第3664回 1部勢が参戦したフランスカップ(2) ダービーマッチを制した首位のRCランスと最下位のメッス

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■1部勢の5チームがナショナル2部のチームと対戦

 1部勢がフランスカップに参戦するベスト32決定戦、年内最後の試合となる。前回の本連載では5部に相当するナショナル3部勢、6部に相当する地域1部勢との戦いを難なく1部勢が勝ち抜いたことを紹介したが、それ以上のリーグに所属しているチームとの戦いでジャイアントキリングが起こった。
 4部に相当するナショナル2部勢と対戦したのはブレスト、アンジェ、リール、メッス、RCランスの5チームである。この時点、すなわち第16節時点のリーグ戦の順位を紹介するとRCランスは首位、リールは4位、アンジェは10位、ブレストは11位、メッスは最下位の18位である。

■首位RCランスは県内のアンタント・フェイニエ・オルノイエと対戦

 1部のリーダーのRCランスはアンタント・フェイニエ・オルノイエと対戦した。アンタント・フェイニエ・オルノイエはリールと同じノール県にあるチームで、2006年にフェイニエのクラブとオルノイエのクラブが合併してできた若いクラブである。ただ、フランスカップではこれまでに3回ベスト32決定戦に出場しており、2022年にはパリサンジェルマンに敗れているが、2024年は2部のクビリ・ルーアンを下し、ベスト16決定戦で1部のモンペリエに敗れている。そして昨季はベスト32決定戦でリヨンに敗れた。すなわち、これが4度目の1部勢への挑戦である。アンタント・フェイニエ・オルノイエが通常している競技場は収容人員わずか1500人ということもあり、同一県内のチーム同士の対戦ということで、RCランスの本拠地、フィリップ・ボラール競技場で開催されたが、なんと3万7000人以上の観客が集まった。これはジャイアントキリングを期待するアンタント・フェイニエ・オルノイエのファンが集まったことに加え、好調なRCランスのファンが競技場に足を運んだ結果であろう。そしてアンタント・フェイニエ・オルノイエの先発メンバーのうち7人はRCランスでプレーしたことがあるか、RCランスの下部組織出身である。すなわち、RCランスはこの地域においてまさに巨人なのである。

■ノール県の巨人の力を見せつけたRCランス

 これまでに3回フランスカップで優勝したことのあるRCランスであるが、最後の優勝は1998年、開業間もないスタッド・フランスでの最初の優勝チームとなった。それ以来優勝することができず、このところ、ドローに恵まれない。一昨年はベスト32でモナコと対戦、昨年はパリサンジェルマンと対戦し、2年連続で1部勢相手にPK戦で敗れている。
 そのRCランスは下位のリーグのチーム相手であっても気を抜くことなく、キックオフ直後から攻勢に出る。RCランスは17分に19歳のラヤン・フォファナがヘディングシュートで先制点を奪う。前半のアディショナルタイムの46分にRCランスはサウジアラビア代表のサウド・アブドゥルハミドが相手DFのクリアボールを奪って追加点をあげる。
 後半に入ってもRCランスの攻撃は続き、48分にはPKを獲得する。主将のフロリアン・ソトカの蹴ったボールはアンタント・フェイニエ・オルノイエのGKにコースを読まれて失敗する。さらにRCランスは57分にもPKを獲得し、今度はキッカーをマラン・サールに交代して追加点を狙うが、マルセイユにも所属していたことのあるGKブライアン・ベルナールがまた阻止する。GKの殊勲で盛り上がるアンタント・フェイニエ・オルノイエのファンであったが、RCランスはアンドリア・ブラトビッチが68分に追加点を決め、ノール県の巨人の力を見せた。ただ、アンタント・フェイニエ・オルノイエも終盤は積極的に攻め、85分に1点を返すが、また1部勢に敗れたのである。

■最下位メッスもビサイムとのダービーマッチで快勝

 RCランスとは正反対の立場にある最下位のメッスもグラン・エスト地域圏のビサイムとのダービーマッチとなった。調子の上がらないメッスであるが、この日はブバカル・トラオレが先制点と追加点を決め、終盤にサディブ・サネがゴールを決めて3-0と勝利、1部の首位と最下位のチームはナショナル2部のチームとのダービーマッチを制したのである。(続く)

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