第1398回 フランスリーグ、フィナーレ(4) 3月末に得失点差で首位を譲ったパリサンジェルマン

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■下位チーム相手に勝ちを逃した第27節

 3月4日に本拠地パルク・デ・プランスでのアジャクシオ戦で攻撃陣の活躍で大勝したパリサンジェルマン、大型補強が功を奏したかと思われたが、モンペリエも負けていなかった。
 順位が入れ替わった翌週に行われた第27節はパリサンジェルマン、モンペリエとも勝利して、パリサンジェルマンが首位をキープする。次の3月17日に行われた第28節では両チームとも下位相手のアウエーゲームとなり、モンペリエは17位のナンシー、パリサンジェルマンは13位のカーンと対戦する。両チームとも19時に同時にキックオフ、前半は両試合とも無得点で後半になってまずスコアが動いたのがカーンでの試合、54分にカーンが先制するが、その2分後のパリサンジェルマンはハビエル・パストーレのゴールで同点に追いつく。モンペリエはナンシー相手に66分にPKを与えてしまい、このPKを決められて1点のリードを許す。一方のパリサンジェルマンも71分にカーンに勝ち越し点を奪われる。
 首位争いをする両チームが1点のリードを許したまま時計の針は90分を回る。ここでカーンの試合ではパリサンジェルマンのクリストフ・ジャレが起死回生のゴールを奪う。2位モンペリエは勝ち点を上乗せすることができず、一方のパリサンジェルマンは勝ち点1を獲得し、モンペリエとの勝ち点の差を2とする。

■フランスカップ準々決勝で敗れ、リーグ戦一本に絞る両チーム

 両チームは次の週の半ばの3月21日にフランスカップの準々決勝を戦うが、本連載第1385回で紹介したとおりモンペリエはナショナルリーグのGFCOアジャクシオに敗れ、パリサンジェルマンはリヨンに敗れ、両チームとも獲得可能な唯一のタイトルがフランスリーグとなり、両チームのマッチレースはさらにヒートアップすることになったのである。

■得点ランキング首位のオリビエ・ジルーが89分に決勝ゴール

 そして迎えた第29節、ついに順位が入れ替わる。この第29節はモンペリエが土曜日の3月25日にサンテチエンヌ戦を行い、日曜日の26日のパリサンジェルマンがボルドーと戦う。両チームとも相手は上位進出を目指す古豪である。まず、モンペリエは得意のホームゲームであるがなかなか得点を奪うことができない。77分にサンテチエンヌの選手が1人退場して数的優位に立っても勝ち越すことができない。このまま引き分けで2試合連続、フランスカップも合わせれば3試合連続で勝ちを逃すのか、と思われた89分、モンペリエのオリビエ・ジルーが25メートルの距離からボレーシュートをゴールに叩き込む。得点ランキングトップの今季18得点目はモンペリエに勝ち点3をもたらした。今季18勝中8勝が1-0というスコアのモンペリエはパリサンジェルマンを勝ち点1上回り、暫定首位となったのである。

■終盤に強いパリサンジェルマン、ギヨーム・オラオのゴールで引き分けに持ち込む

 そしてこの翌日、パリサンジェルマンはボルドーをホームに迎える。ボルドーはこの段階で消化試合の1試合多い4位のリヨンとは勝ち点7の差、残り10節で4位以内は決して無理な目標ではない。ビッグクラブ同士の対戦でこの日も超満員のパルク・デ・プランス、パリサンジェルマンがボールを支配し、パスを回す。一方のボルドーは少ないチャンスを確実にシュートへつなげるという展開である。長い沈黙を抜けて最初にゴールネットを揺らしたのはアウエーチームのボルドーであった。77分、ニコラ・モーリス・ブレイの左からのクロスをシェイク・ディアバテが無人のゴールに流し込んで、ボルドーが先制する。
 残り13分でリードを許したパリサンジェルマンであるが、今季のパリサンジェルマンは終盤に強い。そしてギヨーム・オラオが2月以降レギュラーに定着したことも大きい。追うパリサンジェルマンは81分にオラオがフランス代表の第3GKであるセドリック・カラッソの守るゴールを破り、同点ゴール。パリサンジェルマンは今季ここまで53得点をあげているが、そのうち4割近くの19得点は試合終了前の15分間に決めており、終盤の強さが勝ち点1をもたらした。
 勝ち点60でモンペリエに追いついたパリサンジェルマンであるが、得失点差はモンペリエの+26に対し、パリサンジェルマンは+23、パリサンジェルマンは首位を譲り、シーズン終了までこの順位を逆転することはできなかったのである。(続く)

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