第1200回 早くも大荒れのフランスカップ (2) 1部勢の意地を見せた首位リール

 おかげさまで第1200回の連載を迎えることになりました。一昨年9月に第1000回、昨年5月に第1100回の連載を迎え、順調に第1200回の連載を迎えることができたのも読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読よろしくお願いいたします。

■次々と敗れた1部勢の流れを止めたリール

 ジャイアントキリングがよく起こるフランスカップのベスト32決定戦であるが、前回の本連載で紹介した通り、1部勢はトゥールーズ、モナコ、ニース、オセールと最初に登場した4チームのうち勝ち抜いたのはニースだけであり、しかもPK戦での勝利である。5番目と6番目のチームとして登場したのがリーグ首位のリールと最下位のアルル・アビニョンであるが、アルル・アビニョンもPKで敗退している。
 このように次々と倒れていく1部勢の流れにストップをかけたのが首位のリールであった。リールはCFA2部に所属するフォルバックとアウエーで対戦する。フォルバックはロレーヌ地方のドイツ国境の都市であり、フランスカップには5回戦から参戦し、4連勝してこのベスト32決定戦に進出、フランスサッカーで頂点に立っているチームに挑戦することになった。5400人収容のシュロスベール競技場は満員となる。しかしリールは立ち上がりから試合を支配し、前半にエデン・アザールが先制点をあげ、後半にオーレリアン・シュジュ、ジェルビーニョが得点をあげ、フォルバックの反撃を後半ロスタイムのPKによる1ゴールにおさえ、3-1で勝利し、1部勢の実力を見せたのである。

■ボルドー、地元で赤い悪魔を倒す

 そしてリールとアルル・アビニョンの試合の前半が終わったころの17時45分にはボルドーが登場する。ボルドーはリーグ前半戦を終えた時点で8位、ホームゲームであるが、ファンの関心は低く、わずか8000人の観衆である。ボルドーが迎え撃つのは赤い悪魔と言われるルーアンである。ルーアンは1899年創立の古豪チームであり、優勝経験こそないがかつては1部でも活躍した。また、日本代表監督を務めたことのあるフィリップ・トルシエが所属していたことから日本のファンの皆様ならばよくご存じのチームである。しかし、そのルーアンも近年は低迷し、現在はナショナルリーグに所属している。そのルーアンは空席の目立つシャバン・デルマス競技場で先制点を奪う。年末年始の間はモロッコで合宿を行ったボルドーはここで目が覚める。前半のうちに追いつき、後半には勝ち越し点、ダメ押し点を奪い、3-1で勝利したのである。
 この8日の土曜日はこれ以外に1部勢が2部以下のチームと対戦したのが5試合、1部勢同士の対戦が2試合あった。2部以下のチームとの対戦についてはロリアンが同じブルターニュのバンヌ(2部)と対戦し、4-1と快勝し、ソショーはCFA2部のジャルビーユと対戦して2-1と勝利している。

■姿を消した1部勢、サンテエチエンヌ、モンペリエ、バランシエンヌ

 一方、1部の3チームが2部のチームに敗れ、早々とフランスカップのトーナメント表から消えてしまった。リーグで6位のサンテエチエンヌはホームにクレルモンを迎えたが、0-2と完敗してしまう。また、10位のモンペリエは名門ランス(Reims)に終盤に決勝点を奪われ、0-1で敗れ去ってしまう。そして、16位のバランシエンヌはアンジェと対戦し、1人退場者を出す展開の中で、先制点を奪いながらも、同点に追いつかれ、延長後半に決勝点を奪われて1-2で敗れた。

■1部勢対決を制した上位のパリサンジェルマンとリヨン

 そして1部勢同士では上位チームと下位チームの対戦となった。まず、パリサンジェルマンはランス(Lens)と対戦する。近年両チームはリーグ戦では上位にあるが、今季はパリサンジェルマンが2位、ランスは下から2番目の17位と対照的な成績となった。巻き返しを図るランスは、前半戦を2位で折り返し、ヨーロッパリーグでも決勝トーナメントに駒を進めたパリサンジェルマンの勢いに圧倒された。前半20分にズーマナ・カマラが先制点、後半に入っても50分にネネ、53分にはギヨーム・オラオがPKを決め、62分にはオラオが4点目、さらに75分には途中出場のペギー・リュインデュラが5点目を入れる。一方のランスは終盤にPKで1点を返すのが精一杯で、パリサンジェルマンが1部決戦を5-1という大差で制したのである。
 リーグ4位のリヨンは下から3番目のカーンとアウエーで対戦した。地力に勝るリヨンであったがなかなか得点を奪うことができず、ようやく74分にセネガル代表のパペ・ディアハテが決勝点をあげ、1-0で初戦を突破したのである。(続く)

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