第1241回 大混戦のまま終盤を迎えたリーグ戦(2) リーグカップ優勝のマルセイユ、首位を奪回する

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最少得点、最多失点のアルル・アビニョン

 前回の本連載は今季のリーグ戦は上位と下位の差が小さく、まれにみる混戦であることを紹介したが、その中で唯一例外となるチームが今季2部から昇格してきたアルル・アビニョンである。このチームに関しては本連載の第1143回と第1144回で紹介しているが、1部に昇格するまではスピード出世だったが、1部に昇格して厚い壁にぶち当たり、開幕3連敗を喫したところまで本連載の読者の皆さんはご存じであろう。
 そのアルル・アビニョンであるが、結局この壁を乗り越えることができず、低迷を続けた。開幕から8連敗、初めての勝ち点は第9節のブレスト戦のスコアレスドローである。初勝利は開幕から3か月過ぎた11月初めの第12節のカーン戦のことである。しかしこの勝利が第32節までで唯一の勝利となっている。今季32戦の戦績は1勝11分20敗という成績、さらに得点はわずかに16、失点は58、1部の20チームの中で得点は最少、失点は最多である。得失点差は前回の本連載で紹介した通り過半数がプラスマイナス1桁という中で、何と-42、失点は得点の3.5倍以上である。チーム全体の総得点の16は総得点は個人の得点ランキングではムーサ・ソー(リール)の21点、ケビン・ガメイロ(ロリアン)の18点に及ばず、ユセフ・エルアラビ(カーン)と並ぶ3位である。もっとも個人の得点ランキングは選手がすべての試合にフル出場しているわけではないので、90分あたりの得点に換算すれば5位にも入ることができない。

■残り8試合の段階で2部降格が決定

 アルル・アビニョンは以前も紹介した通り昨年までの大進撃が信じられないような不本意なシーズンを送ってしまったアルル・アビニョンはホームで行われた第30節でバランシエンヌに0-1と敗れ、残り8試合という段階で2部降格が決まってしまった。このような早い段階での2部降格は極めて異例である。そしてこの段階での勝ち点は13、今までのリーグでの最少勝ち点は1988-89シーズンのランスの17(3勝8分27敗)であり、残り8試合で勝ち点3以下だとワースト記録を更新することになる。

■リーグカップ優勝の重みを知っているディディエ・デシャン監督

 一方、前々回の本連載ではリーグカップ決勝の模様をお伝えした。リーグカップ決勝にマルセイユのディディエ・デシャン監督がこだわったのは昨年のリーグカップ決勝でボルドーに勝利したマルセイユがリーグ戦でも優勝し、一方敗れたボルドーはチャンピオンズリーグで敗退し、リーグ戦でも終盤に失速した。デシャン監督はカップファイナルの重みを知っている男である。通常であるならばリーグ戦第32節が行われる4月23日に決勝戦が行われたため、マルセイユとモンペリエは4月27日にリーグ戦を戦った。第31節を終えた段階で首位リール勝ち点59、そしてマルセイユは1差の勝ち点58で追っている。
 注目のリールの試合は24日にロリアンとアウエーで対戦し、リールは前半終了間際に得点しながら後半追いつかれ、痛恨のドローで勝ち点を1しか上積みすることができなかった。

■アユー兄弟の活躍でマルセイユが勝利、首位の座を奪う

 マルセイユは南仏のライバル古豪ニースを本拠地ベロドロームに迎える。試合前にマルセイユのイレブンは満員のベロドロームのファンにリーグカップを高々と紹介する。ニースもフランスカップ準決勝で敗退したばかりであり、意地を見せたいところである。試合は南仏の名門チーム同士の対戦にふさわしい内容となった。先制したのはマルセイユ、30分にこの日は1トップに起用されたアンドレ・アユーがCKのチャンスからゴールネットを揺らす。一方のニースも前半終盤に追いつく。同点で迎えた後半、アンドレ・アユーが59分に勝ち越し点、78分にはアンドレ・アユーの弟のジョルダン・アユーが追加点をあげる。さらにアンドレ・アユーはロスタイムにハットトリック達成となる3点目を決める。ロスタイムのニースの反撃を1点に押さえ、マルセイユは4-2というスコアで勝利する。そしてこの瞬間、マルセイユが昨年11月27日以来のリーグ戦首位に立ったのである。
 残り6試合、混戦から抜け出すのはリーグカップ優勝の勢いに乗ったマルセイユか、フランスカップとの二冠を狙うリールか、そしてホームでのマルセイユとの直接対決を残すリヨンか、フランスカップ決勝とリーグ戦でリールと対戦するパリサンジェルマンか、末永く語り継がれるシーズンを制すのはどのチームだろうか。(この項、終わり)

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