第2443回 荒れる幕開け、フランスカップ (1) アンジェ、モンペリエ、ニームが敗退

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■初日のグルノーブル-ストラスブール戦が延期

 ラグビーのワールドカップイヤーの年明けということで新年からはラグビーを特集してきたが、サッカーの世界に戻れば、新年はフランスカップから始まる。ジャイアントキリングが起こりやすいと言われる1部勢の初戦となるベスト32決定戦だが、近年は上位勢が順当に勝利する傾向が続いてきたが、今年は荒れるフランスカップとなった。
 新年最初の週末に32試合が行われ、まず金曜日の1月4日にナント-シャトールー(2部)、グルノーブル(2部)-ストラスブールの2試合が予定されていた。英雄バヒッド・ハリルホジッチが監督として戻ってきたナントは4-1と好スタートしたが、グルノーブルではグラウンドが凍結したため、試合が延期、これが荒れるフランスカップの序章となった。

■6部チームとして6年ぶりに1部のチームを破ったビリ・シャティヨン

 土曜日の5日に18試合、日曜日の6日に11試合、月曜日の7日に1試合が行われたが、ここで次々と1部のチームが敗退していった。
 5日には1部勢が8チーム出場し、すべて下部リーグのチームとの顔合わせとなった。この中で3チームが姿を消した。
 アンジェが6部に相当するR1のビリ・シャティヨンに0-1と敗れた。試合は終始アンジェが優勢に進めていたが、後半の序盤の51分にFKからあげた1点をGKのバンサン・ダシルバが守り切って、最少得点でジャイアントキリングとなった。パリの南の郊外にあるビリ・シャティヨンはジョナタン・ゼビナ、ルイ・ガルシア、クリス・マビンガなど多数の代表クラスの選手がかつては所属したが、その中で最大のビッグネームはティエリー・アンリであり、クラブの誇りである。しかし財政的な問題により、今季は2ランク下のR1に降格となった。GKのダシルバは14年前、17歳の時にもベスト32決定戦に出場、その時は黄金期のリヨンに0-2と敗れたが、それから14年後、今度は1部勢のチームをシャットアウトした。1部勢が6部に相当するリーグのチームに敗れたのは2013年のアルル・アビニョン以来6年ぶりのことである。

■前半戦4位のモンペリエ、11位のニームも敗退

 また前半戦を終えた時点で1部で4位のモンペリエが3部に相当するナショナルリーグのアンタントSSGに敗れた。両チーム無得点のまま後半のアディショナルタイムの93分にヘディングシュートで1点を奪うという展開でアンタントSSGが勝利した。
 さらに同じナショナルリーグのリヨン・ドゥシェールが前半戦11位のニームを3-0と圧倒する。
 その他のアミアン、ギャンガン、カーン、ディジョン、リヨンの5チームは下部リーグの挑戦を退け、初戦を突破した。

■苦戦しながら初戦を突破したモナコ

 6日には前日を上回る9チームが出場し、この中でトゥールーズとニースが唯一の1部勢対決をする以外の7チームは下部のリーグのチームと対戦した。順当に勝利したのがパリサンジェルマン、サンテチエンヌ、スタッド・ド・ランスであった。リーグ前半戦を19位で終えたモナコは苦戦した。5部に相当するN3のカネ・ルシヨンとペルピニャンで対戦した。不振のモナコが相手ということで、スタンドには1万人の観衆が詰めかけた。本連載ではチャンピオンズリーグでのモナコの戦いを紹介したが、早々と敗退、そして国内でも降格圏内であり、アンリ新監督も悩んでいる。年末年始の中断期間を短縮し、早くも12月28日に練習を再開している。
 しかし、12人の負傷による離脱者が相次ぎ、ドイツのシャルケ04から獲得した36歳の元ブラジル代表のナウドを先発、9月に負傷してから長期間にわたって離脱しているロニー・ロペスをベンチ入りさせるという厳しい選択となった。2分にムッサ・シラが得点を奪い、幸先の良いスタートとなった。その後も18分に相手選手がレッドカードで退場し、数的有利になったが、70分以上無得点が続いた。結局、1-0で勝利したものの、N3のチーム相手の苦戦は後半戦も相変わらず茨の道を歩くことを余儀なくされることを暗示しているのである。(続く)

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