第2628回 四強の決まったフランスカップ(6) 1部勢を倒したベルフォール、エピナル

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■先制点を奪いながら延長後半のアディショナルタイムに逆転されたリモネ・サンディディエ

 前回の本連載ではフランスカップのベスト8決定戦の1部勢対決を紹介した。残りの4試合は1部勢と下位リーグ勢のカードとなった。1月29日にはナショナル2部のベルフォールがモンペリエ、ナショナル3部のリモネ・サンディディエがディジョン、1月30日にはナショナルリーグのポーがパリサンジェルマン、ナショナル2部のエピナルがリールにそれぞれ挑戦し、予想を上回る健闘をした。
 この中で最も下部のリーグに所属しているのはリモネ・サンディディエ、リヨン近郊のチームであり、リヨンの本拠地のグルーパマ競技場の練習用グラウンドで1部17位のチームを迎えた。前半は両チーム無得点、先制点を奪ったのはリモネ・サンディディエであった。後半立ち上がりの49分、クロスからのチャンスをアジズ・ブージが決めて、2600人の観衆は歓喜する。しかし、ディジョンも55分に同点に追いつく。その後もディジョンはバーやポストに当たるシュートを放ちながら、逆転はできず、延長戦に入る。延長後半も終わろうとし、PK戦かと思われたアディショナルタイムの121分、ディジョンはマブディディが決勝点をあげて、8強入り、ナショナル3部のリモネ・サンディディエはここで力尽きたのである。

■モンペリエをPK戦で破ったベルフォール

 ベルフォールはベスト16決定戦では2部のナンシーを下し、今度は1部のモンペリエに挑戦する。フランシュコンテ地方のベルフォールは多くのスポーツ選手を輩出している都市である。試合はモンペリエが一方的に支配し、ベルフォールのゴールに次々とシュートを浴びせる。ジョルダン・フェリー、アンディ・ドロールが次々とシュートを放つが、4500人のファンの声援が18歳のGKエディ・エランジェを助け、無失点で試合は進む。そして試合はPK戦となり、PK戦でベルフォールは5-4と競り勝ち、1部リーグ4位のチームを下したのである。

■主力を温存し勝利したパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンはベスト16決定戦でボルドーを破ったナショナルリーグのポーと対戦する。ポーのアモー競技場はボルドー戦ではピッチの状態が悪く、さらに試合前日に雨が降ったため、心配されたが、それほどひどくはない状態でキックオフとなった。パリサンジェルマンはMCNと言われるキリアン・ムバッペ、エディンソン・カバーニ、ネイマールはいずれも先発メンバーから外れ、ムバッペだけがベンチ入り。1万6000人以上のファンの集まったポーが序盤はまずまずの試合展開で期待を持たせる。しかし、この日主将を務めたレアンドロ・パレデスがマウロ・イカルディのパスを受けてゴール、パレデスにとって今季初ゴールとなった。後半に入ってもパオロ・サラビアが追加点を決める。パリサンジェルマンはムバッペをピッチに立たせることなく勝利したが、右サイドバックのコラン・ダグバが負傷して退場、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに向けて不安要素となった。

■窪田アルファのエピナル、リールに逆転勝利

 そして日本の皆様が最も注目していたのはナショナル2部のエピナルとリールの試合であろう。エピナルに所属する窪田アルファは日本では関東一高に所属していた。日本人の父とシエラレオネ人の母の間に生まれた窪田は日本では人種差別に悩み、フランスに渡り、ボルドーの下部組織で新たなサッカー人生をスタートした。ボルドーの下部組織で優勝し、トップチームでの出場機会を求めて2018年の夏にエピナルに移籍してきた。日本人のファンが注目している選手である。エピナルの相手のリールはチャンピオンズリーグにも出場したリーグ7位のチーム、8分にロイック・レミが先制点をあげた。しかしエピナルは後半に入って54分にジャン・フィリップ・クラッソが同点ゴールを決め、さらに61分には逆転ゴールを決める。試合終盤には窪田も交代出場し、勝利のホイッスルをピッチの上で仲間とともに喜んだのである。(続く)

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