第3134回 新年に本格化したフランスカップ (2) 6部チームに敗れたクレルモン

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■終盤に追いつかれ、ロデスにPK戦で敗れたモナコ

 前回の本連載ではパリサンジェルマンとシャトールーの兄弟対決について紹介したが、シャトールーは19年前の決勝での雪辱を果たすことができず、パリサンジェルマンが順当に32強入りした。
 1部勢の初戦ということで注目を集めるのがジャイアントキリングである。1部20チームのうち、16チームは2部以下のチームと対戦した。その16チームのうち、初戦で不覚をとったのが4チームである。
 相手がプロの2部勢との対戦で敗れたのがモナコとモンペリエである。モナコはホームにロデスを迎える。週末の試合であるにも関わらず、ルイ二世競技場の観衆はわずか1000人という寂しさである。モナコは1月1日に行われたリーグ戦とは先発10人を入れ替える。唯一、両試合に先発したのはワールドカップにより、遅れて合流したアクセル・ディザジだけであり、本連載第3132回で紹介した17歳の新星エリス・ベンセギルはベンチスタートである。前半はモナコの一方的な試合となり、次々とロデスのゴールにめがけてシュートが放たれる。先制点は23分にマグネス・アクリウシュ、20歳のアクリウシュはうれしいプロ初ゴールとなった。追加点は37分、主将のウィッサム・ベンイェデルである。セーフティリードかと思われたが、ロデスも42分に1点を返し、ハーフタイムを迎える。後半もモナコペースの試合であったが、モナコは追加点を奪えず、80分にロデスは同点ゴールを決める。さらに終盤はロデスが一方的に攻めるが、モナコの第2GKのトマ・ディディロンがセーブを連発、試合はPK戦となる。モナコは最初の4人が成功させたが、5人目と6人目が失敗し、ロデスに敗れ、初戦で姿を消した。

■初戦で姿を消したモンペリエ、ニース

 モンペリエはポーでの試合、前半に先制され、後半に入って追いついたものの、すぐさま勝ち越し点を奪われ、敗れてしまった。
 ニースは3部に相当するナショナルリーグのルピュイと対戦した。ルピュイは1980年代は2部でプレーしたことがあったが、その後は低迷し、6部相当まで陥落したこともあるが、2年前にはフランスカップでベスト16まで残っている。ルピュイで行われた試合、ルピュイが3分に先制、この1点がニースには重く、スコアをすることができず、ルピュイが32強に進出した。

■1部リーグを倒した6部相当のストラスブールケーニクショファン

 ベスト32決定戦最大の驚きは6部に相当するR1リーグのストラスブールケーニクショファンがクレルモンに勝利したことであろう。ストラスブールのケーニクショファン地区にあり、前身となるクラブは1906年に創設され、かつてディディエ・シスが監督をしたこともあるが、東部地区のリーグに所属する小クラブである。本拠地の競技場は収容人員わずか1000人、1部のクレルモンを迎えるにあたって、同じストラスブールに存在する他のクラブの競技場を借りた。とは言っても収容人員3000人のところに2700人が集まった。試合は予想通りクレルモンが優勢に進めたが、なかなか得点を奪うことができない。試合は90分終わったところで両チームともゴールを決めることができず、PK戦となる。PK戦で、5人中4人が成功させたストラスブールケーニクショファンが、3人しか成功できなかったクレルモンを破った。

■過去に4回しか事例のない、6部勢の1部撃破

 100年を超えるフランスカップの歴史の中で6部に相当するクラブが1部のクラブを破ったことは1960年のトゥールーズ、1982年のモンペリエ、1986年のトゥーロン、2019年のアンジェとこれまでに4回しかない。そしてクレルモンはジャイアントキリングに遭うことが多く、過去10年間でアマチュアチームに5回敗れている。
 ベスト32決定戦では、1部勢同士の対戦がリール-トロワ戦、ストラスブール-アンジェ戦の2カードあった。リールに敗れたトロワ、アンジェにPK戦で敗れたストラスブールが、前記のチームに加えて初戦で姿を消したのである。(この項、終わり)

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