第2693回 パリサンジェルマン、フランスカップ制覇(5) 明暗分かれた両主将、5回目の優勝を果たしたチアゴ・シウバ

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■マスク姿のマニュエル・マクロン大統領も臨席

 フランスサッカー界にとってほぼ4か月ぶりの試合となったフランスカップ決勝戦、常勝のパリサンジェルマンに古豪のサンテチエンヌが挑戦する図式となった。8万人収容のスタッド・ド・フランスであるが、5,000人に絞って観客をスタジアムに入れたが、実際にはサンテチエンヌに割り当てられたチケットをサンテチエンヌのファンがボイコットしたため、発表された観客数は2,805人にとどまった。そしてこの中にはマニュエル・マクロン大統領もいる。キックオフ前にマスク姿のマクロン大統領はピッチに降りてきて両チームの選手を激励する。

■チアゴ・シウバとロイック・ペランが紹介するイレブン

 大統領に選手を紹介するのは主将の役目である。前回の本連載で紹介したパリサンジェルマンのチアゴ・シウバが先に選手を大統領に紹介する。パリサンジェルマンの布陣であるがGKはケイロス・ナバス、DFはティロ・ケーラー、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、ミッチェル・ベイカー、MFは両翼にアンヘル・ディマリアとネイマール、中央の低い位置にパレデス、イドリッサ・グイエ、2トップはマルコ・イカルディとキリアン・ムバッペである。
 チアゴ・シウバに続き、ロイック・ペランが紹介した緑の仲間はGKはジェシー・ムーラン、DFはティモテ・コロジェイチャク、ペラン、ウェスレイ・フォファナ、マチュー・ドビュッシー、MFは低い位置にヤン・エムビラ、マディ・カマラ、攻撃的な位置にドニ・ブーアンガ、リャド・ブーデブー、イバン・マコン、FWは1人でロマン・アムマである。

■サンテチエンヌ優勢で始まった試合、先制点はネイマール

 両チームとも久しぶりの公式戦となったが、調子が出ないのはパリサンジェルマンの方であった。試合展開は予想と異なり、2012年の11月以来パリサンジェルマン戦の勝利のないサンテチエンヌが優位に試合を進めた。5分にはブーアンガのシュートがポストをたたくが、ゴールならず。
 動きの悪いパリサンジェルマンであったが、スーパースターたちはほんの1つのプレーで状況を変えることができる。パリサンジェルマンは14分にFKのチャンスからDFの裏に回ったムバッペが右足で強烈なシュート、これをサンテチエンヌのGKのムーランがはじいたところを、走りこんできたネイマールが決める。

■キリアン・ムバッペへのファウルで引退試合のロイック・ペランが退場

 実質的にはシーズン最初の試合と言えるが、激しい試合になり、20分にはパリサンジェルマンのケーラーが負傷で交代する。27分にはサンテチエンヌの主将のペランがムバッペに危険なタックル、主審は最初はイエローカードを提示したが、これに対してパリサンジェルマンの選手たちは判定が甘いと猛反発する。マルキーニョスと小競り合いになったムーランがイエローカードとなる。アモーリ・デルリュ主審はVARを頼ることになる。ところがVARをのぞき込もうとしたパリサンジェルマンのベーカー、パドレス、サンテチエンヌのアムマもイエローカードが突き付けられる。VARの結果、この試合が引退試合であるペランはレッドカードとなり、文字通りグラウンドから去ったのである。そしてピッチを去ったのはペランだけではない。ムバッペもプレー続行が不可能となり、レッドカード1枚、イエローカード5枚が舞ったグラウンドから去ったのである。
 ムバッペの代わりに入ってきたパブロ・サラビアはフランスカップでは7点をあげ、チームの得点王である。期待されたが、この試合で得点をあげることはできなかった。その後も両チームに警告が次々と与えられる試合となり、前半のアディショナルタイムは実に7分となる。後半に入ってパリサンジェルマンはイカルディがゴールネットを揺らすがオフサイドでノーゴール、追加点をあげることはできなかったが、数的優位に立ち、試合をコントロールした。この1点を守り切り、1-0と勝利した。
 そしてパリサンジェルマンのチアゴ・シウバとマルキーニョスのブラジル人コンビは最多タイとなり外国人選手として初めての5回目のフランスカップ戴冠となったのである。(この項、終わり)

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