第2692回 パリサンジェルマン、フランスカップ制覇(4) 5回目の優勝を目指すチアゴ・シウバ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■セルチック・グラスゴーにも大勝、3連勝で本番を迎える

 フランスカップ決勝から始まる夏のタイトルのかかった連戦に向けてパルサンジェルマンは6月22日に練習を再開し、7月12日にはルアーブルで観客を入れて親善試合を行い、9-0と大勝した。17日と21日には本拠地のパルク・デ・プランスに5,000人の観客を入れて、親善試合を行った。17日にはベルギー2部のワースラント・ベフェレンを迎えて7-0と勝利する。
 21日にはスコットランドの強豪、セルチック・グラスゴーが2017-18シーズンのチャンピオンズリーグ以来3年ぶりに訪れた。セルチック・グラスゴーはシーズン開幕に備えて訪仏し、転戦しており、ニースと1-1のドロー、リヨンに1-2と敗れて、パリサンジェルマン戦となる。3年前の対戦でも7-1と一蹴したパリサンジェルマンは、今回も攻撃陣が爆発し、開始1分にはキリアン・ムバッペが先制点、25分にはネイマールが追加点を奪う。前半を2-0とリードして折り返したところでパリサンジェルマンは選手を交代させ、後半は控えの選手で臨む。セルチック・グラスゴーも選手を入れ替えたが、後半の控え組も2点をあげて、パリサンジェルマンは4-0と勝利し、公式戦再開前の3試合で20得点1失点と順調な調整ぶりを見せたのである。

■サンテチエンヌも親善試合を重ねる

 一方のサンテチエンヌも7月上旬から再開に向けて親善試合を重ねてきたナショナル3部のルミリーに4-1、ニースに4-1、ベルギー1部のシャルルロワに4-0と勝利してきたが、最後の調整となるベルギーのアンデルレヒト戦では敗れている。

■主将にしてストッパーのロイック・ペランとチアゴ・シウバ

 さて、今回のフランスカップ決勝での注目選手であるが、サンテチエンヌは前々回の本連載で紹介したロイック・ペランであるが、パリサンジェルマンはチアゴ・シウバを上げたい。チアゴ・シウバもペランと同様に主将にしてストッパーを務めている。同じ主将、同じポジションとしても注目であるが、チアゴ・シウバはこれまでに4回フランスカップで優勝している。今回優勝を果たせば、5回目の戴冠となり、外国人選手として初の快挙である。また、パリサンジェルマンのマルキーニョスも同様であり、ブラジル人がパリサンジェルマンの守備陣を長期間にわたって支えてきたことを意味している。

■サンテチエンヌとパリサンジェルマンで活躍したドミニク・バルテネイ

 これまでにフランスカップで5回優勝した経験のある選手は3人おり、マルソー・ソメルニンク(1946年から1948年、1953年、1955年)、アラン・ロッシュ(1986年、1987年、1993年、1995年、1998年)、ドミニク・バルテネイ(1974年、1975年、1977年、1982年、1983年)であるが、これらの選手の中で注目を集めたのがバルテネイである。
 バルテネイは最初の3回はサンテチエンヌの選手として、最後の2回はパリサンジェルマンの選手として優勝している。バルテネイは1978年にサンテチエンヌからパリサンジェルマンに移籍しており、サンテチエンヌの最後のタイトル獲得、そしてパリサンジェルマンの最初の優勝を経験している。移籍初年から7年間にわたって主将を務め、パリサンジェルマンの初タイトルである1982年のフランスカップ優勝、翌年のフランスカップ連覇に貢献している。実はパリサンジェルマンは1985年のフランスカップ決勝にも進出したが、このシーズン、バルテネイは力を落とし、主将の座をルイ・フェルナンデスに譲り、モナコとの決勝戦もベンチでチームが敗れるのを見ているだけだった。この試合を最後にバルテネイは2部のセートに移籍する。セートでは2シーズンしか選手としてプレーしなかったが、引退後監督となり、その経験を披露し、これを皮切りに国内外で監督を務めている。アラブ首長国連邦の代表チームの監督も経験したことから、日本の皆様もよくご存じであろう。
 さて、バルテネイが選手として活躍した両チームの戦い、どちらに軍配が上がるのであろうか。(続く)

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