第199回 2002-03フランスリーグ・フィナーレ(2) リヨン、久しぶりのリーグ連覇達成

■昨年に続き、地元リヨンでの歓喜の最終戦

 5月24日20時30分にフランス各地でキックオフされたリーグ最終節。前回ご紹介したとおり、リヨンが10点差で負け、マルセイユが10点差で勝つ、というような現実離れしたスコアにならない限り、リヨンがリーグチャンピオンとなる。リヨンの最終戦は地元ジェルラン競技場でのガンガンとの対戦。昨年の最終節は本連載第58回で紹介したとおり、首位ランスを勝ち点1差で追うリヨンが最終節直接対決で見事に勝利し、フランス・サッカー史に残る優勝を果たした。今年は昨年ほどの舞台は揃わないものの、やはり目の前で優勝を一目見ようとジェルラン競技場には多くのファンがつめかけた。
 一方、追うマルセイユもミュンヘンでACミランを破って10周年、という記念の年であるが、さすがにこれだけの得失点差を逆転する可能性がないことは選手自身もファンもよくわきまえている。また、マルセイユは前週のスダン戦の勝利により来季の欧州チャンピオンズリーグへの出場も決定している。

■優勝は果たしたもののリヨンは大敗、追うマルセイユも終盤に失点

 このように「結果がほとんどわかってしまった」最終節であるが、この2チームにとっては不本意な試合になった。まず、18分にリヨンが沈黙に包まれる。ガンガンのディディエ・ドログバが先制点、そして2分後にはフローラン・マルーダが追加点。最初の20分で2点奪われ、リヨンの選手は完全に足が止まった状態。前半はそれでも何とか乗り切り、0-2という不本意ながら、目的のためには問題のないスコアでハーフタイム。
 後半に入り、立ち上がり47分にガンガンのマルーダが3点目。さすがのリヨンも3点差を逆転することは難しいであろう。そしてようやくリヨンが地元のファンの前で意地を見せたのは66分。シドニー・ゴブーが1点を返す。ところがチャンピオンらしからぬリヨンはその1点後またもや失点。優勝は果たしたものの1-4という残念なスコアで最終戦を終えたのである。
 マルセイユは満員のナントのボージョワール競技場でナントと対戦する。一昨年の優勝チームのナントと復活を期すマルセイユという好カードとなったが、両者相譲らず、終盤までノーゴール。そして82分にナントのベテランMFのオリビエ・カントが今季初ゴール。この1点がこの試合唯一の得点となり、マルセイユもリヨン同様敗れてしまったのである。

■1試合遅れで大爆発したモナコ、シャビニ・ノンダが得点王

 一方、第37節でガンガンにまさかの敗戦を喫して優勝戦線から脱落したモナコは最終戦でトロワを地元に迎える。すでに優勝は消え、得失点差から来年の欧州チャンピオンズリーグの出場権も手中にしているモナコ。最終戦と言うのにルイ二世競技場の観衆はわずか5000人。今節もまた最低観客動員である。相手のトロワもすでに最下位が決定しており、元々あまり熱心でない地元ファンの判断がこの観客動員数には表れているのであろう。
 ところが、そのモナコが大爆発。4分にダボ・プルソ、12分にシャバニ・ノンダ、20分にプルソとゴールラッシュ。圧巻はラスト10分である。82分にフランス代表入りしたばかりの期待の新星ジェローム・ロタンが4点目、そしてロスタイムになる89分と90分にノンダが連続ゴール。この日3得点を記録したノンダは通算26得点となり、堂々の得点王となった。しかも26点という得点数は1991-92シーズンにジャン・ピエール・パパンが記録した27得点以来の高得点である。

■1位リヨン、2位モナコ、3位マルセイユが欧州チャンピオンズリーグに出場

 結局、優勝はリヨンであり、フランスリーグの連覇は1992-93まで5連覇を果たしたマルセイユ以来のことである。マルセイユ全盛時代の1989-90に1部に復帰したリヨンは近年力を蓄え、欧州チャンピオンズリーグに5年連続出場することになり、そろそろ欧州での活躍が見てみたい。2位はモナコ、最終戦で見せたような「間の悪さ」がこのチームの欠点であろう。ファンの不在を痛感する。そして3位はマルセイユ。ミュンヘンでの栄光から10年。その後国内外でノータイトル。今季も無冠であったが、来季は欧州チャンピオンズリーグにも出場するので、国内外での活躍を期待したい。(続く)

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