第3381回 パリサンジェルマン、フランスカップを制す(6) リヨンとパリサンジェルマンが決勝へ

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■1部勢を下して準決勝に進んだリヨン、ドローに恵まれたバランシエンヌ

 フランスカップのベスト4には、前々回と前回の本連載で紹介した通り、リヨン、バランシエンヌ、レンヌ、パリサンジェルマンが進出した。 準決勝は4月2日にリヨン-バランシエンヌ戦、3日にパリサンジェルマン-レンヌ戦が行われた。今年はオリンピックの準備のため、決勝はスタッド・ド・フランスでは行われず、リールのピエール・モーロワ競技場で行われる。リヨンとパリサンジェルマンは今年のフランスカップでは最後のホームゲームとなる。
 準決勝の第1試合、1部で10位まで順位を上げてきたリヨンは、フランスカップでもリール、ストラスブールという1部勢を退けてきた。4チームの中で唯一昨年も準決勝を戦っている。一方、バランシエンヌは2部の最下位、1月27日に勝利して以来、勝ち星から見放されているが、フランスカップでは1部勢とは対戦せず、準決勝に駒を進めてきた。2部勢は昨年もアヌシーが準決勝に進出したが、優勝したトゥールーズに敗れている。もし、バランシエンヌが決勝に進出すれば、2部勢としては2015年のオセール以来9年ぶりのこととなる。

■後半になって3ゴールをあげたリヨン、12年ぶりの決勝進出

 この試合の主審は女性のステファニー・フラッパール氏、今季1部リーグでリヨンの試合も主審を務めたことがある。
 試合は順位をそのまま反映するものになった。立ち上がりから5万6000人の大観衆の声援を受けたリヨンが試合を支配する。白いユニフォームのリヨンのボール支配率は75%を超え、赤いユニフォームのバランシエンヌはほとんどチャンスをつかず、ベンチからの指示も功を奏さない。しかし、リヨンはなかなか枠内にシュートを放つことができない。 守勢のバランシエンヌであったが、38分にカウンターアタックからゴールをあげる。しかし、リヨンはゴールの前にバランシエンヌのファウルがあったと主張、フラッパール氏も映像で確認の上、ゴールは取り消された。
 前半は両チーム無得点で折り返したが、後半開始早々の48分、リヨンはペナルティエリア内でアレクサンドル・ラカゼットが倒され、PKを得る。ラカゼット自身がPKを決めてリヨンが先制する。これで一気に試合はリヨンに傾いた。57分にもラカゼットがバランシエンヌの守備陣を交わして追加点をあげる。75分にギフト・オルバンのゴールも決まり、リヨンが3-0で勝利し、優勝した2012年以来12年ぶりに決勝に進出した。

■チャンピオンズリーグの大一番を想定したメンバー起用のパリサンジェルマン

 翌日にはパリサンジェルマンがレンヌを迎える。レンヌは8位、4強の中ではパリサンジェルマンに次ぐ順位、すなわちパリサンジェルマンはベスト8決定戦以来、3試合連続して最もリーグ順位の高いチームとの対戦となる。また、パリサンジェルマンは1週間後の10日にはチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦のバルセロナ(スペイン)戦を控えている。そのため、パリサンジェルマンはこのレンヌ戦はバルセロナ戦をイメージしたベストメンバーをそろえ、次の週末にあるリーグ戦のクレルモン戦はメンバーをすべて取り換えて臨んだのである。
 レンヌは主将のGKスティーブ・マンダンダを中心に守備を固め、アルジェリア代表のアミン・グイリとパリサンジェルマン出身のアルノー・カリムエンドの攻撃力にかける。

■PKを失敗したキリアン・ムバッペが、その直後に先制点

 一進一退の攻防の中、35分にキリアン・ムバッペが左サイドを抜けたところをレンヌの選手がユニフォームに手をかけて倒してしまう。PKがパリサンジェルマンに与えられたが、ムバッペのPKをマンダンダがストップする。先制のチャンスを逃したエースであったが、その直後の40分、ムバッペはファビアン・ルイスからのパスをシュート、今度はムバッペに軍配が上がった。ムバッペのシュートにマンダンダは及ばず、パリサンジェルマンが先制する。
 試合はその後はパリサンジェルマンが押し気味に進め、追加点は取れなかったものの、このまま1-0で勝利、20回目の決勝進出を決めたのである。(続く)

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