第1595回 帰ってきたモナコ、首位に立つ(2) 大型補強を行ったモナコ、復帰初戦を飾る

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1億4000万ユーロをかけた大型補強

 カタール資本になったパリサンジェルマンの陰に隠れてはいるが、ロシア資本で1部に復帰したモナコも昨年から大型補強を続けてきた。そして1部に復帰した今年の目標はチャンピオンズリーグ出場権を得ること、そのために積極的な選手獲得を行った。
 ポルトガルのポルトからジョアン・モウチーニョとハメス・ロドリゲス、スペインのレアル・マドリッドからリカルド・カルバーリョ、同じくスペインのアトレチコ・マドリッドはラダメル・ファルカオ、そしてフランス人選手に関してはスペインのマラガからジェレミー・トゥーララン、スペインのバルセロナからエリック・アビダルなど、移籍に要した金額は1億4000万ユーロ(約200億円)近くと推定される。

■リーグ最年長の指揮官、61歳のクラウディア・ラニエリ監督

 このような多額の移籍金は来季から1部の昇格するクラブとしては極めて異例のことであると言えよう。これもロシアの富豪ドミトリー・リボロフレフ氏の資金によるものであるが気になるのはUEFAの財務的フェアプレー指数に抵触するかどうか、そしてこれらの豪華メンバーをイタリア人のクラウディア・ラニエリ監督がどう御していくかであろう。イタリアだけではなくスペインやイングランドのビッグクラブを率いてきた名将も61歳、現在のフランスリーグでは最高年齢の監督である。モナコの前に指揮を執っていたのはイタリアのインテル・ミラノ、成績不振で解任されており、初めてのフランスのクラブで欧州の舞台に復帰したいところである。
 モナコはシーズン前の合宿をオーストリアで行い、リーグ開幕直前にはイングランドのトットナム・ホットスパーを本拠地のルイ二世競技場に迎え、5-2と勝利する。スコアもさることながら驚くべきは1万300人近く観客が集まったことである。モナコの住民はあまりサッカーに関心を持たず、ビッグゲームでもスタジアムは常に閑散としていた。しかし、今回の大型補強、1部復帰で地元ファンも期待が大きくなったのであろう。

■リーグ開幕戦の過去のチャンピオン対決はドロー

 そして8月9日に今季のフランスリーグが開幕した。金曜日に行われた開幕戦は一昨季の優勝チームのモンペリエが昨季の優勝チームのパリサンジェルマンを迎える。2季前にリーグ初優勝を飾ったモンペリエも昨季は苦戦し、に沈む。一方のパリサンジェルマンは大型補強の成果がようやく2年目にして表れ、19季ぶりの優勝を果たし、今季も優勝候補最右翼である。モンペリエのラモッソン競技場は2万7000人の観衆で膨れ上がった。そして地元ファンの期待に応えて10分にモンペリエはレミ・カベラが先制点。このままモンペリエが逃げ切るかと思われたが、パリサンジェルマンは60分にマクスウェルが同点ゴール、一昨季と昨季のリーグチャンピオン同士の戦いは1-1のドローとなったのである。

■終盤に2点をあげたモナコが復帰戦を飾る

 その翌日、9試合が行われたが、モナコはボルドーとアウエーで2年ぶりの1部復帰の初戦に臨む。過去7年間7位までに入っているボルドー、シャバン・デルマス競技場は3万2000人の満員の観客で埋まる。
 伝統の赤と白のユニフォームが1部に戻ってきた。モナコの先発メンバーには、ロドリゲス、カルバーリョ、ファルカオ、トゥーララン、アビダルの5人の新加入選手が名を連ね、主将はアビダルが務める。アウエーのモナコはボールを圧倒的に支配する。
 しかしながらなかなか得点をあげることなく時計の針が動いていく。トップ下のロドリゲスに代わって途中出場したエマニュエル・リビエールが82分にクロスからのパスをゴールに入れる。リビエールは昨季の途中にトゥールーズから移籍してきた23歳の選手である。さらに87分、コロンビア代表のファルカオが2点目を決めて、モナコは2-0と勝利。上位の常連のボルドーを破り、1部復帰の初戦を飾ったのである。(続く)

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