第198回 2002-03フランスリーグ・フィナーレ(1) リヨン、最終節を前に連覇をほぼ確定

■第37節の試合が一斉にキックオフ

 昨年8月から始まった2002-03シーズンのフランスリーグ。本連載では開幕戦、終盤になっても続く混戦、残り3節となった第36節の模様をレポートしてきた。そして最終節の前節に当たる第37節が行われた。
 まず、本連載第193回と第194回で紹介した第36節終了時の順位を確認してみよう。首位のリヨン(勝ち点67、得失点差+25)、2位のモナコ(勝ち点64、得失点差+29)、3位のマルセイユ(勝ち点62、得失点差+4)、この3チームだけに優勝の可能性が残されている。第37節は火曜日の5月20日の夜8時に一斉にキックオフされた。火曜日に試合を行ったのは、週末の5月17日にはリーグカップの決勝が行われ、水曜日の21日には欧州チャンピオンズリーグの決勝が行われるからである。各地で20時30分に一斉に試合が始まったが、注目はモンペリエ-リヨン、ガンガン-モナコ、マルセイユ-スダンの3試合である。

■前半終了、追いついたリヨン、リードを許したモナコ、得点を重ねたマルセイユ

 この3試合のうち最も早く電光掲示板が動いたのがマルセイユのベロドロームである。上位2チームの勝ち点、得失点差を考えれば、優勝は非常に難しいが、満員のベロドローム、そして欧州チャンピオンズリーグを制覇してちょうど10年、このような条件でマルセイユの選手の足が止まるはずはない。10分にセバスチャン・ペレスが先制点をあげる。
 そしてその4分後、マルセイユとモナコのファンを喜ばせるゴールがモンペリエで生まれる。モンペリエのは今季は下位に低迷したが、ホームでの今季最終戦とあってモッソン競技場にはたくさんのファンがつめかかる。5年前のワールドカップ開催の際には岡田昌子が活躍したことから、日本の皆様にはなじみの深い競技場であろう。このモンペリエでハビビ・バモゴが連覇を狙うリヨンに待ったをかける先制ゴール。ところがリーグカップ決勝でソショーに4-1と大勝し、調子に乗っているはずの2位モナコもリヨンに付き合ってしまい、23分にガンガンに先制点を奪われる。一方、試合巧者リヨンは27分にジュニーニョが同点ゴール決める。マルセイユでは前半終了間際にマルセイユが追加点を入れて2-0とリード。21時15分過ぎに各地で前半終了、ハーフタイムを迎え、スタンドのファンの携帯電話が一斉に活躍する。前半を終了した時点で首位リヨンは1-1の同点、2位モナコは0-1と1点のビハインド、そして3位マルセイユは2-0とセーフティリード。このまま試合が終われば、モナコは首位リヨンと勝ち点が4に開くため、優勝は絶望となる。そしてマルセイユはリヨンとの勝ち点の差は3だが、得失点差でリヨンに大きく及ばないため、モンペリエがリヨンに勝たないかぎり優勝はありえない。

■元気のないモナコは完敗、地元で意地を見せたマルセイユ

 さて、後半がキックオフ。3日前にスタッド・ド・フランスでゴールラッシュを見せたモナコの調子が相変わらず良くない。ボールを次々と奪われ、ガンガンに試合を支配される。先制点を決めたガンガンのステファン・カルノが51分に追加点を決める。2点差となった段階で、勝利は遠のいたかに見えたが、意地を見せるモナコはその4分後に得点王を狙うノンダが反撃のゴール。1点返すが、少なくとも同点には追いつきたい。
 一方、上位3チームで唯一ホームゲームとなったマルセイユでは信じられないことに56分、60分とスダンが連続得点をあげ、2-2と追いついてしまう。すなわち、リヨンもマルセイユも引き分けで、モナコが敗れれば、最終節を前にリヨンが優勝を決めてしまう。時計は進むがゴールネットは揺れない。そして時計の針は22時10分を回る。意地を見せたのはマルセイユだった。マルセイユのMFブライム・アムダニが今季初ゴール。今季初ゴールがベロドロー無のファンを歓喜させる。そして時計の針は90分を過ぎる。リヨンを追う2チームのこの日の勢いを象徴するゴールが生まれた。モナコは致命的とも言える3点目をガンガンに奪われ、マルセイユは4点目をラマン・サコが決める。そしてモンペリエ-リヨン戦の後半はノースコア。

■優勝はほぼ確実なリヨン、2年連続最終戦で歓喜の瞬間

 この結果、首位リヨン勝ち点68、2位マルセイユ勝ち点65、3位モナコ勝ち点64となり、モナコは優勝争いから脱落。最終節でマルセイユは勝ち点でリヨンに並ぶ可能性があるが、得失点差はリヨンが+25、マルセイユは+6、さすがに19点差の得失点差を逆転することは不可能であり、最終節を前にリヨンは連覇をほぼ確実にした。最終節は5月24日20時30分にキックオフされる。ホームのジェルラン競技場にガンガンを迎えるリヨンは2年連続最終戦で歓喜の瞬間を地元ファンと共に迎えるのである。(続く)

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