第182回 終盤を迎えるフランスリーグ (3) 首位に立った前年覇者リヨンにボルドーが挑戦

■2月、3月も9強で上位争い

 2月初めの第25節には首位と勝ち点3差に7チームがひしめき合うという大混戦となったフランスリーグであるが、この状態は2月、3月と続き、モナコ、マルセイユ、リヨン、ボルドー、ソショー、ナント、パリサンジェルマン、ニース、オセールの9強が上位を形成している。
 今シーズンの特徴として、ホームゲームの順位とアウエーゲームの順位の間にあまり違いが存在しないことがあげられる。ホームゲームだけでの成績をみても上位10チームのうち9チームが上位9強であり、上位9強以外で唯一ベスト10入りしているのはコルス島のバスティアだけである。一方、アウエーゲームだけでの成績も上位10チームは上位9強とガンガンだけ。つまり、上位9強はホームでもアウエーでも一定の
勝ち点を積み上げている。

■上位陣に強さを発揮するパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは今シーズンのリーグ戦では常に中位より上位に位置しているが、一度も首位に立ったことがない。ところが上位陣との戦いは非常に成績がよく、現在9位までの首位争いをしているチームとの対戦成績は第31節終了時で11戦し4勝5分2敗である。特筆すべきはライバルのマルセイユにホーム、アウエーとも3-0と完勝していることである。パリでの勝利については本連載の第123回から第125回で紹介したとおりであるが、3月9日のマルセイユでの勝利は圧巻であった。過去マルセイユでの両者の戦いは16勝4分2敗と圧倒的な優位をマルセイユが誇っていたが、なんとジェローム・ルロワの2ゴールとロナウジーニョのゴールで3-0とパリサンジェルマンが15シーズンぶりに勝ってしまった。昨年10月26日の試合でパリサンジェルマンがマルセイユに3点差をつけて勝ったのが25年振りであると話題になったが、マルセイユでの3点差の勝利は初めてのことである。しかしながら、パリサンジェルマンは下位チームに取りこぼしが多く、上位9強との対戦成績が4勝5分2敗に対し、下位11チームに対する対戦成績は9勝4分7敗とかろうじて勝ち越している。この下位との対戦成績の悪さが首位に手が届かない理由であろう。

■首位モナコ、2位マルセイユが敗れ、リヨンが首位奪還

 そして2週間ぶりのリーグ戦となった第32節が4月最初の週末に行われた。首位をうかがう3位リヨンはルアーブルを迎え、シドニー・ゴブーが先制点、前半終了間際に追いつかれ、試合は後半残り5分。そこで決勝点を上げたのがこのところフランス代表から外れている国際試合男のエリック・カリエール。今季5点目のゴールがリヨンの勝利を呼び寄せた。6位ナントと9位オセールはホームで手堅く1-0の勝利。5位ソショーは7位パリサンジェルマンを迎えてスコアレスドロー。また4位ボルドーはアウエーでレンヌの猛反撃をかわし、4-3で逃げ切る。ホームゲームでまさかの敗退を喫したのが2位マルセイユであった。ガンガンに12分、15分と得点を許し、結局その後はゴールネットを揺らすことなく、首位奪回のチャンスをふいにした。
 首位モナコは日曜日に8位ニースと対戦。今シーズン、モナコは日曜日に試合を行うことが多く、これが5試合目。相手が南仏のニースであることもあり、1万7000人の観客がルイ二世競技場に集まった。しかし、終盤にカバ・ディアワラに決勝点を奪われ、0-1で敗戦、首位から転落してしまう。この結果、首位になったのは昨年度のリーグチャンピオンのリヨンである。以下2位モナコ、3位マルセイユ、4位ボルドー、5位ナント、6位ソショー、7位パリサンジェルマン、8位ニース、9位オセールとなり、首位リヨンと9位オセールの勝ち点差は9ポイント。
 第8節の再試合となったオセール-スダン戦も火曜日の4月8日に行われ、全チームが32試合を消化したことになった。この試合でオセールは3-1と勝利して順位を6位にあげ、首位との勝ち点差は2試合分に相当する6に迫り、9位に落ちたニースも首位との勝ち点の差は8ポイントである。

■初の首位の座を狙うボルドーがリヨンに挑戦

 上位チームが接近するまま迎える次節第33節。リヨンは今季2回首位となったことがあるが、翌節にアウエーで試合を行い、いずれの試合も勝てず、2回とも首位陥落の憂き目を味わっている。リヨンの第33節はアウエーでのボルドー戦である。4位ボルドーの勝ち点はリヨンと3ポイント差、ボルドーが3点以上差で勝てばリヨンを得失点差で逆転し、2位モナコと3位マルセイユの結果次第では今季初の首位もあり得る。ボルドーでのリヨンとの対戦成績は19勝11分7敗、首位と勝ち点が最大で10ポイントも開いていたボルドーが首位に立てば、リーグ終盤の楽しみは倍増する。一方、リヨンは昨年のリーグチャンピオン。昨季も最終節の前節にボルドーで戦い、1-0で勝ち、ランスとの最終節直接対決に望みをつないで、逆転優勝をした経験がある(本連載第56回から第58回参照)。第33節はボルドーでの戦いに注目したい。(続く)

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