第3380回 パリサンジェルマン、フランスカップを制す(5) 最後にベスト4入りしたパリサンジェルマン

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■唯一過密日程で戦うパリサンジェルマン

 前回の本連載ではフランスカップの準々決勝で2月の末に行われた3試合を紹介した。1部のリヨン、レンヌ、2部のバランシエンヌが準決勝進出を決め、残り1つの座は3月中旬に決まる。これは準々決勝に進出したパリサンジェルマンが、チャンピオンズリーグでも勝ち残っているからである。パリサンジェルマンは翌週の火曜日には1回戦のレアル・ソシエダ(スペイン)との第2戦が控えているため、日程を変更した。
 この段階になると日程が過密になるチームとそうではないチームの差が明らかになるが、3月13日にニースをパルク・デ・プランスに迎えるパリサンジェルマンのニース戦に至るまでの戦いを確認すると、2月25日のリーグ戦第23節ではレンヌと引き分け、第24節のモナコ戦は翌週のレアル・ソシエダ戦を考慮し、金曜日の3月1日に前倒しして行われ、アウエーでスコアレスドロー、3月5日にアウエーでのレアル・ソシエダ戦、本連載第回で紹介した通り、2-1で勝利し、第1戦に続いて連勝し、準々決勝進出を決めた。3月10日には第25節のスタッド・ド・ランス戦をホームで戦い、2-2のドロー、そして13日のフランスカップ準々決勝を迎えることになる。試合間隔を考えるとレアル・ソシエダとの第2戦とスタッド・ド・ランス戦は中4日、スタッド・ド・ランス戦とニース戦は中2日でアンバランスであるが、スタッド・ド・ランスには日本の伊東純也と中村敬斗が在籍、パリサンジェルマンの韓国の李康成と合わせて日韓の選手がそろい、日韓のゴールデンタイムに合わせてフランスでは日曜日の13時にキックオフされたのである。したがって、試合間隔がアンバランスになった。

■2位でリーグ戦を折り返したが、2月以降順位を下げたニース

 一方のニースであるが、リーグ戦では11月にパリサンジェルマンに首位を奪われたものの、2位で折り返し、上位をキープしてきたが、2月になって黒星が続いている。2月に入ってからの公式戦の勝利は2月7日にフランスカップのベスト8決定戦でモンペリエに勝利しただけである。2月以降のリーグ戦では2分4敗と大きく負け越し、パリサンジェルマン戦の直前にはフランスカップではアウエーで勝利したモンペリエにホームで敗れている。そしてリーグ戦の順位も6位まで落ち、今季で最悪の順位となってパリに乗り込んだ。
 リーグ戦では調子を落としているニースであるが、2年前のフランスカップではベスト8決定戦でパリサンジェルマンと対戦し、スコアレスドローのままPK戦となり、PK戦で勝利している。ニースも1997年以来の優勝を目指している。

■前半から一方的に攻め続けたパリサンジェルマン

 マルキーニョスが負傷からまだ復帰できない以外はほぼベストメンバーをそろえてきたパリサンジェルマンは立ち上がりから攻め続けた。14分、左サイドでパリサンジェルマンのウォーレン・ザイール・エメリがボールを奪い、李康成に供給し、李がクロスを上げる。これを中央のキリアン・ムバッペとファビアン・ルイスがワンツーでパス交換し、最後はムバッペが先制点を決める。フランスカップ出場4試合目にして7つ目のゴールである。
 今季初アシストを決めたファビアン・ルイスはニースの守備の乱れから得たチャンスで33分には追加点を決める。
 守勢一方だったニースは37分、パリサンジェルマンの守備陣のテオ・エルナンデスのクリアボールがビティーニャに当たったこぼれ球をガエタン・ラボルドが拾って左足でボレーシュート、1点差に迫る。ラボルドはパリサンジェルマン戦での得点が多く、過去4年間で5得点になる。

■後半も試合を支配し、ニースに勝利したパリサンジェルマン

 しかし、後半も試合のペースはパリサンジェルマンであった。60分にCKからストッパーのルーカス・ベラウドがゴールを決めて、3-1とする。後半アディショナルタイムには両チームとも決定機があったが、両GKが好セーブ、3-1というスコアでパリサンジェルマンが最後の準決勝進出のチケットをつかんだのである。(続く)

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