第331回 2003-04フランスリーグ・フィナーレ(2) リヨン優勝、パリサンジェルマン2位

■リヨンとパリサンジェルマンが千秋楽の主役

 フランスリーグ最終節の残り9試合は5月23日20時に一斉にキックオフされた。数字の上では首位リヨンと前節まで2位のパリサンジェルマンの勝ち点差は3であるが、得失点差の差が14ポイントもあるため、リヨンの優勝は揺るぎのないところである。千秋楽の見所はいくつかある。下位の降格争いや中上位のUEFAカップ、インタートトカップ出場権争いも関心の集まるところであるが、上位陣の優勝をほぼ手中にしているリヨンが地元リヨンでどのような戦いを見せるか、そして全日程を終了したモナコに勝ち点で抜かれたパリサンジェルマンがモナコを抜き返して2位になるか、という2点が最大の見所であろう。

■昨年は最終戦で敗れたリヨン、3位に落ちたマルセイユ

 本連載の読者の方ならばご記憶かもしれないが、リヨンならびにモナコにとって最終節の展開は昨年と同じであり、パリサンジェルマンの状況は昨年のマルセイユと同じである。本連載の第198回ならびに第199回をご参照いただきたいが、簡単に記すと以下のようになる。
 昨年は最終節を迎える段階で首位リヨンと2位マルセイユは勝ち点3差であったが、得失点差はリヨン+25、マルセイユ+4と大きな差があり、リヨンが優勝をほぼ手中にしていた。ところが最終戦でガンガンを迎えたリヨンは1-4と大敗し、有終の美を飾ることができなかった。また、追うマルセイユもアウエーのナント戦で終盤に失点してしまう。最終節を前に3位だったモナコは最終節のトロワ戦に勝つ。その結果、マルセイユとモナコの順位が入れ替わり、2位モナコ、3位マルセイユとなったのである。
 今年もリヨンの最終戦はホームゲームであり、今年はリールを迎える。そしてバスティアで試合を行うパリサンジェルマンも優勝こそ絶望的であるが、昨年アウエーでナントに敗れたマルセイユと同じ失敗を繰り返すことは許されない。

■欧州選手権メンバーから外れた選手の活躍でリヨン有終の美を飾る

 リヨンは満員の4万人の観衆で埋め尽くされたジェルラン競技場でキックオフ。シドニー五輪で日本の皆様も良くご存知のステファン・ブレ氏の笛で今季最後のリヨンのドラマが始まった。リヨンのメンバーには3日前スタッド・ド・フランスで熱戦を展開したフランス代表のグレゴリー・クーペ、ブラジル代表のエジミウソン、ジュニーニョが仲良く同じユニフォームを着ている。満員の観衆はリヨンのゴールシーンを期待するが、なかなか歓喜の瞬間はやってこない。もちろんコルス島での途中経過が気になる心配性のファンもいるが、パリサンジェルマンもノーゴールが続く。
 そしてゴールネットが初めて揺れた瞬間に、大歓声が沸きあがった。41分、欧州選手権のメンバーから外れてしまい、個人的にも今季最終戦となったシドニー・ゴブーが先制点をあげる。4万大観衆はこれで優勝を確信した。後半に入ってもリヨンのカウンターアタックから抜け出し、ペナルティエリアに侵入したフローラン・マルーダに対し、リールのDFがファウルで止める。これで得たPKをマハマドゥ・ディアラが決める。ディアラにとってこれが今季初の得点である。さらに試合時間が少なくなった80分にはこれまた欧州選手権メンバーから外れたペギー・リュインデュラがゴブーからのセンタリングを見事に決めるビューティフルゴールで満員のファンを満足させる。リヨンは3連覇を果たすが、今までフランスリーグで3連覇を果たしたチームは1970年代のサンテエチエンヌと1980年代から1990年代にかけてのマルセイユだけである。先人がチャンピオンズカップで活躍しており、来季の欧州の舞台での活躍を期待したい。

■パリサンジェルマン、アウエーで勝利し2位を確保

 そしてリヨン以上のプレッシャーがかかったのがパリサンジェルマンである。金曜日にモナコが勝ったため、暫定2位のモナコとの勝ち点差は2。すなわちバスティアでは勝たなくてはならない。相手のバスティアにはブノワ・コーエ、フローラン・モーリス、バルソロミュ・オグベチェとかつてパリサンジェルマンに所属した選手がいる。バスティアも降格のピンチにあり、前半からイエローカードの飛び交う試合となった。しかし、53分、パリサンジェルマンのパウレタがセンタリングを右足で得点を決めて勝利を呼び込むとともに、モナコを再び抜いて2位の座を確保したのである。(続く)

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