第1706回 フランスリーグ、フィナーレ(5) モナコが引き分け、試合前に優勝を決めたパリサンジェルマン

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■逆転優勝のために3連勝が必要なモナコ

 4月最後の週末に行われた第35節、パリサンジェルマンは下位のソショーに勝利すれば優勝を決めることができたが、降格を逃れようとするソショーの粘りに屈し、オウンゴールという不運も重なりドローとなる。優勝争いは残る第36節以降に持ち越された。この時点での両チームの勝ち点差は8、すなわち残り3試合でモナコが逆転するには、モナコが3戦全勝、パリサンジェルマンが3戦全敗だと勝ち点で逆転する。また、モナコが3戦全勝し、パリサンジェルマンが1分2敗の場合、勝ち点で並ぶが、残り3節の時点での得失点差はパリサンジェルマンが+56、モナコが+31と25ポイントも差が開いている。いずれにせよ優勝のためにモナコは3戦全勝しか可能性がないことは明白である。

■優勝争いをする両チームの相手はフランスカップのスペシャリスト

 フランスリーグの最終節は全試合が同時にキックオフされ、今年は第37節も同様に全試合が同時刻にキックオフされる。これは終盤に予想される優勝争い、降格争いにおける駆け引きを回避するためのものである。しかし、第36節まではリーグ戦以外の国内外の試合、テレビ中継の関係によりいくつかの試合は標準的な日時以外にキックオフされる。
 このような事情で第36節は5月2日の金曜日、5月4日の日曜日、さらに5月7日の水曜日に行われた。標準的な日程は5月4日であるが、5月2日も5月7日もいずれも5月2日とは間隔をあけて試合が行われたのは理由がある。それは5月3日には本連載第1696回から第1701回で紹介したフランスカップの決勝が行われたため、前倒しの試合は5月3日を避けて5月2日、そしてフランスカップ決勝を戦ったギャンガンとレンヌは決勝から4日後の5月7日に試合を行うというわけである。
 この5月7日に登場するギャンガンの相手はモナコ、さらにレンヌの相手はパリサンジェルマンと激闘を終えたフランスカップのファイナリストがリーグ優勝をかけた上位2チームとアウエーで対戦するという信じられない組み合わせとなった。さらにモナコは19時キックオフ、パリサンジェルマンは2時間遅れの21時キックオフとなる。すなわち、パリサンジェルマンは先に行われるモナコの結果次第で優勝が決まってしまうこともありうる。

■降格争いをするギャンガンが粘ってドロー

 さて、そのモナコの相手のギャンガンはフランスカップを獲得したとはいえ、この時点で他のチームより消化試合が1試合少ないものの勝ち点38の16位、降格圏内の18位のソショーと勝ち点差はわずか1しか離れていない。カップウィナーとしてタイトルを獲得し、来季のヨーロッパリーグ出場を確保したとはいえ、リラックスできない状況にある。試合はモナコが優勢に進めながら、フランスカップ優勝チームとしてではなく、降格争いをしているチームとしてのギャンガンはひたすら耐える。しかし、モナコはあまりにも遅い先制点を奪う。残り時間が10分強となった77分、ディミトリ・ベルバトフが途中交代出場のナビル・ディラルからパスを受け、ゴールを決める。モナコはこれで勝利したかと思っただろうが、85分、1部残留のため勝ち点の欲しいギャンガンは交代出場のファティ・アティクが同点ゴールを決める。このまま試合はドローとなり、パリサンジェルマンの2年連続のリーグ優勝が決定したのである。

■試合前に優勝の決まったパリサンジェルマン、今季の本拠地のリーグ戦で初黒星

 昨年はリヨンでリーグ優勝を決めたパリサンジェルマンは、今年は試合前に優勝が決まってしまった。20年前はパルク・デ・プランスでのトゥールーズ戦の勝利で優勝を決めており、20年ぶりの地元で勝利して優勝、とファンは意気込んだが、試合前に優勝が決まり、そして肝心の試合もレンヌ相手に1-2と敗れ、リーグ戦では今季初めて、それ以外の試合も含めると1月22日のフランスカップのモンペリエ戦以来の本拠地での黒星となる。
 ファンにとっては残念な試合結果となったが、クラブ史上初の連覇を果たしたパリサンジェルマンのファンの喜びは翌朝まで続いたのである。(この項、終わり)

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