第1829回 フランスカップ4強決定(6) 黄金カードを制したパリサンジェルマン

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■直前のリーグ戦ではスコアレスドローのパリサンジェルマン-モナコ戦

 前回の本連載では準々決勝4試合のうち3試合を紹介したが、なんといっても注目は今回紹介する3月4回に行われたパリサンジェルマン-モナコ戦である。チャンピオンズリーグを戦う両チームは直前の3月1日にもリーグ戦の第27節でモナコで対戦している。この時は両チームとも譲らずスコアレスドローとなり、昨年10月5日のパリでの対戦(1-1)に引き続きリーグ戦では2戦2分となり、国内タイトルでは両チームの対戦は今季最後、ここで雌雄を決することになった。パリサンジェルマンは勝ち点53リーグ2位、1試合消化試合が少ないモナコは勝ち点44で4位、この対戦を今年のフランスカップの事実上の決勝戦と見る向きもある。

■過密日程の中で戦う両チーム

 両チームの2月下旬から3月上旬にかけての日程を確認してみよう。パリサンジェルマンは2月17日にチャンピオンズリーグのチェルシー(イングランド)戦(ホーム)、21日にリーグ戦第26節、3月1日にリーグ戦第27節(モナコ戦)、4日にこのフランスカップのモナコ戦、7日にリーグ戦第28節、11日にアウエーのチェルシー戦となる。モナコは2月20日にリーグ戦第26節、25日にチャンピオンズリーグのアーセナル(イングランド)戦(アウエー)、3月1日にリーグ戦第27節(パリサンジェルマン戦)、4日にこのフランスカップのパリサンジェルマン戦、7日にリーグ戦第28節、13日にリーグ戦第29節、17日にホームのアーセナル戦となる。

■先制点はパリサンジェルマンのダビド・ルイス、追加点はエディンソン・カバーニ

 以上のように両チームともチャンピオンズリーグの決勝トーナメント、リーグ戦と過密な日程ではあるが、このフランスカップもメンバーを基本的には落とさずに臨む。ただし、パリサンジェルマンは得点源のズラタン・イブラヒモビッチが出場停止、それ以外にヨアン・カバイエ、チアゴ・モッタ、セルジュ・オーリエなどが負傷でメンバーから外れる。一方のモナコはワラス、アイメン・アブデヌールというストッパー陣が出場停止、負傷による離脱者もカルバーニョらがいるが、シーズン終盤のタフな戦いでは覚悟しなくてはならない。そしてそのためにパリサンジェルマンは420万ユーロ、モナコは245万ユーロという大型補強をしてきたのである。
 パルク・デ・プランスは4万5000人の大観衆で膨れ上がった。モナコは2部に落ちていた期間もあったが、パルク・デ・プランスでは過去8年間負け知らずである。パリサンジェルマンがモナコとフランスカップで対戦するのは実に5年ぶりのことである。
 両チームともFWは1トップ、パリサンジェルマンはエディンソン・カバーニ、モナコはディミタール・ベルバトフである。そしてレギュラーのストッパーを欠くモナコは主将のジェレミー・トゥーラランと18歳のアブドゥ・ディアロがコンビを組み、パリサンジェルマンはダビド・ルイスを最終ラインに戻し、主将のチアゴ・シウバと中央を守る。
 先制点は試合開始直後に決まった。開始3分、右サイドのCKをマルコ・ベラッティが蹴り、このボールをダビド・ルイスがモナコのGKマールテン・ステケレンブルクと競り合うようにしてヘディングで合わせる。このダビド・ルイスの先制点でパリサンジェルマンは優位に立つ。
 この試合、調子が出なかったのが両チームのトップである。パリサンジェルマンのカバーニ、モナコのベルバトフとも好機を次々と逃し、ファンのため息を誘う。しかし、ゴールネットを揺らしたのはカバーニであった。後半の序盤の52分、ベラッティからのクロスをペナルティエリア内で受けたカバーニが右足でシュート、モナコのGKのステケレンブルクのセービングも及ばず、パリサンジェルマンは貴重な追加点をあげる。

■4つのタイトルを追うパリサンジェルマン

 満員のファンの期待を裏切らぬ好ゲームはパリサンジェルマンが2-0と勝利し、準決勝に進出する。パリサンジェルマンはリーグ戦(2位)、リーグカップ(4月11日に決勝)、チャンピオンズリーグ(4月14日または15日に準々決勝)、フランスカップ(4月7日または8日に準決勝)と4つのタイトルを追い続けるのである。(この項、終わり)

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