第1894回 2015-16フランスリーグ開幕

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■8月7日に開幕したフランスリーグ

 ファンにとっては待ち遠しかったリーグ戦が8月7日に開幕し、来年5月までの長い戦いが始まった。1部リーグ20チームによるリーグ戦は週末に行われるが、10試合のうち1試合は金曜日、6試合が土曜日、そして日曜日に3試合が行われるのが通例である。また、土曜日の6試合のうち1試合は夕方行われ、日曜日の3試合は時間をずらして行われる。つまり、テレビ観戦者にとっては10試合中6試合をライブで楽しむことができる。また最後の2節(第37節と第38節)は10試合すべてが同時刻にキックオフされる。これはシーズン終盤に各チームが公平な条件で順位争いをするための配慮である。

■開幕戦はリール-パリサンジェルマン

 今季もやはりパリサンジェルマンを推す声は強い。前回まで紹介したチャンピオンズトロフィーでもリヨンに完勝、大きなメンバーの入れ替わりもなく、順調にチームは仕上がっている。
 今年の開幕戦はこのパリサンジェルマンが登場する。パリサンジェルマンはリールで開幕を迎える。来年の欧州選手権に向けて準備を進めるリールのピエール・モーロワ競技場、昨年の秋にはテニスのデビスカップの決勝が行われ、9月には男子バスケットボールの欧州選手権が行われるが、やはりのこの競技場の主役はサッカーチームであるリール・オランピック・スポルティング・クラブである。前身のオランピック・リロワは最初のリーグチャンピオンである。

■昨季から通算10連勝となったパリサンジェルマン

 バカンス期間ではあるが、相手がパリサンジェルマンということもあり、ピエール・モーロワ競技場には3万9000人のファンが集まった。王者パリサンジェルマンの先発メンバーであるが、CFはエディンソン・カバーニであり、ズラタン・イブラヒモビッチはベンチからも外れる。またチャンピオンズトロフィーでも先発したケビン・トラップがこの日もGKを務める。アンダーエイジでのドイツ代表歴のある24歳の若手であり、ドイツのフランクフルトから今季移籍してきた。サルバトーレ・シリグはベンチに控え、フランス代表にも選ばれたことのあるニコラ・ドゥシェはベンチから外れた。そして、今季唯一の大型補強となったアンヘル・ディマリアはスタンドからの観戦となった。ディマリアはひざの負傷のため、8月末から試合に出場できる見込みである。
 互角の試合展開となったが、パリサンジェルマンは28分にアドリアン・ラビオが2枚目のイエローカードでピッチを去る。数的不利になったパリサンジェルマンであり、ボール支配率でも劣勢となったが、この試合唯一のゴールを決めたのはルーカスであった。57分にブレーズ・マツイディから受けたパスをナイジェリア代表の名GKビンセント・エニェアマをかわしてゴールネットを揺らす。
 パリサンジェルマンはこれで昨季から通算して10連勝となる。ちなみにリーグ記録は2009年3月から9月にかけてボルドーが成し遂げた14連勝、この時のボルドーの監督は現在のパリサンジェルマンの監督のローラン・ブランである。初戦を見た限りではあるが、パリサンジェルマンの優位は揺るがないであろう。

■開幕戦直後に突如辞任したマルセイユのマルセロ・ビエルサ監督

 また、第1節のトピックスとしてはマルセイユのマルセロ・ビエルサ監督の辞任であろう。マルセイユは開幕前の8月1日にはベロドロームにユベントスを迎え、2-0と快勝して、打倒パリサンジェルマンという目標に手ごたえをつかんで開幕戦を迎える。そして8月8日の開幕戦ではカーンを迎えるが、0-1と敗れてしまう。試合内容そのものはマルセイユが上回りながらもカーンのカウンターアタックの前に沈んだものであり、大きく悲観するものではなかったが、試合終了後ビエルサ監督は辞任を表明する。
 パリサンジェルマンとマルセイユという2つのビッグチームで明暗の沸かれた開幕戦となった。しかしシーズンは長丁場、今季も熱戦を期待したい。(この項、終わり)

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