第1828回 フランスカップ4強決定(5) サンテチエンヌ、ギャンガン、オセールが4強入り

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準々決勝で対戦するリーグ2位のパリサンジェルマンと4位のモナコ

 フランスカップの準々決勝の組み合わせ抽選はベスト8決定戦のパリサンジェルマン-ナント戦の後に行われたが、またも驚きをファンに与えることになった。ブレスト-オセール、ブローニュ-サンテチエンヌ、コンカルノー-ギャンガンという下位リーグのクラブの出場する3試合と1部の上位チーム同士のパリサンジェルマン-モナコというカードが生まれた。
 ベスト8決定戦は3月3日から5日にかけて行われたが、この時点でフランスカップの準々決勝に出場する4チームの順位はパリサンジェルマンが2位、モナコが4位、サンテチエンヌが5位、ギャンガンが11位である。出場するチームのうちナンバー1とナンバー2が対戦する確率は実に7分の1、フランスのサッカーファンはこの7分の1の確率をどうとらえればいいのであろうか。
 パリサンジェルマン-モナコ戦ばかりに社会の関心は集中したが、それ以外の試合も地元ファンにとっては重要である。なんといっても上位2チームのうち1チームが準々決勝で確実に消える。準決勝に残れば、大きなチャンスがある。

■ステファン・ルフィエの活躍でサンテチエンヌが勝利

 まず準決勝の1枚目のチケットは3月3日、ブローニュがサンテチエンヌを迎える一戦で始まった。緑の軍団サンテチエンヌのファンは大挙してドーバー海峡に臨むブローニュに移動する。両チームなかなか得点が生まれなかったが、均衡を破ったのはホームのブローニュであった。ブローニュはPKで1点を先行する。追うサンテチエンヌは85分にヨアン・モロのFKをバンジャマン・コルニェがヘディングでシュートし、試合は延長戦へと突入する。延長戦でも両チームゴールはなく、PK戦でチケットを争うことになった。
 PK戦となれば有利なのはサンテチエンヌである。サンテチエンヌのGKは代表入りもしているステファン・ルフィエ、そして久しぶりのタイトルとなった2013年のリーグカップでは優勝するまでの5試合のうち、ロリアン、パリサンジェルマン、リールとの3試合をPK戦で制している。この立役者がルフィエであった。PK戦はサンテチエンヌが4-3と競り勝ち、実に1993年以来12年ぶりの準決勝進出を決めた。

■後半ロスタイムの決勝点で勝利したギャンガン

 ブルターニュ勢同士の対戦となったCFAのコンカルノーと1部のギャンガンの試合はコンカルノーのホームゲームであったがロリアンに舞台を移して行われた。クラブ史上初のフランスカップ8強入りを果たしたコンカルノーであるが、ここまでの5試合はすべて2部以下のチームであり、初めて1部のチームと対戦する。会場はロリアンの人工芝のムストワール競技場であった。ブルターニュ勢の対戦とあって競技場には1万8000人の観衆が集まった。
 試合は開始早々から動き、3分にギャンガンは最初のCKを得ると、このCKからクリストフ・マンダンヌが先制点をあげる。その直後にコンカルノーもチャンスをつかみスタンドを沸かせるが、同点にはならず、ギャンガンがリード。しかし22分にコンカルノーはクリストフ・グルメロンのゴールで追いつく。グルメロンは喜びのあまりシャツを脱いでしまい、警告を受ける。
 後半はギャンガンが優勢に試合を展開するもゴールならず、延長戦へ投入かと思われたロスタイムの91分、クラウディオ・ボービュのゴールで前年覇者は4強入りを決めたのである。

■PK戦を制したオセールも準決勝へ

 また、2部同志の戦いとなったブレスト-オセール戦、若手育成に伝統的な定評のあるオセールは昨春のガンバルデラカップで7回目の優勝を果たしている。この優勝メンバーも何人か出場する。試合は延長戦を戦っても両チーム得点が生まれず、PK戦となる。PK戦ではオセールの精神的な強さが勝り4-2で勝利する。1979年のフランスカップ準優勝で一躍注目を集め、4回の優勝を誇るオセールが準決勝に進出するのは10年ぶり6回目のことである。(続く)

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