第2791回 フランスカップベスト16決定戦(1) アマチュアもベスト32が出そろう

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■プロとアマチュアが対戦するベスト16決定戦

 新型コロナウイルスの感染拡大による日程の混乱はあったものの、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントも例年と同じ時期に始まった。そしてプロチームとアマチュアチームが参戦するフランスカップもようやく両者の対戦が実現することになった。今季のフランスカップの大会方式の変更について本連載第2760回で紹介し、例年とは異なるスタイルで行われたベスト32決定戦についてはプロの部について第2780回から第2782回で紹介してきた。そしていよいよベスト16決定戦でプロとアマチュアの対戦が実現する。
 改めて解説すると今年のフランスカップは新型コロナウイルスの感染にアマチュアチームの試合消化日程が大幅に遅れ、例年であれば、1部勢20チームを交えて行うベスト32決定戦が新年の初めに行うことができなくなった。その結果としてトーナメントを2部以上のプロの部とそれ以外のアマチュアの部に分けて行うことになった。プロの部に関しては2部勢で8回戦、1部勢も参戦してベスト32決定戦、アマチュアの部に関してはベスト32決定戦までを行い、これらを勝ち抜いた32チームでプロとアマチュアが混合してベスト16をかけて戦うことになる。

■1月末から2月に集中的に開催されたアマチュアのトーナメント

 アマチュアの部での日程であるが、例年は11月に7回戦、12月に8回戦を行うことになっており、海外県・海外領土は例年通りのスケジュールで行われたが、今年はフランス本土については大幅に遅れた。フランス本土については10月中旬に5回戦が行われたのちは空白が続き、ようやく1月末に再開、6回戦は1月30日と31日、7回戦は主に2月6日、8回戦は14日、そしてベスト32決定戦は20日と毎週末に試合が行われた。

■かつて1部で活躍したナショナル2部のスダン、レッドスターもベスト32入り

 この段階ではかつてプロとして活躍したこともあるチームや、アマチュアの中でも下部のチームが注目を集める。まずかつてプロとして活躍したチームであるが、フランスカップをこれまで2回獲得したスダンは現在は4部リーグに相当するナショナル2部リーグに低迷している。1999年と2005年にはフランスカップで準優勝、そして2000年代には1部にも在籍したが、2007年に2部降格、2013年には経営破綻して5部に相当する5部リーグに相当するナショナル3部リーグへの降格処分を受けている。
 オールドファンにとっては復活が望まれるが、7回戦は同じナショナル2部のエピナルを下し、8回戦は格下のリーグのチームを一蹴し、ベスト32決定戦でもナショナル2部のシルティカイムを破りベスト32入りしている。
 また、ベスト32決定戦ではレッドスターとクビリー・ルーアンのナショナルリーグ勢が対戦した。レッドスターは1897年に後にワールドカップを創設することになるジュール・リメによって設立された。130年近い歴史の中で1部でのリーグ優勝はないが、パリ近郊の古豪であり、2010年代には2部に復帰し、オールドファンを沸かせた。一方、クビリー・ルーアンは2015年にクビリーとルーアンが合併したクラブである。クビリーは最高位が2部であるが、フランスカップではジャイアントキリングの常連、2010年には準決勝進出、2012年には決勝進出を果たしている。注目チーム同士の対戦はレッドスターが逆転勝ちし、ベスト32入りした。

■ベスト32決定戦で姿を消した地域リーグ2部のエール・シュール・ラリ

 そしてこのベスト32決定戦に臨んだチームの中で最も下位のリーグに所属していたのが7部リーグに相当する地域2部リーグに所属するエール・シュール・ラリである。ベスト32決定戦ではナショナル2部のボーベに敗れてしまい、ここで姿を消す。
 アマチュアの部からはベスト16決定戦に17チームが参戦するが、その内訳はナショナルリーグ3チーム、ナショナル2部リーグ9チーム、ナショナル3部リーグ3チーム、地域1部リーグ1チーム、海外県・海外領土1チームとなったのである。(続く)

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