第920回 前半戦の首位、「秋の王者」(1) リヨン、5年連続で秋の王者に

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。昨年はJ.P.モアンとしての執筆活動10周年、そして本年中には本連載が1000回を迎える予定です。本年もご愛読のほどよろしくお願いいたします。

■リヨンが首位を走るリーグ戦

 フランスのサッカーカレンダーは年末年始に中断があるが、中断前の最後の試合がクリスマス直前に行われたフランスリーグ第19節である。フランスリーグの1部チームは20チーム、すなわちこの年末年始休暇がリーグ戦の折り返し点となり、年内で前半戦が終了する。
 今年もリーグ戦では8連覇を狙うリヨンが首位を走っている。前回の本連載ではリヨンのチャンピオンズリーグのグループリーグの最終戦について紹介したが、リヨンの目標は、チャンピオンズリーグでの上位進出、そして優勝であろう。しかしながら、当然国内リーグの優勝なしではリヨンの関係者、ファンは納得しないであろう。事実今年もリヨンはリーグ戦で首位を走り続けてきた。

■チャンピオンズリーグ出場組が上位3チームを占める

 年内は1部リーグのチームは国内の試合はリーグ以外にはリーグカップの序盤戦しかなく、リヨンなどいわゆるエリートチームはこれらに加えてチャンピオンズリーグやUEFAカップのグループリーグを戦いながら国内のリーグ戦、リーグカップを戦うことになる。
 さて、今年のフランスリーグの前半戦の特徴であるが、チャンピオンズリーグに参戦している3チームがリーグ戦でも上位を占めていることである。前半戦の最終戦となる第19節を迎える段階で、首位は1位リヨン(10勝5分3敗、勝ち点35、得失点差+10)、2位マルセイユ(8勝8分2敗、勝ち点32、得失点差+12)、3位ボルドー(9勝5分4敗、勝ち点32、得失点差+11)と昨年のリーグ戦の上位3チームが上位を独占した。ちなみに4位のパリサンジェルマン(10勝2分6敗、勝ち点32、得失点差+7)もUEFAカップのグループリーグを戦ってきた。ちなみに、この他のUEFAカップのグループリーグに出場してきたフランス勢は、ナンシーが13位、サンテエチエンヌが17位である。

■「秋の王者」の可能性のある4チーム

 前半戦終了時点の首位チームをフランスだけではなく欧州では「秋の王者」と称するが、最終戦を迎える段階で4位のパリサンジェルマンまでにその可能性が残されている。
 クリスマス前の最後の週末に行われた第19節は、テレビ中継の関係で20日の土曜日に7試合、21日の日曜日に3試合が行われた。上位4チームのうちリヨンだけが土曜日の試合で、2位以下の3チームは日曜日の試合となった。土曜日の20時にリヨンはアウエーでカーンと対戦、日曜日は17時にマルセイユがナンシーを、パリサンジェルマンがバランシエンヌをそれぞれホームに迎えキックオフ、そして21時にボルドーがモナコで試合を行う。土曜日の試合でリヨンが敗れれば、日曜日の試合でマルセイユ、ボルドーは勝てばリヨンを上回り、パリサンジェルマンも大差をつければ秋の王者となるチャンスがある。

■リヨン、5年連続の秋の王者となるも低空飛行

 リヨンは、第15節から第18節まで4試合連続して勝利がないという王者らしからぬ戦いぶりで前半戦の最終戦を迎え、プレッシャーのかかる中でカーンでの試合に挑んだ。
 カーンの攻撃陣は1トップでスティーブ・サビダン、リヨンは2トップでカリム・ベンゼマとフレッドである。前半はサビダンを中心とするカーンの攻撃にリヨンは手を焼いたが、前半終了間際にベンゼマが見事なゴールをあげる。後半はリヨンが試合の主導権を握ったが追加点はならず、結局リヨンが勝ち点3を上積みし、追撃する3チームの試合の前に、秋の王者となったのである。
 翌日の試合はマルセイユが敗れ、パリサンジェルマンはドロー、ボルドーは0-3から大逆転勝利となる。この結果、前半戦終了時の成績は1位リヨン(勝ち点38)、2位ボルドー(35)、3位レンヌ(34)、4位パリサンジェルマン(33)、5位マルセイユ(32、得失点差+32、総得点33)、6位リール(32、得失点差+32、総得点28)となる。
 リヨンはこれで5年連続で秋の王者となったが、勝ち点38というのはこの間で最低の数字であり、2位との勝ち点差が3というのもリヨンが初めて秋の王者となった2004-05シーズン以来のことである。欧州カップがノックアウト方式になり、国内ではフランスカップも本格化する時期に行われるリーグ戦後半は、例年以上に注目を集めるであろう。(続く)

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