第1340回 秋の王者はパリサンジェルマン (2) 前半戦の最終戦でモンペリエを逆転

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンと競り合うモンペリエ

 大型補強が功を奏し、秋のリーグ戦で順調に勝ち点を重ねてきたパリサンジェルマンであるが、11月20日に行われた第14節のナンシー戦ではホームでまさかの0-1の敗戦、2位モンペリエと勝ち点で並んでしまう。第15節は11月26日と27日に行われ、まず土曜日にモンペリエがソショーに登場、ソショーを3-1と破り、勝ち点を3つ上乗せ、得失点差を2つプラスして首位に立つ。パリサンジェルマンがモンペリエを逆転するためには勝てば勝ち点で並ぶが、1点差の勝利の場合は得失点差で並び、総得点での勝負となる。つまり、モンペリエの総得点は32、総失点は17であるため、第14節までで総得点が26、総失点が12であるパリサンジェルマンは現実的には2点差以上の勝利が必要となる。

■マルセイユとの対戦で完敗、首位から転落

 そして一夜で首位奪還を目指すパリサンジェルマンの相手はアウエーでのマルセイユである。パリサンジェルマンとマルセイユは宿敵として特別なライバル意識を持つ。しかしながら両チームとも1990年代前半を最後にリーグ優勝から長らく遠ざかっており、マルセイユはようやく2009-10シーズンに18年ぶりのリーグ優勝(1992-93シーズンのタイトルは剥奪されたため、最後のリーグ優勝は1991-92シーズンとなる)を果たしている。今季パリサンジェルマンがリーグ優勝すれば、奇しくもマルセイユと同じ18年ぶりのリーグ優勝となる。逆に優勝を逃せば、マルセイユ以上に栄冠から遠ざかることを意味している。
 マルセイユの本拠地、ベロドロームに乗り込んだパリサンジェルマンは2得点差の勝利のために攻撃的な布陣で臨む。前の4人はトップにケビン・ガメイロ、攻撃的MFは左にネネ、中央にハビエル・パストーレ、右にジェレミー・メネスと迫力はある。しかし、先制点を奪ったのはマルセイユ、9分にマルセイユのフランス代表のロイック・レミーがネットを揺らす。後半に入ってもマルセイユは優位に試合を展開、65分に追加点、さらに83分にはダメ押しともいえる3点目を決めて、フランスのクラシコはマルセイユが3-0とパリサンジェルマンを一蹴した。
 この結果パリサンジェルマンは11月のリーグ戦は1分2敗と勝ち星がなく、久しぶりに2位に落ち、アントワン・コンボアレ監督の進退も問われるようになる。パリサンジェルマンは首位モンペリエとは勝ち点3差、さらに勝ち点2差で3位リール、4位レンヌに追い上げられるという苦しい展開の中で12月を迎えることになったのである。

■12月になって立ち直ったパリサンジェルマン

 12月1日、本連載第1334回で紹介した通り、ヨーロッパリーグの第5節でパリサンジェルマンはオーストリアでザルツブルクに0-2と敗れ、国内リーグだけではなく欧州の戦いでの窮地に追い込まれたが、この敗戦からチームは立ち直る。ザルツブルクでの痛い敗戦から3日後には本拠地パルク・デ・プランスでオセールに3-2と競り勝つ。そしてその翌週もソショーで1-0と連勝する。
 この勢いでヨーロッパリーグのグループリーグ最終節ではスペインのビルバオに4-2と快勝するが、決勝トーナメントにわずかに届かなかったことは本連載第1337回で紹介したとおりである。このグループリーグ敗退に気落ちすることなく、第18節では前年王者のリールと1-1で引き分けて前半戦の最終戦を迎える。

■第19節で明暗の分かれたパリサンジェルマンとモンペリエ

 この段階でモンペリエとパリサンジェルマンが11勝4分3敗で並び、得失点差で+18のモンペリエが+13のパリサンジェルマンを上回っている。第19節は12月20日と21日に行われ、パリサンジェルマンはサンテエチエンヌとアウエーで対戦するが、この試合は他のチームの試合がすべて終わった21日の21時にキックオフされる。ライバルのモンペリエは今季初昇格のエビアンに2-4と敗れ、一歩後退している。引き分け以上でパリサンジェルマンは逆転して首位に立つことができる。緑の軍団サンテエチエンヌも順位を5位にあげ、侮れない相手であるが、前半の32分、パリサンジェルマンは相手のオウンゴールで幸運な得点をあげる。この1点を守り切って、首位を奪還、秋の王者となったのである。(続く)

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