第2506回 フランスリーグファイナル(8) 第2戦に勝利したディジョンが1部残留

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ランスのフェリックス・ボラール競技場で第1戦

 1部で18位となったディジョンが出場する入替戦の相手は2部5位でプレーオフを2回勝ち抜いたRCランスとなった。入替戦はプレーオフとは異なりホームアンドアウエー方式で行われ、第1戦は5月30日に挑戦者となるRCランスの本拠地のフェリックス・ボラール競技場で、第2戦は1部残留を目指すディジョンの本拠地のガストン・ジェラール競技場で6月2日に行われる。
 ランスのフェリックス・ボラール競技場は1932年に建設された。すなわちフランスでプロサッカーが始まったころのスタジアム建設ブームの時代である。それ以降RCランスが使用し続けているが、1984年の欧州選手権、1998年のワールドカップ、2016年の欧州選手権というサッカーの主要大会だけではなく、ラグビーのワールドカップでも1999年大会と2007年大会で会場となっている。また、日本の皆様は日本代表がかつてこの競技場でセネガルと対戦したことからよくご存じであろう。1998年のワールドカップでは決勝トーナメント1回戦が行われ、フランスがパラグアイと対戦、ローラン・ブランの大会史上初めてのゴールデンゴールが決まり、フランス中が歓喜した。そしてその直前にはRCランスがリーグ初制覇を果たしている。1990年代から2000年代にかけてRCランスは好成績を残し、この競技場も盛り上がったが、RCランスが2部に降格して4年たち、ファンのボルテージも下がってきた。しかし、今回アウエーでのプレーオフに2連勝、PK勝ち、延長勝ちと接戦を制し、リーグ最終戦以来2週間ぶりに凱旋してきた血と黄金と呼ばれるチームを応援するため37,355人のファンが集まる。

■正GKが出場停止のRCランス、第1戦はドロー

 ディジョンは年が明けてからのアウエーゲームは非常に悪い成績で、1勝3分13敗と壊滅的な数字である。満員のファンに後押しされたRCランスであるが、プレーオフのトロワ戦で主審への抗議により退場となったGKのジャン・ルイ・レッカが3試合出場停止となり、代役としてジェレミー・バシューを起用しなくてはならないことが不安材料である。
 試合は大観衆の声援を受けたRCランスが優位に進める。前半こそ特典が生まれなかったが、後半に入り49分にジャン・リクネ・ベルガルドが先制点をあげる。このままRCランスが逃げ切るかと思われたが、ディジョンはウェスレイ・サイードが活躍する。56分のシュートはバーに阻まれたが、81分に権昶勲の得点をアシストする。結局、入替戦の第1戦は1-1のドローとなった。

■前半はタイスコアで折り返したディジョンでの第2戦

 第2戦はちょうどフランス代表の親善試合のボリビア戦と同じ6月2日に行われた。この日程について賛否はあったが、結果的には両チームで代表戦に出場したのは20歳以下のワールドカップのフランス代表のエンゾ・ロワオディス(ディジョン)だけであった。
 今季のフランスリーグの最終戦となったディジョン-RCランス戦、1部3季目で降格のピンチとなったチームを助けようと満員のファンがフランス代表戦を差し置いて集結した。  両チームは1部あるいは2部、そして今回の入替戦で対戦しているが、過去10試合の戦績はディジョンの4勝5分1敗とディジョンに分がある。しかし、ディジョンも正GKのアイスランド代表のルナール・ルナルソンが負傷で試合に出場できず、両チームとも正GK抜きの布陣となる。先制点をあげたのはディジョンのナイム・スリティ、28分にゴールネットを揺らす。しかし、RCランスも39分にジャン・ケビン・デュベルヌが同点ゴールをあげて、タイスコアとなり、前半を折り返す。

■後半のウェスレイ・サイードの2得点でディジョンが1部残留を決める勝利

 次の1点をどちらがあげるかが焦点であったが、70分にサイードがRCランスの守備の乱れを突いて勝ち越し点をあげる。終盤になって守備を固めるディジョンに対しRCランスは攻勢に出るが、アディショナルタイムにディジョンはサイードが追加点をあげ、3-1となって試合終了。ディジョンが1部残留を決め、RCランスの1部復帰はならなかったのである。(この項、終わり)

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