第2781回 フランスカップベスト32決定戦(2) 1部の上位陣、順当に初戦を突破

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新春の風物詩のない今年のフランスカップ

 フランスカップのベスト32決定戦は1部20チームと2部10チームで争われるプロの部とアマチュアの部に分けられた。1部勢の初戦となるこのベスト32決定戦、例年のようなジャイアントキリングや、思わぬ伏兵の活躍、人気クラブを地方の小スタジアムに迎えた際の熱狂、あるいは上位チームの順当な大勝、というような例年の新春の風物詩は見られない。しかし、1部勢と2部勢が対戦するのは10試合であり、この対戦で1部勢が全勝してもベスト32に1部勢は15チームしか残ることができない。

■優勝を争うリール、リヨンは下位チームに対し順当勝ち

 1部リーグの優勝争いは上位14チームに絞られたといってよいであろう。首位のリールはアウエーで19位のディジョンと対戦、2位のリヨンはホームに2部のACアジャクシオを迎える。そして3位のパリサンジェルマンはアウエーで2部のカーンと対戦し、4位のモナコもアウエーで2部のグルノーブルと対戦、これらの1部の上位チームは比較的恵まれた組み合わせとなった。
 リールは16分にアギブ・カマラが16分にあげた1点を守り切って1-0で勝利する。リールはリーグ戦でも6連勝と好調であり、年が明けてからは初戦でアンジェに敗れただけで、成績は7勝1敗となった。
 2位のリヨンもホームで2部中位のACアジャクシオに対し、メンフィス・デパイの先制点を皮切りにゴールラッシュ、5-1と圧勝した。ベスト32決定戦の15試合の中でこれは最多得点、最多得点差の試合となった。

■パリサンジェルマン、勝利するもネイマールが負傷

 3位のパリサンジェルマンの相手のカーンも2部では中位のチームである。しかし、パリサンジェルマンはメンバーをそれほど落とすことなく、カーンとの試合に臨み、ネイマール、ユルゲン・ドラクスラー、パブロ・サラビア、モイス・キーンが攻撃陣である。前半はパリサンジェルマンが試合を支配するが、得点をあげることができず、両チーム無得点で後半を迎える。後半に入って間もない49分、ネイマールがカーンの守備陣をドリブルで抜き去り、ラストパスを受けたキーンが先制点を決める。試合はこのままパリサンジェルマンが逃げ切り、1-0で勝利するが、ネイマールが59分に負傷し、ピッチから去る。ネイマールは全治1か月、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに間に合うかどうか微妙である。またこれほど大きなけがにたびたび見舞われる選手も珍しい。
 4位のモナコの相手のグルノーブルは2部で3位である。グルノーブルは今季ホームでは無敗である。12年前も両チームはフランスカップの準々決勝で対戦し、その時はグルノーブルが勝利している。そのグルノーブルに乗り込んだモナコは上位のチームの中では最も厳しい相手と対戦する。しかし、モナコは36分にステバン・ジョベティッチが奪ったゴールを守り切り、1-0と難敵をアウエーで下す。

■不振のマルセイユ、アウエーでオセールを下す

 このように優勝争いをするチームはフランスカップでも下位チームの挑戦を退けたのである。注目を集めたのはマルセイユである。試合消化数が少ないとはいえ、年末までは首位をうかがう順位にあった。ところが1月6日のモンペリエ戦で勝利して以来、勝ちから見放され、ファンが暴動を起こして試合が中止となるような不祥事もあり、2月初めにはアンドレ・ビラス・ボラス監督が辞意を表明、無名のモロッコ人のナセル・ラルゲ監督が就任する。肝心の順位も9位まで下がってしまった。
 マルセイユの相手は2部で5位のオセールである。オセールは8回戦では2部で首位のトロワを破っている。多くのファンはオセールがホームでもあり、オセールの勝利を予想した。しかし、マルセイユは押し気味に試合を進め、54分にダリオ・ベネデットが先制点、終了間際にアーマド・バンバ・ディアンが追加点を入れて、2-0と勝利し、昨年12月以来のアウエーでの勝ちを収めたのである。(続く)

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