第3310回 1部勢が参戦したフランスカップ(4) 順当に下位のチームに勝利した1部勢と2部勢

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ことごとく1部勢に跳ね返された2部勢

 前回の本連載では2009年に2部勢として50年ぶりに優勝したギャンガンが同一カードとなったレンヌ戦で敗れ、2部で首位のアンジェはブレスト、2位のオセールはニースにそれぞれ敗れたことを紹介したが、2部勢にとって1部勢は厚い壁となった。
 今年のフランスカップのベスト32決定戦で1部勢と2部勢の対戦は上記の3カードだけではなく、アミアンがモンペリエ、カーンがルアーブル、ポーがナントに挑戦したが、すべて1部勢が勝利、1部勢対2部勢の対戦は1部勢の6戦全勝となった。

■下位のカテゴリーのクラブを圧倒した2部勢

 2部勢はベスト32決定戦に13チームが出場し、2部勢同士の対戦はなく、1部勢と6チームが対戦して全敗したが、7チームがナショナルリーグ以下の格下のチームと対戦し、こちらは6勝1敗と番付通りの結果となった。唯一、下部リーグのジャイアントキリングに遭遇したのはクビリー・ルーアンである。4部に相当するナショナル2部のフェイニエ・オールノイエに敗れたが、それ以外のバランシエンヌ、ダンケルク、パリFC、ボルドー、ロデス、ラバルの6チームはベスト16決定戦に進出した。
 すなわち、1部18チーム、2部13チームがベスト32決定戦に臨んだが、下部リーグのチームに敗れたのは1部のロリアンと2部のクビリー・ルーアンだけの2チームだけであった。

■最も低いカテゴリーのナショナル3部から勝ち残ったサンプリエ

 プロのチームにとっては順当な結果に終わったベスト32決定戦であるが、ナショナルリーグ以下から11チームがベスト16決定戦に進んだ。
 ナショナル1部からは4チーム、ロリアンを破ったソショー、1980年に準優勝し、長年2部に所属していたオルレアン、120年以上の歴史を誇り、UEFAカップにも出場したことのあるルーアン、パリサンジェルマンの姉妹クラブであるシャトールーと4チーム中3チームが1部の経験のあるクラブである。
 ナショナル2部からは6チームがベスト32決定戦を勝ち抜いた。最も低いカテゴリーのリーグから唯一32強入りしたのが5部に相当するナショナル3部のサンプリエである。リヨン近郊のクラブは6シーズン維持してきたナショナル2部で昨季15位に終わり、今季ナショナル3部に降格した。フランスカップには5回戦から参戦したが、5回戦から8回戦までは格下のカテゴリーのチームと対戦し、ようやくベスト32決定戦でナショナル3部のチームと初めて対戦するというくじ運に恵まれた。ベスト32決定戦ではフールを退け、32強入りした。そして格上のチームと対戦するベスト16決定戦の相手はナショナル2部リーグのロモランタンである。すなわち、ベスト16にはナショナル2部以下のチームが進出することが確定している。昨年もベスト16にはナショナル2部からビエルゾンが残ったが、ビエルゾンもバスト32決定戦まで格上のチームとはナショナル1部のチームと1回対戦しただけであった。フランスカップで下位のカテゴリーのチームが勝ち進むにはくじ運に恵まれる必要があるといえよう。

■リールに大敗したマルティニークのゴールデンライオン

 さて、最後にベスト32決定戦で去ったユニークなチームを最後に紹介しよう。32試合で最も得点を奪ったのがリールであった。12-0と大差で勝利したが、その相手はマルティニークのゴールデンライオンであった。フランスカップは海外県・海外領土のチームも7回戦、8回戦から参戦するが、近年のマルティニークリーグで優勝を重ねているゴールデンライオンは8回戦ではフランス本土からナショナル3部のトロワ・メトロポールをマルティニークに迎え、3-2と勝利した。ベスト32決定戦ではリールと対戦、フランス屈指のスタジアムであるピエール・モーロワ競技場に乗り込む。一方、リールはベストメンバーで臨み、ジョナサン・ダビッドはハットトリックを達成するなど大量12得点を奪い、マルティニークの夢はリールで終わったのである。(この項、終わり)

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