第1740回 フランスリーグ開幕(5) パリサンジェルマン、4年連続で開幕戦は勝ち星なし

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■開幕前の予想では圧倒的な支持を集めるパリサンジェルマン

 他の欧州の主要リーグよりも早く、フランスリーグが開幕した。8月8日の金曜日、スタッド・ド・ランスがパリサンジェルマンを迎える試合で長丁場の戦いが始まった。
 前回の本連載で紹介した通り、パリサンジェルマンはダビド・ルイスが移籍し、主力選手の放出もなく、今季も優勝候補の最右翼である。シーズン前にレキップ紙が各チームの監督、選手、経営陣に行ったアンケートでは実に85%が優勝チームをパリサンジェルマンと予想している。昨年2位のモナコは前回の本連載の通り、ハメス・ロドリゲスがレアル・マドリッド(スペイン)へ移籍し、その穴を埋めきれないままシーズンインしている。今世紀に入ってから優勝経験のあるボルドー、マルセイユ、リヨンについてもパリサンジェルマンとの力の差は明白である。

■開幕戦でパリサンジェルマンを迎えるスタッド・ド・ランス

 栄えある開幕戦で王者パリサンジェルマンを迎えるのが名門スタッド・ド・ランスである。1950年代のフランスサッカーの盟主であり、記念すべき第1回のチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)で決勝に進出し、レアル・マドリッドに敗れたフランスサッカーのレジェンドともいうべきクラブである。スタッド・ド・ランスがフランスサッカーの覇権を握っていたころ、パリサンジェルマンというクラブはまだ誕生していなかった。長い低迷を経て2012年にスタッド・ド・ランスは1部に復帰し、オールドファンを喜ばせ、初年度は14位、2年目の昨季は順位を上げて11位、3シーズン目にかける。

■ワールドカップ組が両チーム合わせて7人出場

 ランスのオーギュスト・ドローン競技場は雨天となったが、満員の1万8500人の観衆が集まった。パリサンジェルマンのメンバーであるが、ブラジル代表のうち、チアゴ・シウバは出場したが、ダビド・ルイス、マクスウェル、フランス代表のブレーズ・マツイディ、ヨアン・カバイエはメンバーから外れている。また移籍が噂されるアルゼンチン代表のエセキエル・ラベッシの名もない。しかし、ワールドカップに出場したメンバーがパリサンジェルマンはエディンソン・カバーニ(ウルグアイ)、サルバトーレ・シリグ、マルコ・ベラッティ、チアゴ・モッタ(以上イタリア)、チアゴ・シウバ(ブラジル)、ルカ・ディーニュ(フランス)と6人、スタッド・ド・ランスもアルジェリアのアイサ・マンディが出場し、7人のワールドカップ組がフィールドを駆け抜けた。

■昨季得点王のズラタン・イブラヒモビッチが2ゴール

 パリサンジェルマンとスタッド・ド・ランスとの地力の差は明白であり、試合はアウエーのパリサンジェルマンが一方的に支配する。そして、2014-15シーズン最初のゴールが生まれた。パリサンジェルマンの背番号10、ズラタン・イブラヒモビッチがハビエル・パストーレからのパスを7分に左足でシュートし、ネットを揺らす。ゴールもアシストもワールドカップに出場しなかった選手が記録した。
 守勢一方のスタッド・ド・ランスであったが、22分に左サイドからのFKのチャンスを得て、ディエゴがゴール前にあげたボールをプランス・オニアンゲがゴール前で合わせて同点ゴール、スタンドを沸かせる。さらにスタッド・ド・ランスは34分にアントワン・ドボーがガエタン・シャルボニエとワンツーを決めて前進、ドボーが逆転ゴールを決め、場内のボルテージは上がる。
 劣勢のスタッド・ド・ランスがリードして折り返すが、勝利を奪い取ったのはパリサンジェルマンのワールドカップ欠場組であった。またパストーレからのパスをイブラヒモビッチが決めて同点に追いつく。その後もパリサンジェルマンが優勢に試合を進めるが、引き分けに終わる。パリサンジェルマンは2011年にカタール資本となってから4年連続で開幕戦で白星を逃したが、イブラヒモビッチの2ゴールは今季もリーグの主役パリサンジェルマンであり、イブラヒモビッチが今季も得点王の最右翼であることを意味していると言えよう。
 来年5月までのシーズン、予想通りになるのか、予想を覆す結果となるのか、楽しみは尽きない。(続く)

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