第2780回 フランスカップベスト32決定戦(1) 2月中旬に1部勢が参戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■例年とは違う大会形式で行われるコロナ禍での開催

 まもなく1年となる新型コロナウイルスの感染拡大によるサッカーカレンダーの混乱、その中で最も大きな変更をしたのがフランスカップであろう。
 今年最初の連載となった第2760回、例年新年に連載するフランスカップベスト32決定戦についての記事を楽しみにされていた読者の方も多いであろうが、大会形式の変更をお伝えするにとどまった。新型コロナウイルスの感染予防のための対応に苦労しているアマチュアと側の日程が消化できず、アマチュアで勝ち残ったチームと11月に2部チームが7回戦から対戦し、12月の8回戦を経て、年に初めに1部勢を迎えてベスト32決定戦を行うという例年通りの日程で実施することが不可能となった。

■8回戦とベスト32決定戦はプロとアマが分かれて試合

 そのため、アマチュアとプロを分けてトーナメントを行っていき、1部勢と2部勢のプロの部のトーナメントは1月中旬に2部勢のチームで8回戦を行い、1部勢を交えたベスト32決定戦を2月中旬に行う。そしてプロとアマが合流するのはベスト16決定戦で3月上旬に行われる予定である。そのプロの部のベスト32決定戦が行われた。今回からプロチームのフランスカップ参戦について紹介しよう。

■2部勢で1月中旬に行われた8回戦

 フランスリーグは1部も2部もそれぞれ20チームである。1月中旬に行われた8回戦は2部勢20チームで争われたが、新型コロナウイルスの感染防止を鑑み、20チームを地域ごと4チームずつ5つのブロックに分け、チームの移動距離が短距離となるように配意して組み合わせ抽選が行われた。
 8回戦は1月19日と20日に行われ、北部のAブロックではバランシエンヌとアミアンが勝ち抜いた。南西部のBブロックではロデスとトゥールーズが勝利、中部と南部のCブロックではACアジャクシオとグルノーブル、東部のDブロックではオセールとソショー、パリと西部からなるEブロックではパリFCとカーンが勝ち抜いた。
 昨季は1部に所属し、1部復帰を目指すトゥールーズとアミアンはいずれも勝利している。またナショナル1部から昇格してきたポーとダンケルクの両チームは初戦で敗退している。そして現在2部首位で1部復帰を目指すトロワはフランスリーグやフランスカップ優勝経験のあるオセールに0-1で敗れている。それ以外はリーグ戦での上位勢が順当に勝利している。

■2月中旬に1部勢も参戦し、ベスト32のうち15チームを決定

 8回戦を勝利した2部の10チームと1部20チームが合流して2月9日から11日にかけてベスト32決定戦が行われた。このベスト32決定戦の組み合わせは、緩やかな地域性と、厳格な平等性が考慮され、6チームずつの5つのブロックに分けた。6チームの内訳は1部4チーム、2部2チームということで均衡を図った。
 グループAは北東部のチームが中心で、スタッド・ド・ランス-バランシエンヌ、アミアン-メッス、ディジョン-リールとなる。グループBは主に西側のチームが集まり、ボルドー-トゥールーズ、ブレスト-ロデス、アンジェ-レンヌというカードになる。グループCはリヨン以南のチームで形成され、リヨン-ACアジャクシオ、グルノーブル-モナコ、ニーム-ニースとなる。グループDは東半分で北から南まで分布し、ストラスブール-モンペリエ、オセール-マルセイユ、ソショー-サンテチエンヌという組み合わせとなる。グループEはパリとその西と北のチーム、ロリアン-パリFC、ナントーRCランス、カーン-パリサンジェルマンである。
 2部勢同士の試合はなく、2部勢10チームはすべて1部のチームにチャレンジする。例年のフランスカップのベスト32決定戦では1部勢が下位のリーグのチームと対戦するときは下位のチームのホームゲームであったが、今年はそのような形式ではなかった。近年はジャイアントキリングの数が減ってきたが、今年はその楽しみが減ったのである。(続く)

このページのTOPへ