第1399回 フランスリーグ、フィナーレ(5) 不調のパリサンジェルマン、マルセイユに勝利し、勝ち点で並ぶ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チャンピオンズリーグの影響でマルセイユ戦が延期されたモンペリエ

 リーグ戦2試合連続ドローのパリサンジェルマンと勝ち点で並び、得失点差で上回って首位の座に返り咲いたモンペリエ、次節の第30節はマルセイユとのアウエーゲームである。第30節は3月31日の土曜日と4月1日の日曜日に開催されるが、モンペリエは試合日程の変更を余儀なくされる。なぜならば、マルセイユはチャンピオンズリーグの準々決勝第2戦を4月3日の火曜日に戦うことになっており、マルセイユ-モンペリエ戦は第31節の後の4月11日に行われるからである。

■アウエーでナンシーに痛い黒星

 パリサンジェルマンにとっては、首位を奪還されたとはいえ、勝ち点では並んでいるわけであり、第30節は勝利、しかも得点差をつけての勝利をして試合のないモンペリエに精神的圧力を与えたいところである。
 パリサンジェルマンは12位のナンシーの本拠地、マルセル・ピコ競技場で大量点を狙う。パリサンジェルマンはギヨーム・オラオとジェレミー・メネスの2トップ、そしてトップ下にハビエル・パストーレを配置する。パリサンジェルマンは得意のパスサッカーで試合を面白いように支配する。また1対1の競り合いでも優勢な戦いを見せる。しかし、ゴールネットを揺らすことなく、逆に18分にバカイェ・トラオレに先制点を奪われる。1点ビハインドで迎えた後半、立ち上がりの50分にモハメド・シッソコが同点ゴール。こうなれば残り15分に強いパリサンジェルマンが逆転ゴールを決めるのではないかとファンは期待した。しかし、89分に決勝点を奪ったのはナンシーのヨアン・モロ、パリサンジェルマンは痛い敗戦を喫した。

■不調の責任を問われる高給のハビエル・パストーレとカルロ・アンチェロッティ監督

 これでフランスカップと合わせて公式戦4戦勝ちなしとなったが、調子を落としているのがイタリアのパレルモから鳴り物入りで移籍してきたパストーレである。シーズン序盤から好調で、レアル・マドリッドのユニフォームを着てパルク・デ・プランスを訪問した少年ファンをパストーレの名前と背番号27の入ったユニフォームに着替えさせたというエピソードもあるパストーレは12月以降、パフォーマンスが落ちてきた。
 また、年明けから指揮を執っているカルロ・アンチェロッティ監督は就任以降リーグ戦で11戦し5勝5分1敗、12月末で監督の座を去ったアントワン・コンブアレ前監督は19戦で12勝4分3敗、高給のイタリア人監督よりもクラブOBのフランス人監督の方がよかったというファンからの声も大きくなってきた。

■ライバルマルセイユに意地の勝利をあげたパリサンジェルマン

 このスランプといえる状態でパリサンジェルマンが次に対戦するのはライバルマルセイユである。マルセイユは水曜日にドイツのバイエルン・ミュンヘンと対戦(結果については本連載第1380回で紹介したとおり、0-2で敗退)したため、パリサンジェルマン-マルセイユ戦はほかの試合より1日遅い4月8日の日曜日に行われる。
 すなわち、パリサンジェルマンよりも1試合、消化試合数の少ないモンペリエはパリサンジェルマンよりも1日早く試合を行うため、モンペリエは勝利すればパリサンジェルマンにさらに精神的圧力を与えることになる。
 4月7日の夜、モンペリエはホームにソショーを迎える。かつては欧州カップにもしばしば出場した名門ソショーも19位、降格圏内である。得意のホームゲームでモンペリエは4分にユネス・ベルアンダが先制、いったんはソショーに追いつかれたものの、後半にスレイマン・カマラが勝ち越し点を奪い、パリサンジェルマンに勝ち点で3の差をつける。
 パリサンジェルマンは精神的な圧力のかかる中でマルセイユを迎える。マルセイユはチャンピオンズリーグで敗退し、このパリサンジェルマン戦は特別な意識で臨んでくる。
 46,252人という今季リーグ最多の観客の前での一戦、パリサンジェルマンはオラオを先発から外す。先制点は6分、パリサンジェルマンのメネスが先制点、パリサンジェルマンは久しぶりにリーグ戦でリードする。マルセイユは後半に入って59分にアンドレ・アユーが同点に追いつくものの、パリサンジェルマンはアレックスがCKからヘディングで勝ち越し点、ライバルに勝利して、消化試合数は1試合多いものの、勝ち点でモンペリエに追いついたのである。(続く)

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