雰囲気を一転させた。リールは右サイドからバンジャマン・アンドレがクロスを入れる。これをニアポストのジルーがヘディングで鮮やかに決める。これで2試合通算スコアはタイとなった。ジルーは最前線で守備にも貢献し、40分にもマティアス・フェルナンデス・パルドからのクロスをシュートしたが、これはゴールからの距離が長く、得点にはならない。
■延長前半のネイサン・エンゴイのゴールでリールが決勝トーナメントへ
後半に入ってもジルーの運動量は落ちない。最前線でレッドスター・ベオグラードの守備をかく乱し、ガエタン・ペランなどのシュートにつなげる。両チームとも後半は無得点、試合は延長に入る。
延長前半の99分、リールは左サイドからフェルナンデス・パルドが中央にクロスを供給、これをフェリックス・コレイアが右に展開、走り込んできたネイサン・エンゴイが右足で得点をあげる。レッドスター・ベオグラードは延長後半の106分にマルコ・アルノートビッチがヘディングでシュートするもGKの真正面、第1戦とは見違える試合を展開したリールがプレーオフを勝ち抜いた。(この項、終わり)
