第1561回 フランスカップ優勝はボルドー(3) ボルドー、4回目の優勝、史上3回目の兄弟優勝

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リーグ戦最終節での対戦はボルドーの勝利

 ボルドーとエビアンの対戦となった今年のフランスカップ決勝、その5日前の5月26日、ボルドーのシャバン・デルマス競技場でのリーグ戦最終戦で両チームは対戦した。ボルドーはこの時点で9位、この勝敗が来季に向けて大きな影響を持つわけではない。一方のエビアンは15位であり、降格圏にある18位のトロワとは勝ち点3の差であるが、得失点差は11の差があるうえ、エビアンと同勝ち点で得失点差で下回るチームがアジャクシオとソショーの2チームがあるため、エビアンの1部残留はほぼ確実であると言えよう。
 フランスカップ決勝の前哨戦ということで注目を集めたが、余裕のあるボルドーは通常は主将を務めるヤロスラフ・プラシルだけではなく、ルドビック・オブラニヤックやグレゴリー・セルチックがベンチスタートである。一方のエビアンは降格の危険性がわずかながらあるため、ベストメンバーで戦い、けがなどがない限り5日後も同じメンバーで戦うであろう。試合は終始ボルドーが優勢に進め、4分にはペナルティエリアに走り込んだシェイク・ディアバテをエビアンの選手が倒し、PK。このPKをディアバテ自身が決めて先制。34分にはアブドゥ・トラオレからのパスをまたディアバテが決めて2-0。対するエビアンは前半のロスタイムにペナルティエリア内でボルドーのGKセドリック・カラッソがエビアンのセドリック・バルボザに対しファウル。警告となり、PKが与えられ、ヤニック・サグボがPKを決めて1点差。しかし、このまま後半も試合は進み、ボルドーが余裕を持って2-1の勝利、ボルドーは7位に順位を上げ、エビアンは16位で残留を決める。

■初めての金曜日の決勝、11年ぶりに当日券を販売

 その5日後、95回目の歴史で初めて金曜日に決勝が行われるフランスカップ。コロンブで開催されていたころは日曜日に行われていたが、1974年以降は土曜日にナイターで行われるようになり、舞台をパルク・デ・プランスからスタッド・ド・フランスに移してもこれは例外が2回あっただけで、これまで平日に決勝が行われたことは再試合のケースを除くと2回しかない。1986年と1987年のことであり、いずれも代表やクラブの国際試合との日程の調整がつかず、水曜日に行われた。
 このような変則的な日程であることも重なり、フランスカップの決勝戦としてはビッグクラブ以外の組み合わせ、平日開催ということで2002年以来11年ぶりに当日券が売り出されることになった。11年前のバスティア-ロリアン戦は6万人台で空席が目立ったが、今年はほぼ満員の7万7000人が集まった。この中にはフランスから17年ぶりに国賓として訪日するフランソワ・オランド大統領ももちろん含まれる。そして試合内容はいい意味でファンの期待を裏切るスペクタクルなものになった。

■ゴールの応酬を制したシェイク・ディアバテの決勝点

 39分にボルドーはマリアノからディアバテにパスがつながり、エビアンのGKベルトラン・ラケと1対1になり、フェイントでかわしてシュート、エビアンのストッパーのカンボンがカバーに入るも及ばず、先制点はボルドー。後半開始早々にボルドーはPKのチャンスを得る。5日前のボルドーでの対戦の再現となったが、今度はディアバテが失敗する。そして51分、今度はエビアンがパスをダイナミックにつなぎ、エースのサグボが同点ゴール。試合の流れはわからなくなった。しかし、その直後にボルドーはセルチックが蹴ったFKをアンリ・セブがボレーで合わせて勝ち越す。このままボルドーが押し切るかと思われたが、70分にエビアンはボルドー守備陣の乱れを突き、ブライス・ジャ・ジェジェが同点ゴール。両チーム2得点のまま時計の針は過ぎゆき、延長戦かと思われた89分、エビアンのFWからボルドーが奪ったボールが前線までつながる。オフサイドぎりぎりのところでディアバテが決勝点。シーズン終盤になって好調なマリ代表の活躍でボルドーは26年ぶり4回目のフランスカップを獲得したのである。

■前座のガンバルデラカップでも優勝したボルドー

 そしてボルドーはこの試合の前座のガンバルデラカップでもスダンを下し優勝している。ボルドーは1970年のサンテチエンヌ、2007年のソショーに次ぎ、史上3チーム目のガンバルデラカップとフランスカップの兄弟優勝となったのである。(この項、終わり)

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