第1502回 3強大苦戦のフランスカップ(3) 前年王者のリヨン、ナショナルリーグ19位のエピナルにPK負け

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■人気チームがこぞって登場する1月6日

 リーグ戦の前半戦を勝ち点38で折り返したパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユの3チームにファンの関心は集まる。この3チームのフランスカップ初戦の模様を紹介してみよう。この3チームはいずれも2日目となる日曜日の1月6日に登場する。これら3チームだけではなく6日には前半戦4位のレンヌ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントに残っているボルドー、前半戦の首位争いにも加わったサンテチエンヌ、昨季のリーグチャンピオンのモンペリエなど人気チームがそろって登場した。

■3チームがベスト32決定戦に残ったボージュ県

 リーグ3強の中で最初にピッチに姿を現したのはリヨンとマルセイユ、14時15分キックオフの試合である。
 リヨンはナショナルリーグのエピナルとアウエーで対戦する。エピナルはロレーヌ地方にあるボージュ県の県庁所在地であるが、このボージュ県から3チームがベスト32決定戦に進出している。4部に相当するラオン・レタップ、5部に相当するCFA2部のタオンも勝ち残っているが、これら3チームの中で最も上位のリーグに所属しているのが3部リーグに相当するナショナルリーグのエピナルである。また、エピナルはボージュ県の県庁所在地でもあり、県民が最も期待するクラブであり、1970年代から1990年代にかけて2部に所属したこともある。
 しかし、県を代表するクラブとは言っても相手はリヨン、2000年代に入ってからの7連覇は記憶に新しく、ヨーロッパリーグでも圧倒的な強さで決勝トーナメントに進出している。

■エピナルが2点先制、リヨンが逆転するが、エピナルが追いつき、延長戦、PK戦に

 ナショナルリーグでも下から2番目の19位というエピナルだが、コロンビエール競技場はほぼ満員の7000人の観衆が奇跡を期待して集まった。厚い選手層を誇るリヨンであるがベストメンバー、その中で先制点をあげたのは黄色いユニフォームの地元エピナルであった。11分にCKからヘディングでトリスタン・ブーバヤがゴールネットを揺らす。リヨンのGKはレミ・ベルクートル、信じられない表情でボールをネットから拾い上げる。さらに14分にもブーバヤが追加点をあげ、エピナルは2-0とリードを広げる。
 しかし、リヨンは昨季のフランスカップの勝者である。簡単にここで引き下がるわけにはいかない。15分にはバフェタンビ・ゴミス、21分にはグエイダ・フォフォナが連続ゴールであっという間に2-2となる。ここからもリヨンが攻め続けるが、なかなか勝ち越し点が奪えない。後半に入って62分、エピナルはペナルティエリア内で痛恨のハンド、このチャンスにPKをリサンドロが決めてリヨンはようやく勝ち越す。このままリヨンが逃げ切るかと思われたが、フランスカップのベスト32決定戦には常に魔物が潜んでいる。77分にはハンドの反則を犯してPKを献上したバランティン・フォッキが汚名返上とばかりにゴールを決めて試合は3-3となった。その後もリヨンが攻撃を仕掛けるが、規定の90分が終わってもスコアは動かず、延長戦に突入する。
 いきなり延長戦となったリヨン、延長戦になっても圧倒的に攻め、エピナルのゴールにシュートを放ち続けるが、惜しいところで得点にならない。耐えに耐えたエピナルは結局、3-3のままPK戦に持ち込んだのである。

■PK戦を制したエピナル、国内カップ戦で初戦負けのリヨン

 PK戦の主役はGKである。リヨンのGKはベルクートル、昨年まではウーゴ・ロリスの陰に隠れていたが、ロリスが移籍してから正GKとなり、ロリスにも勝るとも劣らない活躍をしている。しかし、この日は守備機会がそれほどなかったにもかかわらず、すでに3失点、むしろ矢のように飛んでくるリヨンのシュートを次々とセーブした31歳のオリビエ・ロバンがベルクートルを思わせる大活躍で120分の戦いを終える。
 PK戦はエピナルが先蹴となる。1人目は両チーム成功、そしてリヨンの2人目のフォフォナのシュートはロバンの両手の中に入る。エピナルも3人目が失敗したが、リヨンの3人目のバカリ・コネのシュートはバーの上を通り過ぎる。4人目は両方が決め、5人目を迎えるところでエピナルが3-2とリード、エピナルの5人目はセネガル人のファマラ・ディエディウ、しっかりと決めて、エピナルが勝利する。
 前年度王者のリヨンはリーグカップに続き、今季の国内カップ戦では連続して初戦で敗れたのである。(続く)

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