第932回 着々と進む国内カップ(1) 同時刻にキックオフされた注目の2試合

■ほぼ1月の間に4試合が行われる国内カップ

 年が明けてからのサッカーの国際試合は、代表の試合は2月のアルゼンチン戦、欧州カップは2月中旬から始まり、1月にはサッカーの国際試合は予定されていない。1月のフランスのスポーツ界は、パリ・ダカールラリーが目玉であったが、昨年は中止となり、今年は南米での開催となり、国民の関心も下がったようである。以前はラグビーの5か国対抗(現在は6か国対抗)が1月半ばから始まっていたが、現在は2月になってから開幕する。
 また、偶数年であればアフリカ選手権があるが、奇数年の今年は他の競技の世界選手権や欧州選手権も国内で予定されておらず、スポーツイベントの少ない1月となった。
 その中で国内サッカーはリーグ戦が3試合予定されているほか、フランスカップのベスト32決定戦とベスト16決定戦、リーグカップの準々決勝が予定されている。また、リーグカップは2月の第1週に準決勝が行われる。
 すなわち、ほぼ1月の間にフランスのサッカー界は国内カップの試合を4試合行うことになる。これらのカップ戦の勝者にUEFAカップ(来季からはヨーロッパリーグ)の出場権が与えられることから、リーグ戦以上に関心を集めることもありうる。

■大幅に日程がずれ込んだリヨンのベスト32決定戦

 この中でフランスカップのベスト32決定戦についてはすでに本連載で紹介し、7部リーグに相当する県リーグのシラインがベスト32に勝ち残ったこと、波乱が少なく1部勢のチームで下位のリーグのチームに敗れたのはナンシーとオセールだけであったこと、そしてリヨンとコンカルノーの試合がグラウンド凍結により大幅に延期されてしまったことを紹介した。
 リーグ戦を首位で折り返したリヨンであるが、年明け最初の試合が延期になってしまった。この余波であろうか、今年最初の試合となったリーグ戦のロリアン戦はホームゲームでありながら1-1とドローに終わり、2位ボルドーに勝ち点1差に迫られてしまった。コンカルノー-リヨン戦の試合日程は大幅にずれ込み、1月24日に行うことになった。
 ベスト16決定戦はすでに1月20日から始まっており、リヨンがベスト32決定戦を戦う前に3チームがベスト16に勝ち名乗りを受けている。そして24日にはベスト16決定戦が8試合組まれている。

■実力の違いを見せたリヨンが大勝

 その8試合のうち、コンカルノー-リヨン戦と同じ15時にキックオフされたのがシライン-トゥールーズ戦である。この2試合がフランス中の注目を集めることになった。
 コンカルノーはガンガンでホームゲームを行い、多くのファンがコンカルノーからガンガンへ駆けつけた。ガンガンのルドルー競技場は1万5000人の観衆で満員になった。この試合の勝者のベスト16決定戦の相手はすでに決まっており、マルセイユと対戦することになっている。リヨンは、リーグ戦ではボルドーが猛追、コンカルノーとの試合に勝ったとしても4日後にマルセイユと対戦、と目の前の相手に集中できない要素は多かった。しかし、リヨンは実力の違いを見せ、6-0とコンカルノーを一蹴したのである。

■7部のシライン、トゥールーズに大敗し、夢終わる

 この日行われた試合でもう1つの注目が7部からベスト32入りしたシラインの戦いである。シラインはベスト32決定戦同様、アグノーでホームゲームを行う。もし勝てばフランスカップの歴史で初めて7部のチームがベスト16決定戦に進むことになる。シラインの対戦相手は1部で5位のトゥールーズである。フランスカップの歴史で6段階も違うリーグのクラブが対戦するのは稀有なことであろう。8500人収容のスタジアムは満員に膨れ上がり、8ユーロのチケットがインターネット上では300フランで流通すると言う異例の盛り上がりとなった。
 しかし、シラインの夢はここで終わった。13分に先制点を許した後、よく守ったが、42分、45分と前半終了間際に連続失点を喫する。そして後半はトゥールーズのゴールラッシュにより、5失点、結局0-8と大敗したが、ここまでの戦いはフランスカップの歴史に残るであろう。(続く)

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