第3309回 1部勢が参戦したフランスカップ(3) 2部のギャンガン、アンジェ、オセールに1部勢の熱い壁

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■2009年の決勝戦の再現となったギャンガン-レンヌのブルターニュ対決

 前回の本連載では1部勢が参戦しフランスカップのベスト32決定戦に参戦した1部勢で唯一下部リーグのチームに敗れたロリアンについて紹介した。
 それ以外に下部のリーグのチームと対戦した13チームは初戦であるベスト32決定戦を突破した。昨年は1部4チームが2部以下のリーグのチームに敗れており、1部勢が順調に勝ち上がったかに見えるが、そこには様々なドラマがあった。
 まずは第3305回の本連載で注目のカードとして取り上げたレンヌとギャンガンという2009年決勝の再現である。この時は1部のレンヌと2部のギャンガンということに加え、ブルターニュ対決ということで盛り上がりを見せ、ギャンガンが勝利し、2部勢として50年ぶりの優勝を果たした。今回も同じくレンヌが1部、ギャンガンが2部であり、スタッド・ド・フランスからギャンガンの本拠地であるルードゥルー競技場で試合が行われる。過去のブルターニュ対決はリーグ戦ではレンヌが23勝11分15敗と勝ち越しているが、フランスカップでは先述の決勝を含めギャンガンが2勝している。

■アルノー・カリムエンドの2得点でレンヌがギャンガンに初勝利

 試合開始直後にギャンガンは攻め込んだが、レンヌもペースをつかみ、両チームが積極的に攻める展開となるが、なかなかゴールが決まらない。このままハーフタイムかと思われた45分、均衡を破るゴールが生まれた。レンヌは左サイドDFのアドリアン・トルフェールが相手をかわしてクロス、これをペナルティスポット付近でアルノー・カリムエンドがヘディングで決めて先制ゴールとなる。カリムエンドは1昨年の夏にパリサンジェルマンの一員として訪日したことから、日本の皆様もよくご存じであろう。
 カルムエンドは後半も活躍し、エンゾ・ルフェがギャンガンからボールを奪い、カリムエンドにパス、GKと一対一になり、ギャンガンのGKエンゾ・バジリオも前に出たが、シュートを防ぐことができず、カリムエンドは追加点も決めた。結局、カリムエンドの活躍でレンヌはブルターニュ対決を制し、フランスカップで3回目の対戦で初めてギャンガンを下したのである。

■2部首位のアンジェはブレストに敗れる

 ギャンガンだけではなく1部勢に挑戦した2部のチームはことごとくはね返された。まず前半戦を首位で折り返したアンジェはブレストと対戦する。ブレストは1部で4位、両チームとも前半戦の終盤は負けがなく、好調同士の好取組となった。これまでのフランスカップでの成績はブレストは準々決勝が最高であるのに対し、2部のアンジェは2回決勝進出がある。1部のブレストのホームゲームはブレストがボール支配率で優位に立つ。前半はシュート数でもブレストが大きく上回りながら、両チーム無得点のままハーフタイムを迎える。後半に入って63分、グラウンダーのクロスをマルタン・サトリアーノが決めて、ブレストが先制する。その後もブレストは試合を支配し、後半アディショナルタイムの93分に退場者を出したが、余裕を持って最少得点で勝利した。

■ニースとオセールの2位対決は1部のニースがPK戦で勝利

 2部で前半戦2位のオセールはニースとの対戦、ニースは1部で2位であり、2位対決となった。両チームはフランスカップでは1度だけ対戦したことがある、1988-89シーズンの準々決勝、フランスカップの準決勝以下が2回戦制で行われていた最後のシーズンである。2試合ともオセールが勝利している。今回は上位チームのニースの本拠地アリアンツ・リビエラで試合が行われ、1月6日の土曜日20時45分というゴールデンタイムのキックオフとなった。試合はホームで上位のニースが優位に進めたが、オセールがよく守って、前半は両チームともスコアレスに終わる。
 後半に入ってもニースは攻めるが得点には至らない。逆に72分、オセールのフローリアン・アエのシュートがゴールの中に入るが、オフサイドでノーゴール。試合は両チーム無得点のまま、PK戦になる。先蹴のニースは最初のキッカーがGKに止められ、後蹴のオセールは最初のキッカーが成功させるが、ニースは2人目以降は5人目まで成功、対するオセールは3人目以降が失敗し、1部のニースが2位対決を制してベスト16決定戦に進出したのである。(続く)

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