第2792回 フランスカップベスト16決定戦(2) ジャイアントキリングにあった1部の3チーム

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■プロ15チーム、アマチュア17チームが争うベスト16決定戦

 プロとアマチュアが例年より2か月遅れて対戦する今年のフランスカップ、ベスト32にはプロが15チーム、アマチュアが17チーム残っているが、リーグ別の内訳は1部リーグ12チーム、2部リーグ3チーム、ナショナルリーグ3チーム、ナショナル2部リーグ9チーム、ナショナル3部リーグ3チーム、地域1部リーグ1チーム、海外県・海外領土1チームとなっており、6部に相当するチームまで残っている。昨年は今年とは大会方式が違うが、プロは1部15チーム、2部4チームが残っており、15チームしかベスト32に残ることができない今年はプロにとっては厳しい大会方式となった。また、本土の地域リーグのチームがベスト32に残ったのは2年ぶりのことである。

■レベルと地域性を考慮して組み合わせを実施

 さて、プロとアマチュアが混合で戦うベスト16決定戦であるが、32チームを4つのグループに分けた。グループの分け方はレベルが均等になるように各グループに1部勢が3チームずつ入り、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために地域ごとに分けた。
 ファンが注目するカードは2つ、まず下位のリーグのチームが上位のチームに挑戦するカード、そして抽選のいたずらでこの段階で有力チーム同士が対戦して雌雄を決するカードである。抽選の結果、1部勢同士のカードは2試合のみであり、8チームは下位リーグのチームの挑戦を受けることになった。

■マルセイユに堂々の勝利を収めたカネ・タン・ルシヨン

 まず、ジャイアントキリングとして衝撃を与えたのがナショナルリーグ2部のカネ・タン・ルシヨンであろう。フランス南西部のスペイン国境に近い地中海岸にあるチームはマルセイユを迎えた。年明け以降、調子を崩しているマルセイユであるが、さすがに4部相当のチームには勝てるだろうという予想である。その予想通り、キックオフからマルセイユは一方的に試合を支配する。しかし、20分、カネ・タン・ルシヨンはFKのチャンスを得て、これを直接ゴールに入れる。マルセイユは押し気味に試合を進めるが決定機をつかむことができない。ようやくマルセイユが同点に追いついたのは38分のことである。
 前半は1-1のタイスコアのまま終了、マルセイユは後半開始時に2人の選手交代、右サイドに酒井宏樹を投入し、左サイドの長友佑都とともに日本人が両翼を務める。
 後半は両チームとも無得点が続いたが、71分、カネ・タン・ルシヨンは組織的なプレーでマルセイユの守備陣を崩し、スピードに乗った攻撃で勝ち越し点を奪う。マルセイユにとっては前半の失点はFKという個人の力で奪われたものであったが、後半は組織プレーで失点し、この勝ち越し点はマルセイユのイレブンを意気消沈させるに値するものであった。一方のカネ・タン・ルシヨンは守りを固め、自陣ゴール前に11人が張り付く。マルセイユは追いつくことができず、ベスト16に残ることができなかった。

■レッドスター、RCランスに逆転勝利

 それ以外にアマチュアチームに敗れた1部勢は2チームである。RCランスは前回の本連載でも紹介したナショナルリーグのレッドスターと対戦した。両チームは2部リーグで何度も対戦しているがおり、2季前は両チームとも2部に所属していた。その後、RCランスは1部に昇格し、レッドスターはナショナルリーグに降格と明暗が分かれた。またRCランスは年明けからリーグ戦では好調で、優勝争いは四強(リール、パリサンジェルマン、リヨン、モナコ)に絞られたが、RCランスは第2グループのトップの5位まで順位を上げている。しかし、21分に先制点をあげたのはレッドスターであった。一方のRCランスは29分にCKから追いつく。さらにRCランスは後半立ち上がりに勝ち越し点を奪う。しかし、レッドスターは83分に追いつき、90分には逆転ゴールを挙げて、RCランスを下したのである。
 また、ロリアンはナショナル2部リーグのルピュイに0-1で敗れている。このようにマルセイユ、RCランス、ロリアンが下位リーグのチームに敗れたのである。

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