第3663回 1部勢が参戦したフランスカップ(1) 年内最終戦がフランスカップ初戦となる1部勢

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■年始の風物詩から年末の風物詩へと変わったベスト32決定戦

 今月に入ってからフランス勢の欧州カップでの戦いについて紹介してきたが、久しぶりに国内のサッカーシーンを取り上げよう。昨季から欧州カップの大会形式が変更されたことに伴い、国内サッカーも年末年始のスケジュールに変更があった。リーグ戦の折り返し点が年末年始でなくなり、フランスカップに1部勢が参戦するタイミングが変更となった。従来はリーグ戦のウインターブレイクの間の年始にフランスカップのベスト32決定戦が行われ、1部勢が参戦していた。ブレイク期間中ということに加え、挑戦する下位のチームの本拠地で行われることから、しばしばジャイアントキリングが起こり、年始の風物詩となっていた。それが昨季からは1部勢の参戦するベスト32決定戦が12月下旬に行われるようになり、年末の風物詩となるであろう。

■昨季は1部の3チームが下位リーグのチームに敗れた年内最終戦

 昨年のベスト32決定戦の模様は本連載の第3484回と第3485回で紹介したが、モンペリエ、オセール、ルアーブルが下位のリーグのチームに敗れ、サンテチエンヌとRCランスが1部勢対決に敗れている。すなわち1部勢18チームのうち14チームが下位のリーグのチームと対戦し、そのうち3チームがジャイアントキリングにあっている。
 今年のベスト32決定戦は12月19日から21日にかけての週末に行われた。昨季も同時期に行われたが、昨季はリーグ戦の第15節の翌週に行われたのに対し、今季はリーグ戦の第16節の翌週に行われる。昨季も今季もフランスのクラブにとっては年内最終戦がフランスカップのベスト32決定戦となる。

■最下位の地域2部のフレイマンとグアドループのルゴジエはベスト32決定戦で敗退

 さて、ベスト32決定戦は64チームで争われるが、そのうち18チームは1部勢である。2部勢は18チーム中12チームが残っている。以下3部に相当するナショナル1部勢は5チーム、ナショナル2部勢は10チーム、ナショナル3部勢は9チーム、6部に相当する地域1部勢は8チーム、地域2部勢は1チームである。
 フランスカップのこの段階でジャイアントキリングと共に注目されるのが、低いカテゴリーのチームの存在である。7部に相当する地域2部に所属するフレイマンが最も低いカテゴリーからの挑戦となったが、4部に相当するナショナル2部のシャンティに敗れて姿を消した。
 また、海外県・海外領土のチームが残っていることが多いが、今年はグアドループのルゴジエが1部のロリアンと対戦した。グアドループで試合を行うのではなく、パリ近郊のエソンヌ県のボンドウフルで試合を行い、ロリアンが7-0と勝利している。

■5部相当、6部相当のリーグのチームを一蹴した

 このように低いカテゴリーのチーム、海外県・海外領土のチームが敗れていく中でファンの関心は上位勢、すなわち1部チームが下位のリーグのクラブに敗れる歴史的瞬間である。1部勢のフランスカップの初戦、多くはこの1年で最も小さい競技場で、最も人口密度の高い満員の観衆で埋まる中で、実力差は歴然としながらも、まさかの失点で敗れ去るシーン、この一瞬に立ち会った小クラブのファンは孫子の代まで語り継ぐ。
 一部18チームのうち、1部同士の対戦となったのはオセール-モナコ戦のみで、残りの16チームが2部以下のチームの挑戦を受ける。16チームのうち、一番力の離れている6部相当の地域1部のチームと対戦するのはリヨン、パリFC、ロリアンの3チーム、ロリアンについては先述の通り、グアドループのルロジエに勝利したことを紹介したが、リヨン、パリFCも勝ち抜いた。5部相当のナショナル3部のチームと対戦したのはレンヌ、パリサンジェルマン、トゥールーズの3チーム、この3チームも順当に勝利し、ベスト32入りを決めた。そして4部相当のナショナル2部のチームと対戦でジャイアントキリングが起こったのである。(続く)

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